今日、キミを卒業します。

桃乃 茉凛

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それぞれの帰省中

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「…柚季ゆずき…?」

あたしはたかしに寮まで送ってもらって部屋に荷物を置けば、同じ階ですぐそばの柚季の部屋をノックする。
返事は無いけど、寮の札は在宅中になっていた。
大丈夫かな……
もしかしたら別の場所に居るのかもな。
そー思って携帯を取り出そーとした時、部屋のカギがカチャリと音を立てて開いた。

琴美ことみ先輩……」
「柚季…」
真っ赤に泣き腫らした柚季の顔。
あたしは思わず柚季を抱き締める。
「…ごめん、帰りに貴から聞いたの… どーゆーこと…? あたしでよければ話聞くよ…?」
「いや… もー終わったことなんで… 大丈夫ですよ…?」
無理に笑顔を作ってみせる柚季。
大丈夫じゃないって顔してるのに…

「…大丈夫じゃないでしょ…? 少しは頼ってよ、ね?」
あたしはそんな柚季を見て、ますます心配でたまらない。
「とりあえず…今は… まだ部屋、荷物で散らかってるし、少し考えたいんで…」
と、柚季が俯く。
そこまで言われると、あたしとしても何も言えなかった。

「…分かった。貴も心配してたみたいだからさ? 何かあったらすぐ声かけてね? 部屋も近いんだし」
「はい…ありがとーございます…」
そんな言葉を交わせば、柚季はドアを閉めてしまった。

大丈夫かな……
あの調子だと相当やられてると思う。
やっぱり…遠恋って難しいのかな…
なんて思いながら、あたしは自室へと向かう。

「あ、琴美ー、ただ今ーっ!」
自室へと向かう途中で、後ろから理佳りかが帰って来たことに気付く。
「やーんっ、理佳ーっ!」
「やだもー琴美、久しぶり! 元気してた?」
思わずあたしと理佳はハグをする。

「どーだった? 帰省中は」
「まー何とか? とりあえず乗り切った感が強いかもw」
「ま、琴美は去年のこともあったしねw あ、いーよ。入りなよ?」
「あ、まじ? ごめんね、お邪魔しまーす」
あたしは自室を素通りすると、隣の理佳の部屋へと入る。

「で、どーなのよ? ゆたかさんとは」
理佳が荷物を片付けてる横で、あたしはごろごろしながら聞いてみる。
「ゆーちゃん? あー、年末年始に温泉に行ったw」
理佳が満面の笑みでピースする。
「え? まじかぁ… いーよな、理佳は近いからー」
「でも日帰りだよ?」
「だとしてもーっ!」
あたしは足をバタバタさせながら、全力でスネる。

「琴美こそどーなのよ?」
「あたしは会えるよーな距離じゃないもん」
「ま、そりゃそーかw」
「んもー、分かってんなら聞くなしw」
「あはは、ごめんごめん」
安定のガールズトーク。
やっぱり理佳は最強の親友だ。

「ところでさ…柚季のことなんだけど…」
あたしは理佳が荷物をあらかた片付けたとこで、話を切り出す。
「柚季? 帰省して彼氏と会って来たんじゃないの?」
「それが……」
あたしは貴から聞いたこと、柚季が貴に連絡して寮に帰る前に会ってたこと、さっきの柚季の様子を、理佳に話す。

「んー…なるほどね…」
「どーなんだろね… 柚季、何にも話してくれなかったし…」
さっきの柚季の様子だと、しばらくは立ち直れなさそーなのかな…
中学から付き合ってるって言ってたし…

「てかさ、何で貴に相談したんだろ… あたしも帰省前に相談のってたのに…」
「それはさ? やっぱ大人の意見も聞きたかったんじゃないの?」
「やっぱそーなのかなぁ…」
あたしはむーっと考える。
「そりゃーさ? 貴さんはもー学生時代を過ごして来たワケだし? ウチらとは違う視点で色々アドバイス出来るんじゃないの?」
考えてるあたしの頭を、理佳がぽんぽんと撫でる。
「柚季も落ち着いたら話してくれるって、ね? 今は少し見守ろ?」
「そーだね」

やっぱそれしか無いのかなぁ…
大丈夫かな、柚季…
あたしは柚季の泣き腫らした顔を思い出していた。
その涙が違う意味のものだとも気付かずに…
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