【完結】私のことが大好きな婚約者さま

咲雪

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sideリアーナ

1.王太子妃なんて聞いてない!

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 「リリ、婚約解消しようか」

 「‥‥‥承知致しました。ただ、陛下と父がお認めになってからになりますが」

 「やだな、冗談だよ。ショックだな、そんなあっさりと」

 「タチの悪い冗談はおやめください、アレンディオ殿下」

 「アレンディオなんてよそよそしいなぁ、いつも通り"レン"と呼んでよ」


ーーーーーーーーーーーーーーーーーー


 私、リリこと、リアーナ・ムスカ侯爵令嬢と、この国の第二王子アレンディオ・ルーデンス殿下は婚約中です。
 今日は昼下がりの王城にあるガゼボで週に一度の2人だけのお茶会。そんな中、飛び出したセリフ。ちょっと前だったら婚約解消だなんて即拒否だったけど、つい最近状況が変わって
 
 う~ん

と、躊躇ったりしてしまいます。





 レン様とは5歳違いのジュリアス第一王子殿下が、3年前の立太子直前に原因不明の病に罹りました。

 当時、レン様も側妃腹のマーカス第三王子殿下もまだ13歳と立太子するにはまだ早過ぎるということで、当時はまだどちらかが立太子されることもありませんでした。

 しかし、3年経ってもジュリアス殿下は回復するどころか益々悪化するばかりなため、『第二王子を王太子にするべきだ!』と推す声が大きくなってきましたし、イザベラ公爵令嬢との婚約が解消になった場合、年齢的に『次の婚約に影響する!早急な判断を!』と行き遅れとなるかもしれないイザベラ様を心配してイザベラ様のお父様である公爵様から迫られています。

 第二王子妃と未来の国母である王太子妃とでは心持ちが大違いなんです!
 自他認める変わり者の私には向いてないし!
 プレッシャーに押し潰されそうなんです!

‥‥そんなわけで最近ナーバスになっている私です。




 「アレンディオ殿下、そろそろ執務のお時間です」

 護衛騎士が声をかけました。


 レン様は立ち上がり私の前に来たので、私も腰を上げると、レン様が私の肩口に頭をポスんと落としました。


 「不安にさせてしまってゴメンね。どんな状況になってもリリを守るから」

 「レン様‥‥」


 顔を上げたレン様は、私の髪を一掬いし口付けました。


 耳元で

 「愛してるよ、リリ」

と囁き、にこやかに

 「また来週会おうねー」

と言って颯爽と護衛騎士と共に執務室に戻って行きました。



ーーーーーーーーーーーーーーーーーー


 私も帰宅することにしました。
 毎回お茶会の帰りに楽しみにしている薔薇園に立ち寄りました。まるで、華やかな香りが鬱鬱とした心を癒してくれているようです。




 「リアーナ嬢!」

 「あ、マーカス殿下」

 ニコニコとマーカス殿下が駆け寄ってきました。

 「アレンとのお茶会の帰り?」

 「えぇ、そうなんです」

 「俺はこれから王子教育なんだ。つまんないけど頑張らないとね」

 「私も明日王子妃教育です。大変だけどお互い頑張りましょうね」


 「マーカス殿下。急がないとジョージ先生からお小言もらいますよ~」

と護衛騎士が急かしました。

 「あー、もう?じゃ、リアーナ嬢ゆっくり楽しんで行って!」

 マーカス殿下は手をブンブン振って王宮へと向かって行きました。



ーーーーーーーーーーーーーーーーーー


 この国には3人の王子がいます。


 正妃腹のジュリアス第一王子、アレンディオ第二王子。

 側妃腹のマーカス第三王子。


 ご成婚後すぐに王太子妃(現:王妃)は身籠りジュリアス殿下がお生まれになりましたが、次の御子が中々お生まれになりませんでした。王位についてからというもの、すでに第一王子がいるにも関わらず、議会から『側妃を娶って御子を!』と突き上げられました。(保険でスペアが欲しかったんでしょうね)しかし、政略結婚だったとは思えないほど王妃様を溺愛している陛下は抵抗していました。しかし、王妃様から宥められ泣く泣く側妃を娶られました。

 側妃様の懐妊が発表されると側妃様は大層喜ばれましたが、なんとその1ヶ月後、正妃様も懐妊したことがわかりました。王城はめでたいと歓喜に包まれました。

 予期せぬことが起きました。正妃様が1ヶ月近く早く産気付き、レン様が誕生したのです。その3日後マーカス殿下がお生まれになりました。

 それが気に食わなかった側妃様は、『どうしてお前はさっさと生まれなかったの!』と生まれたばかりのマーカス殿下を責め続けました。(第一王子に何かあった場合、第三王子よりは第二王子の方が王位に近いと思われたのかもしれません。)

 そして、とうとう手を挙げマーカス殿下の頬を打ちました。乳母が慌てて王宮に駆け込み陛下に助けを求めました。激怒した陛下は側妃様からマーカス殿下を取り上げました。それからマーカス殿下は王宮で暮らすことになりました。正妃様はマーカス殿下も我が子と同じように慈しみました。

 元々まともに公務をしていなかった側妃様は、許可なく離宮から出ることを禁じられました。

 陛下は閨はするつもりはないが、話をするために、月に1度ほど離宮に訪いましたが、側妃様は荒れていて話しができる状態ではなく、だんだん足が遠のいてしまいました。




ーーーーーーーーーーーーーーーーーー


 向いてないだの、プレッシャーがどうのこうの愚痴愚痴言ってますが、一番の悩みは

"お世継ぎ"

のことなんです!

 この国では国王になると側妃を3人まで持てます。

 レン様が国王になり私との御子が生まれなかったり、生まれても女児だった場合(我が国では王女には王位継承権なし)、『側妃を娶れ!側妃を娶れ!』と五月蝿く言われ続けるでしょう。

 現王妃様を溺愛している現国王陛下でさえ最終的には拒めませんでした。

 王妃様は他国の王女だった為、王族としての覚悟がおありだったのでしょう。自ら陛下を説得されました。

 でも、とてもじゃないけど私には耐えきれそうにありません!

 旦那様を誰かと共有するなんて無理!

 レン様は『側妃なんて娶らない!僕にはリリだけだ!王子ができなくてもマーカスや叔父上がいるじゃないか!』と言ってくれているけれど、陛下だって無理だったんだもの。レン様だってどうなるかわからない‥‥。
私には圧倒的に覚悟が足りない‥‥。


 あぁ、鬱鬱する‥‥。

 毎夜毎夜、鬱鬱している私なのでした‥‥。




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