とある女の身の上話

紅羽 もみじ

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3話 対抗心の火種

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3話 対抗心の火種
 懇談会の後も、班で同じになったひろみを含めた4人は、時間を見計らっては、カフェでお茶会をしたり、それぞれの家に子どもも連れて遊びに行き、関係を深めて行っていた。
 この頃にはひろみは、他3人に対して対抗心を出さなくなっていた。

(始めは花道とか茶道とか、いかにも高尚なことやってます、みたいなこと言っててびっくりしたけど…。家も家の中にある物も大したことないわね。前にうちに来た時には、家にあるものを見つけてはすごいすごいって騒いでたし。こんな人たちに、私や弘明が負けるはずがないわ。)

 ひろみはすっかり3人に対して気を緩めており、たまに出てくる自慢話には成川や清水は若干引き気味だったが、絵里がその空気を中和するように会話を受け流すため、4人の均衡は何とか保たれていた。

「そういえば、青山さんとこのお子さん、他の子が遊んでるおもちゃ取り上げて、壊しちゃったらしいわよ。」
「えーこわーい…。あそこのお母さんも、何だか気が強そうっていうか、誰も寄せ付けない雰囲気あって、怖いなぁって思ってたのよね。」

 ひろみは、話題に上がっている青山という親子のことは、既にリサーチ済だった。弘明と同じクラスではないが、一度幼稚園で会った時に弘明は、青山の子どもにぶつかられたことがあり、当の母親はそれに対して何も言わずに立ち去ったことから、ひろみの中で危険人物として捉えていたからだった。

「うちの子なんか、青山さんとこのお子さんが後ろから弘明にぶつかられてね。母親なんか、謝りもせずにさっさとどこかに行っちゃったわ。私立に入れば、親も子どももそれなりにちゃんとした子が入ってくるから安心って思ってたのに、なんかショック受けちゃったわ。」
「ええ!?弘明くん、大丈夫だったの?怪我とかなかった?」
「幸いね。でも、次そんなことあったら絶対に許さないわ。先生にも報告してやるつもりよ。」

 成川や清水は、怖いものねー、や、マナーがないのねー、などと生返事をする。内心、そこまではやりすぎでは…と感じていることが微妙な空気に滲み出ていた。絵里はそんな雰囲気を感じ取り、さりげないフォローを入れた。

「私たちはみどり組で、青山さんはあお組でしょ。違うクラスで良かったわよね。クラスが同じだったら、どうなってたかわからないもの。それに、みどり組の先生2人とも、しっかり子ども達みてくれてて安心できるし。」
「そうそう!細かいところまでよく見てくれてるのよね。みどり組で良かったわ、本当。」

 成川や清水は、ひろみを否定せず、かつ空気を変えてくれる絵里の話にのっかり、ひろみも気分よく話に加わった。

「それにしても、林さんのやってる手芸、本当すごいわよね。カバンからハンカチもそうだけど、里香ちゃんのカバンについてるキーホルダーなんか、これ手作りなの!?ってびっくりしちゃった。」

 里香のカバンには、細かいビーズで編まれたアニメキャラクターの人形がいくつか付けられており、それら全てが、絵里の手作りによるものだった。

「キーホルダーはちょっと時間がかかっちゃうんだけど、カバンやハンカチなんかは、覚えちゃったら簡単よ。」
「それにしても、ハンカチに刺繍で模様がついてたりするじゃない?初め見た時、思わずどこで買ったの?って里香ちゃんに聞いちゃったわ。」
「その時、里香ちゃん嬉しそうに、お母さんの手作りなの!って言ってて可愛かったわー。」

 絵里達3人はすっかり手芸の話に夢中になっていたが、ひろみは作り笑いをしながらも、内心面白くない気分で苛立っていた。絵里はひろみの様子を知ってか知らずか、実はね、とさらに話を切り出した。

「私、数年前までは手芸とか裁縫は、趣味として楽しんでただけだったんだけど、夫がSNSに投稿してみたら?って言ってきて。いろんな人に見てもらいなよ、ってあんまりにも勧めてくるから、本当軽い気持ちで投稿してみたのね。そしたら…」

 絵里はスマートフォンを取り出し、作品を投稿しているSNSのアカウントを3人に見せた。絵里のアカウントのフォロー数が10万人を超えているのを見て、成川や清水は歓声を上げる。

「すごいじゃない!これってあれじゃない?ほら、インフルエンサーってやつ!?」
「あ!この投稿、私も見たことあるわ!これ、林さんだったの!?知らなかったわー。」
「大したものじゃないんだけど、たまに手芸関係の用品を扱ってる企業さんから、うちの商品宣伝してくださいってオファーが来ることもあるかな。でも、すごい人はもっといるから…」
「そんな、十分すごいじゃない!」
「私もアカウント持ってるからフォローする!」

 成川と清水が興奮することで、絵里のSNS人気の話題で持ちきりになっていた。その裏で、ひろみの内心には沸々と苛立ちが立ち込めていく。

(こんな投稿するだけで、10万人の人が見てて、企業からオファーが来るっていうの?ただちょっと物を作っただけで??……意味がわからないわ。何なのよ、この女。)

