今日、キミを卒業します。

桃乃 茉凛

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愛の門限破り

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結局、たかしは少し残業になっちゃって、逢えたのは18時に近かった。

「もー…遅ーいっ!」
なんてあたしは少し拗ねてみる。
「ごめんってばw 早く乗れよ?」
「うんっ!」
寮の裏口に停めた青いスポーツカーが、貴の車だった。
後ろは倒してあって、ツーシーターになっている。
「今日、門限は? 19時だろ?」
「大丈夫。21時の点呼までに帰れば平気だから」
あたしは笑って助手席に乗り込む。
ふわり、ひざ丈のスカートが揺れる。

「何か、今日は大人っぽいじゃん?」
貴がブオォンッとエンジンをかける。
思ったよりも大きな音。
「え? 何?」
あたしは微妙に聞き取れなくて、貴を見つめた。
「いつも以上に可愛いって言ったんだよ」
貴が見つめ返せば、優しいキスをくれる。
「ん…っ、えへへ…。待ってる間に少しメイクしたりしてたから」
車が走り出せばあたしは笑って答えた。
BGMは軽快なダンスミュージック。
あたしが普段聴かないジャンルだ。
何かそれもまた大人に見えて、あたしには新鮮だった。

「今日は仕事帰りだからスーツなんだね」
「まぁな、一応社会人ですからw」
「ふふ、カッコいーよ? ホレ直したっ!」
「ありがとな?」

濃いグレーのスーツ姿が新鮮だった。
ドキドキ…
何か貴にはいつもドキドキさせられっぱなしだ。
何だか悔しーな。
あたしも貴をドキドキさせられたらな…
なんて思ってると、近くの繁華街が見えて来る。

「この辺なら琴美ことみを帰りに送ってくのに近いだろ?」
「うんっ、ありがと!」
そんな気遣いが嬉しかった。
そして、2人で駐車場を探すと車を停める。
「何かカッコいーね、貴の車っ!」
あたしは笑いながら、貴の腕に自分の腕を絡める。
「車好きなんだよな。だからつい金かけちゃったw」
「あ、そーなの? それは知らなかった!」
「一応、改造車だったりする」
「ダメじゃんw」
「だってカッコ良くしてぇじゃん?」
「まーそれは分かるけどw」
そんな会話をしながら、繁華街の中に入って行く。

今日のあたしは少しだけ大人だよ?
背伸びしなきゃ貴に釣り合わない気がして、少し高めのヒールを履いて来た。
そんな小さなことがくすぐったい。

「あ、このストラップ可愛いっ!」
色んなお店を見てまわってると、ふと某キャラクターのマスコットが付いたストラップが目に入る。
しかも、ペアストラップになってる。
欲しいな…どーしよ…
あたしがそれを見つめてるのに貴が気付く。
「ペアストラップ?」
「あ…うん。一緒に付けたいなーって…」
あたしは少し赤くなる。
「いーよ? 一緒に付けよ?」
「え? ホントにっ?」
「うん、貸して? 買ったげる」
貴があたしの手からストラップを取れば、お会計に行こうとする。
うそ、やばい…嬉しい…っ!
あたしもその後を付いて行く。

「えへへ…ありがと…」
あたしはペアストラップを買ってもらってご満悦。
「ねーねー、早速付けたいw」
なーんて貴の腕にしがみついておねだり。
「んじゃどっかカフェ的なとこ入ろっか」
「うんっ!」
あたしたちはしばらくふらふらと歩いてカフェを探す。
「あ、ココにする? 喫煙席あるしw」
「そーだね」
最近、街中はほとんど禁煙。
あたしはともかく、貴はタバコ吸うもんね。

「いらっしゃいませーっ」
あたしと貴は腕を組んだままカフェに入る。
「琴美は何にする?」
「うーんとねぇ… アイスのカフェモカっ!」
ホントはロイヤルミルクティーが好きだけど、あえて大人っぽくコーヒーを頼んでみる。
「分かった。先に席取っておいて?」
「はーいっ!」
あたしは腕を離せば2階の喫煙席を目指して階段を昇る。
離れた右手が少し寂しい。
あたしの脳内は貴でいっぱいだった。

席を見つけて座ってると、程なくして貴がやって来る。
「はい、お待たせ」
「えへへ、ありがと」
あたしは猫舌だからすぐには飲めなくて、先にストラップを開けよーとする。
その間に貴は灰皿とお水を持って来てくれる。
そんなちょっとした気遣いが嬉しかった。

やっぱり大人はステキだなぁ…
ますます離れたく無くて困っちゃうよ…
もーすでに門限なんてとっくに過ぎてるのに、まだまだずっと貴と居たいよ…
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