【完結】私のことが大好きな婚約者さま

咲雪

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sideリアーナ

2.断罪話

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 一週間後。

 恒例のレン様とのお茶会。

 今日は巷で人気のある小説の話でした。

 「隣国で実際にあった事件がもとになっているんだけど、王太子が男爵令嬢と恋仲になり、それに嫉妬した王太子の婚約者である公爵令嬢(陰で"悪役令嬢"と呼ばれてる)の度重なる嫌がらせを理由に大勢の前で婚約破棄を言い渡し、公爵令嬢の国外追放を命じた。そして2人は『真実の愛』で結ばれるんだ。しかし、周囲の理解が得られなかった。それでも愛を貫き2人して市井に降りた。悲恋の物語だと人気が出た」

 「そんな事件でしたっけ?」

 「そうだね。この小説には2パターンあって、もうひとパターンは"断罪返し"。実際にあったのは、断罪返しの方」

 「断罪返し?」

 「ああ、聡い公爵令嬢は無実の罪を被せられるかもと考え、王室から女性護衛騎士を2人派遣してもらい常に行動を共にしていたんだ。詳細は省くけど、王太子たちを悉く論破。冤罪を晴らし、逆に王太子たちを断罪したんだ。王太子は廃嫡され王位継承権剥奪された。実際は平民にはならず王族のままなんだけど。男爵令嬢は修道院行きさ」

 「あー、それで公爵令嬢と第二王子が婚姻したんでしたね」

 「『真実の愛』バージョンの方は低位令嬢と平民に受けて、事実を知る高位貴族には『断罪返し』バージョンの方が売れたんだ」

 「まあ、『真実の愛』なんてロマンチックですものね」

 「正式な手順を踏んで婚約破棄なり解消するなりすればよかったんだ。元々政略で公爵令嬢は嫉妬なんて全然してなかったらしいし。この男爵令嬢は素行は悪いは、側近たちも誑かすはで、どっちが悪役令嬢なんだか」

 「レン様の前にそんな人が現れないか心配だわ」

 「そんな奴が現れても僕にはリリしか見えてないから大丈夫だよ。靡くわけないよ。心配しないで」

 「ふふ、そうだといいですね」

 「疑ってるの?ショックだなー」


 今日のお茶会は終始断罪話でした。



 今日はこれで時間切れ。

 名残惜しいけど、来週の約束をしてお別れ。

 今日も

 「大好きだよ、リリ」

と囁いてくれる。

 うー、いつも去り際言ってくれるけど、まだ慣れないわ。ずっと一緒にいたい。

 でもなぁ、王太子妃‥‥。



ーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 
 お茶会が終わってレン様が去った後、下を見て落し物に気づきました。

 「あら?レン様のハンカチだわ。まだ追いつけるかしら?」


 「リアーナお嬢様、次回のお茶の時にお渡しでもいいのではないですか?来週もお会いしますし」

 「今日がいいの。お願い!」

 「うんー、仕方ないですね」

 急ぎ足で侍女のマリーと護衛のジョンと一緒にレン様を追いかけました。



 王宮の前に着くと門番に声をかけられました。

 「ムスカ嬢どうされましたか?」


 「アレンディオ殿下が忘れ物されたので、届けに行きたいの」

 「預かって届けましょうか?」

 「ううん、自分で手渡したいの。通してくれない?」

 「わかりました。お気をつけて」

 「ありがとう!」


 このハンカチは私の超絶下手くそな刺繍入り。他の人には見られたくないのよね。レン様は芸術的だと言ってくれるけど。



 通路を進むとレン様の後ろ姿が見えたから呼び止めようとしていたら、柱の影から女性使用人らしき人物が現れました。

 なんだか怪しいです。

 その人物は急に走り出し、お仕着せのポケットに手を入れました。

 ギラっと光るものが見えました。

 私は、無意識で令嬢にあるまじきスピードで追いかけました。



ーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 断罪話は、のちのエピソードに関係してくるので挿話しました。




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