「岡田さんは、SNSとかはしないの?」

 にっこりと笑った絵里の急な問いかけに、苛立ちで頭に登っていた血の気がふっと下がった。ひろみは、さりげなく平静を装い、

「え、ええ、ネットは使うけど…」

 と言葉を濁した。

「ええ!?意外ね、岡田さんが持ってるものとか、流行の最先端!って感じがしてたから、てっきりSNSで情報を集めたりしてるってイメージしてたんだけど、違ったの?」

 成川は不思議そうにひろみに問いかけるが、まさにその通りで、ひろみは一瞬言葉を失った。流行りのものには特に敏感なひろみの情報源は、ネットはもちろんだが、SNSもしっかり使ってどんな些細なものでも、世間の流行りというものを調べ尽くしていた。

「これから、登録してみるわ。ええっと、林さんが使ってるSNSって…」
「この単語で検索してみて。ここから、アプリがダウンロードできるから。」

 ひろみは内心では、知ってるわよ、そんなこと、と毒付いていたが、知らないふりをして新しいアカウントを作成し、絵里のアカウントをフォローした。成川や清水は相変わらず、この作品すごい、これはどうやって作ったの、など、絵里に矢継ぎ早に様々なことを聞いては騒いでおり、ひろみはただその流れにひたすら作り笑いをしてお茶を濁していた。

(……こんな、ただ物をちょっと見栄え良く作っただけで、大勢の人から注目されるの?しかも、企業からオファーがくる?信じられない…。…こんなものが注目されるんなら、私はそれ以上になれるわよ。)

 ひろみは、その後のお茶会では、絵里がインフルエンサーとして活動しているという衝撃と、多くの人から注目を集めているという事実への嫉妬心に支配され、作り笑いをしながら生返事をすることで精一杯になっていた。成川の、そろそろ旦那が帰ってくるわ、夕飯の準備しなきゃ、という一言でお茶会は終了。暇を告げて、絵里の家を後にした。
 ひろみは絵里の家から自宅へ帰る間、帰宅してから敏明が帰ってくるまでの夕飯の準備中まで、とにかく自分もインフルエンサーとして注目されるためには何をすべきか、ということで頭がいっぱいになっていた。

(弘明の絵は、いつも上手ねって褒めるけど、注目されるほどのものじゃない。私がいつも作ってる料理も、手の込んだものは作ってないし、悔しいけど注目を集められるだけの自信はない…、何か、何かないの?私が、大勢から注目される、何か…)

 そう思考を巡らせていることから、敏明の帰宅にも気づかず、ひたすらぶつぶつと呟き続けていたせいか、夫に真っ青な顔をして心配されていることに気づいた。

「あ…あなた、お帰り、なさい。」
「どうしたんだ、ひろみ…。具合でも悪いのか。それなら、無理して夕飯作らなくてもいいよ。」
「あ、あぁ、いいえ。大丈夫よ、ありがとう。」

 ひろみは、敏明の声かけをきっかけに一先ず落ち着きを取り戻し、家事に集中することとした。3人で夕飯を囲むいつもの風景。弘明の食べこぼしの面倒を見ながら、夫と子どもが楽しそうに話す光景、普段通りのはずなのだが、頭の中ではどうしても、今日のお茶会での出来事が脳裏をよぎった。
 夕飯の片付けも済み、敏明はいつものように弘明をお風呂にいれ、少し遊んだ後に寝かしつけた。

(今日のひろみ、どうみても様子がおかしかったよなぁ…。何かあったのか?弘明のことなら、僕が帰ったらおかえりの次にはあれこれを習わせたいとか言うし、弘明のことじゃないとは思うけど…。)

 ひろみが風呂から上がった気配を感じ、敏明はリビングでひろみを迎えた。ひろみは相変わらず、どこか暗い顔をして「何か」を考えを巡らせているということは見てとれた。敏明はふと、今日帰宅したらひろみに朗報を伝えようとしていたことを思い出した。

「そうだ、ひろみ。今日、会社の先輩から絵画教室の情報を聞いてきたよ。教室っていうよりは、その先生が色んな絵画コンクールで賞を取っている人で、マンツーマンで教えてくれるらしい。この前の絵画教室じゃ、多人数を相手に先生が教えるっていうところだったみたいだけど、先生とマンツーマンならその心配もないと思うんだけど、どうだろう?」
「え、ああ…確かに、いいかもしれないわね。」
「…先生とマンツーマンは心配かい?」
「そんなことないわ。えっと、その絵画教室はどこにあるの?」
「車で20分くらいかかるところだから、ちょっと遠いかな。でも、先生はある程度こちらの都合に合わせて時間を調整してくれるらしいから、一度相談だけでも行ってみたらどうかな。」
「ええ…、そうするわ。」

