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10:父という生き物
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皆様おはようございます。それともこんにちはでしょうか。
コーラル・ラフェネスタこと私。
今、コーラル人生最大の危機に直面しております。
現在お昼前。
部屋には私だけでした。
丁度昼食を取りにアンナが席を外した時です。
個人差があるとはいえ、時期的にはそろそろだったんです。
ハイハイで足腰の筋肉が日々しっかりしてきていることを実感しております。
高速ハイハイも出来ますし、アンナがベビーベッドから私をおろした瞬間に脱走しようと試みることも出来るようになってきました。
そうなってくると次はなにかわかりますか?
そうです、つかまり立ちの時期です。
「うむむぅ……」
初めてのタッチってやっぱり感動するものだと思うんですよ。
こう、人類の新たな可能性? みたいな?
そういうわけで、アンナやお兄様達を驚かそうと思って、つかまり立ちの練習です。
この時間帯はほんの数分程度居ないですからね。
絶好の練習時間というわけです。
「にょ?」
そして屈折生後10ヶ月目。
ついにつかまり立ちが出来たというわけです。
で。
「……」
「……」
目の前にいるのは、料理長のダンテよりも背の高い男性です。
白を貴重とした服……これは形としては軍服なのでしょうか。青いラインが入っており、ピシッと着こなしています。私が赤ちゃんだからなのでしょうか。背が高いから服はとても似合っているのですが、まるで塗り壁のようです。
お兄様と同じ光できらきらと輝く金髪はきちんとセットされていて。
その男性はなんの感情も乗せない水色の瞳で私を見ていました。
無言で。
ねえ、今、私ね。人生初のたっちしてるんです。
つかまり立ちだけど、これたっちなんです。
頑張ってるから足が超絶プルプルしているんです。
「……」
「……」
私と男性は見つめ合っていました。
それが数秒なのか、数分なのかはわかりません。
足に限界がきた私はこてんと転びます。
その衝撃に何が起こるか。
「びぇえええええええええええええええええええええええ!!」
屋敷中に響き渡るような大音量。
まあ、泣きますよね。びっくりと痛みで。
ベビーベッドは柔らかいのでそこまで痛みはありません。ですが、衝撃が痛みとして認識もされます。
あと、お兄様と使用人以外の初めての人間です。
私にとっては他人。
不審者のいる恐怖も加わって感情がぐるっぐるに混ざります。
前世持ちだから人見知りとかしないでしょうと言われるかも知れません。
そんなことないですよ。
地球外ならぬ世界外生命体に見えますよ。
特に背が高くて、無表情ですからね。
鼻筋も通っていてイケメンなのですが、だからこそ無表情は怖いです。
「お嬢様!?」
お盆を持ってアンナが部屋に駆け込みます。
「だ、旦那様……」
部屋にいた男性のことをそうアンナが呼ぶと、男性はスイッとアンナの横を通り過ぎて部屋から出ていきました。
アンナもずっと呆然としているわけにはいきません。
食事を乗せたお盆を置いて、私をあやしてくれます。
赤ちゃんって泣くのもお仕事ですけど、感情のコントロールがしにくいんですよね。
自分に忠実というか、抑えたいのに蓋が暴れてうまく抑えられないような感覚。
前世持ちの私でも苦労するのです。
何も覚えていない赤ちゃんが人見知りして泣くのも理解できます。
「大丈夫ですよ、お嬢様。お父様がお見えになられてよかったですね」
そう私に話しかけるアンナ。
あの男性はどうやら私のお父様であるようで。
生後10ヶ月経ってから漸く様子を見にくる父親とは。
お母様もまだ相まみえてないのですがどうなっているんですかね。
感情の波が収まるまで、そのままアンナに抱っこしてもらいながら私の疑問は増えたのでした。
コーラル・ラフェネスタこと私。
今、コーラル人生最大の危機に直面しております。
現在お昼前。
部屋には私だけでした。
丁度昼食を取りにアンナが席を外した時です。
個人差があるとはいえ、時期的にはそろそろだったんです。
ハイハイで足腰の筋肉が日々しっかりしてきていることを実感しております。
高速ハイハイも出来ますし、アンナがベビーベッドから私をおろした瞬間に脱走しようと試みることも出来るようになってきました。
そうなってくると次はなにかわかりますか?
そうです、つかまり立ちの時期です。
「うむむぅ……」
初めてのタッチってやっぱり感動するものだと思うんですよ。
こう、人類の新たな可能性? みたいな?
そういうわけで、アンナやお兄様達を驚かそうと思って、つかまり立ちの練習です。
この時間帯はほんの数分程度居ないですからね。
絶好の練習時間というわけです。
「にょ?」
そして屈折生後10ヶ月目。
ついにつかまり立ちが出来たというわけです。
で。
「……」
「……」
目の前にいるのは、料理長のダンテよりも背の高い男性です。
白を貴重とした服……これは形としては軍服なのでしょうか。青いラインが入っており、ピシッと着こなしています。私が赤ちゃんだからなのでしょうか。背が高いから服はとても似合っているのですが、まるで塗り壁のようです。
お兄様と同じ光できらきらと輝く金髪はきちんとセットされていて。
その男性はなんの感情も乗せない水色の瞳で私を見ていました。
無言で。
ねえ、今、私ね。人生初のたっちしてるんです。
つかまり立ちだけど、これたっちなんです。
頑張ってるから足が超絶プルプルしているんです。
「……」
「……」
私と男性は見つめ合っていました。
それが数秒なのか、数分なのかはわかりません。
足に限界がきた私はこてんと転びます。
その衝撃に何が起こるか。
「びぇえええええええええええええええええええええええ!!」
屋敷中に響き渡るような大音量。
まあ、泣きますよね。びっくりと痛みで。
ベビーベッドは柔らかいのでそこまで痛みはありません。ですが、衝撃が痛みとして認識もされます。
あと、お兄様と使用人以外の初めての人間です。
私にとっては他人。
不審者のいる恐怖も加わって感情がぐるっぐるに混ざります。
前世持ちだから人見知りとかしないでしょうと言われるかも知れません。
そんなことないですよ。
地球外ならぬ世界外生命体に見えますよ。
特に背が高くて、無表情ですからね。
鼻筋も通っていてイケメンなのですが、だからこそ無表情は怖いです。
「お嬢様!?」
お盆を持ってアンナが部屋に駆け込みます。
「だ、旦那様……」
部屋にいた男性のことをそうアンナが呼ぶと、男性はスイッとアンナの横を通り過ぎて部屋から出ていきました。
アンナもずっと呆然としているわけにはいきません。
食事を乗せたお盆を置いて、私をあやしてくれます。
赤ちゃんって泣くのもお仕事ですけど、感情のコントロールがしにくいんですよね。
自分に忠実というか、抑えたいのに蓋が暴れてうまく抑えられないような感覚。
前世持ちの私でも苦労するのです。
何も覚えていない赤ちゃんが人見知りして泣くのも理解できます。
「大丈夫ですよ、お嬢様。お父様がお見えになられてよかったですね」
そう私に話しかけるアンナ。
あの男性はどうやら私のお父様であるようで。
生後10ヶ月経ってから漸く様子を見にくる父親とは。
お母様もまだ相まみえてないのですがどうなっているんですかね。
感情の波が収まるまで、そのままアンナに抱っこしてもらいながら私の疑問は増えたのでした。
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