異世界で双子の勇者の保護者になりました

ななくさ ゆう

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【番外編】

【番外編5】天才少年戦士と超天才少年戦士

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 ◇◆◇◆◇◆◇◆◇

(ライト/一人称)

 ◇◆◇◆◇◆◇◆◇

 バーツ達に引っ張られるように冒険者になった俺。別に乗り気じゃなかったわけではないけど、最初は俺なんかが上手くやれるかと心配だった。

 だけど、ミリスに習い始めると、俺は自分には意外と剣術の才能があるんじゃないかと思い始めた。
 20日ほどの訓練で、大人の冒険者のゴルとかともいい勝負ができるようになったし、カイやバーツ、マルロには負けなしになったからな。

 ミリスも、俺の才能を認めてくれていると思ったし、事実認めてくれていたと思う。
 ひょっとして俺って天才だったりするのかなとすら思ったよ。

 だけど。

 俺のそんな思い上がりを徹底的に叩き潰す奴が現れた。

 ---------------

 アレル。
 舌っ足らずの5歳児。
 妹のフロルや保護者のショートと一緒に剣術をならいに来た。

 ゴルが早速つっかかっていったりして、俺はゴルに反発したけど、一方で確かにアレルやフロルに剣術なんて無理だろうという気持ちもあった。
 実際、フロルは剣術が下手だった。ショートもだ。

 だが。

 ゴルとアレルの模擬戦。
 アレルは圧倒的な力でゴルを叩きのめした。
 っていうか、『風の太刀』ってなんだよ!? あんなん、剣術じゃねーだろ、反則だろってその時は思った(正直、今でも少し思っている)

 そのあと、俺はショートと模擬戦をした。
 勝敗?
 勝ったよ。圧勝。ショートはザコすぎた。

 その直後、アレルが俺と模擬戦をやりたいと言い出した。
 ショートのかたきを取ると。

 内心俺は焦ったぜ。
 アレルに勝てる自分の絵が見えない。
 ゴルと同じように倒されるしかない。

 幸いなことに、その時はミリスが止めてくれた。
 だが、いつかは……たぶん、翌日にも、アレルと模擬戦をやる日が来るだろうとも思った。

 で、まあ、必死に考えた。
 剣と剣なら俺に分があると思う。さすがに。
 だが、あの『風の太刀』は厄介すぎる。

 で、俺が考えた作戦は『風の太刀』を使わせないことだった。
 とにかく接近して連続攻撃だ。距離を置かない。これしかないだろう。素早さなら俺はゴルより上だ。

 翌日の模擬戦。
 はたして俺の作戦は上手く行き、『風の太刀』に拘って距離を取りたがっているアレルは攻めに転じられなかった。

 さらにもうひとつ罠を仕掛ける。
 アレルを蹴飛ばしてわざと距離を取る。
 当然、アレルは『風の太刀』を使おうとするが、俺の後ろにはショートとフロルがいる。そういう位置に蹴飛ばした。

 俺は動揺するアレルを壁際に追い詰めて、なんとか辛勝した。

 だが、俺はこの時思った。
 こんな勝ち方ができるのは、今回だけで、たぶんアレルにはすぐに勝てなくなるんだろうなと。

 ---------------

 その予感はあたり、10日も経つ頃には全く勝てなくなった。それも『風の太刀』を使わない模擬戦でもだ。

 俺は天才ではなかった。それを理解したから、俺はさらに腕を磨いた。
 アレルを目指したから俺は強くなっていった。
 師匠はミリスだが、目標はアレルだ。どんどん引き離される目標だけど、食らい付いていってみせる。
 それを心の支えにして、俺はレベル1の戦士になった。

 ---------------

 上ばかり見て、他を見ていなかったと俺が気づいたのは、バーツ達が魔の森に向かった時だ。
 いや、その時はそうでもなかった。あいつら無茶しやがってとは思ったが、3人の本当の気持ちなんて分かっていなかった。

 3人の気持ちを理解したのは、セルアレニ騒動の翌日。
 宿で目覚めた3人から『俺達は冒険者を辞める』と告げられたときだった。

「なんでだよ!? 無茶をした責任を感じているんだったら……」

 言いかけた俺に、バーツは言う。

「そうじゃねーよ、俺達はお前やアレルとは違うんだ」

 カイも。

「俺らには才能が無いんだ。お前やアレルみたいな天才にはわからないよ」

 マルロはさらに。

「それに、俺は恐い。セルアレニみたいなのだけじゃなくて、モンスターはみんな恐い。冒険者がどういう職業か、今回やっと分かったんだ」

 そして、3人は言った。

『ごめん、ライト』

 と。

 俺はその時初めて気がついた。
 俺は、俺達4人が凡人で、アレルが天才だと思っていた。
 あいつらは、自分たち3人が凡人で、アレルと俺が天才だと考えていた。

 俺は上ばかり見て、仲間を見ていなかった。
 あいつらが俺から離れていったのは、そのせいだと自分を責めた。

 ---------------

 その後。
 俺はアレル達のパーティーに入れてもらった。

 アレルはぐんぐん力を付けていく。
 俺だって負けていられないと思うけれど、どんなに頑張っても離されていく。

 俺が10の力をつける間に、あいつは20も30も力を付ける。

 他のヤツらは言う。
『ライトも十分天才だ』と。

 だが、ずっとアレルと一緒にいれば分かる。
 俺はだ。天才じゃない。

 魔法使いという別の技能を持つフロルやショート、あるいはレンジャーのソフィネはともかく、俺はアレルと肩を並べられるような戦士じゃない。

 明日、レベル2への試験を受ける。
 アレルは受かるだろう。ショートとフロルも。ソフィネもまず心配ない。
 俺だけが不安だ。

 それに。

 仮に受かったとして、その後も俺はアレルと一緒のパーティーにいてもいいのだろうか。
 アレルと肩を並べるべき戦士は、俺なんかじゃなくて、たとえばレルス=フライマントとかではないのか。

 そんな思いが、最近俺の中でどんどん強くなってくのだ。
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