 敏明は、どこまでもひろみが生返事をする様子に、いよいよ不安になってきた。しかし、ひろみはその悩みを話してくれる気配はない。以前にも似たような状況があり、無理やり聞き出そうとしたが、逆効果となってしまったので見守るしかないのだが、打ち明けてくれるまで待つという側は悩んでいる当事者とはまた違った心労が襲う。
 ひろみ自身は、夫が会社の先輩から聞いてきたという絵画教室の話はしっかり耳に入っており、頭で記憶はしたが、どうしても「自身がSNSで注目されるにはどうしたらいいか」という考えに脳内は支配されていた。お風呂上がりにスキンケアのために使う鏡に映る自分。この目の前の自分が、世間から見てもらえるようにするにはどうしたらいいのか…、そんなことを考えていた時、敏明はひろみに話しかけた。

「そういえば、前から不思議だったんだけど、君は肌のケアをするのに、色んな物を使ってるよね。僕にはよくわからないんだけど、それぞれ何か違う効果があるのかい?」
「そうよ。この年になってくると、肌に瑞々しさがなくなってくるから、それを補完するものから、潤いを留めておくためのもの、肌にシミができるのを防ぐものから色々とあるのよ。」
「へー、すごいなぁ。それで君の美貌が保たれてるんだね。」

 敏明の何気ない疑問に答えている時、ひろみの中で電流が走ったような閃きを感じた。

(そうだわ!化粧品よ!!若いママ達に負けちゃいけないって思って、子どもができる前からスキンケアやお化粧を頑張ってきた。これよ、これなら注目を集められる!!)

「貴方、ありがとう!!流石私の旦那だわ!」
「え!?あ、ああ…、ありが、とう?」

 ひろみの瞳には先ほどとは打って変わって、目をきらめかせて元気を取り戻したが、一方の敏明は何を感謝されているのか全く理解していなかった。ひろみはいつものスキンケアを終わらせると、意気揚々と洗面台へ寝支度をしに向かい、当の夫はポカンとしたままリビングに放置されてしまった。
 翌日、弘明を幼稚園に見送った後、ひろみは早速化粧品や化粧を宣伝しているインフルエンサー達の研究を始めた。化粧品やメイク用品を宣伝しているインフルエンサー達は、もともとからの美貌なのか、それとも化粧品で作られたものなのか見分けはつかなかったが、誰も彼もが芸能人顔負けの美しさ、可愛さを纏っていた。

(悔しいけど、若い子が多い界隈では叶わないわね…。年齢には勝てない、そこは認めないと。でも、私と同い年くらいの人たちは、そこまで大したことしてない。確かに綺麗に見えるけど、化粧でシミ消しとかシワを誤魔化しているだけだわ。ここに勝機がある。)

 次にひろみが調べたのは、インフルエンサー達が、果たしてどのようにして有名人までのし上がって行ったのかだった。身近にいるインフルエンサーは絵里がいたため、ここは悔しさを抑えて、絵里のアカウント開始から何を投稿し、どのように投稿内容が変遷していき、注目されるようになったか、を研究するモデルケースとした。

(あの女は、初め夫に言われてSNSに投稿するようになった、と言ってたわね。最初の投稿は…、これ、かしら。)

 絵里の初めの投稿は至ってシンプルで、ただ出来上がったものの写真を撮り、ちょっとした投稿文を掲載しているだけだった。その投稿は注目されるようになった投稿と比べて、注目度も低く、そこから少しずつ投稿を続けていったようだ、ということがタイムラインを遡ることでわかった。そして、絵里のアカウントが注目されるきっかけとなった投稿は、ビーズや花、スパンコールなどをレジンで固めた綺麗なアクセサリー、キーホルダーを作り、「レジンに挑戦してみました」というものだった。

(確かに、この写真は色んな人の目を引くわね…。見た限りじゃ綺麗だし、商業施設で売られているようなものと遜色ないものになってる。…コメントもすごいわね。どうやって作ったのか、販売はしないのか、どこで材料を揃えたのか…、このキーホルダーと同じものを作りたくて、みんな質問をしている。)

 さらにひろみの目を引いたのは、その数多くの質問に対して、絵里が懇切丁寧に返信をしていることだった。育児や家事で忙しい中、時間を見計らっては返信をしているのだろう、と推測された。
 ひろみのインフルエンサーとして活動するための研究は、弘明の幼稚園のお迎えまで続いた。その時に成川や清水、絵里とも顔を合わせ、しばしの井戸端会議をしたが、その時も絵里の手芸の話で持ちきりになっていた。その状況はひろみにとって面白いものではなかったが、自分にも対抗しうるものがあるとわかったことから、悔しさよりも対抗心の方が強かった。

(今はちやほやされて、さぞいい気分でしょうけど…、あんたなんか、すぐに追い抜いてやるわ。覚悟してなさいよ。)

「ねぇ、岡田さんも見た?この前の林さんの投稿!」
「すごいわよね、これ、企業さんからの依頼で投稿したんだって!」

 絵里は、優しく微笑みながらひろみを見た。

「ええ、見たわ。すごいわよねー。」

 ひろみは心の中では対抗心を燃やしながらも、それをおくびにも出さずに微笑んだ。
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