2 / 28
sideリアーナ
2.断罪話
しおりを挟む
一週間後。
恒例のレン様とのお茶会。
今日は巷で人気のある小説の話でした。
「隣国で実際にあった事件がもとになっているんだけど、王太子が男爵令嬢と恋仲になり、それに嫉妬した王太子の婚約者である公爵令嬢(陰で"悪役令嬢"と呼ばれてる)の度重なる嫌がらせを理由に大勢の前で婚約破棄を言い渡し、公爵令嬢の国外追放を命じた。そして2人は『真実の愛』で結ばれるんだ。しかし、周囲の理解が得られなかった。それでも愛を貫き2人して市井に降りた。悲恋の物語だと人気が出た」
「そんな事件でしたっけ?」
「そうだね。この小説には2パターンあって、もうひとパターンは"断罪返し"。実際にあったのは、断罪返しの方」
「断罪返し?」
「ああ、聡い公爵令嬢は無実の罪を被せられるかもと考え、王室から女性護衛騎士を2人派遣してもらい常に行動を共にしていたんだ。詳細は省くけど、王太子たちを悉く論破。冤罪を晴らし、逆に王太子たちを断罪したんだ。王太子は廃嫡され王位継承権剥奪された。実際は平民にはならず王族のままなんだけど。男爵令嬢は修道院行きさ」
「あー、それで公爵令嬢と第二王子が婚姻したんでしたね」
「『真実の愛』バージョンの方は低位令嬢と平民に受けて、事実を知る高位貴族には『断罪返し』バージョンの方が売れたんだ」
「まあ、『真実の愛』なんてロマンチックですものね」
「正式な手順を踏んで婚約破棄なり解消するなりすればよかったんだ。元々政略で公爵令嬢は嫉妬なんて全然してなかったらしいし。この男爵令嬢は素行は悪いは、側近たちも誑かすはで、どっちが悪役令嬢なんだか」
「レン様の前にそんな人が現れないか心配だわ」
「そんな奴が現れても僕にはリリしか見えてないから大丈夫だよ。靡くわけないよ。心配しないで」
「ふふ、そうだといいですね」
「疑ってるの?ショックだなー」
今日のお茶会は終始断罪話でした。
今日はこれで時間切れ。
名残惜しいけど、来週の約束をしてお別れ。
今日も
「大好きだよ、リリ」
と囁いてくれる。
うー、いつも去り際言ってくれるけど、まだ慣れないわ。ずっと一緒にいたい。
でもなぁ、王太子妃‥‥。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーー
お茶会が終わってレン様が去った後、下を見て落し物に気づきました。
「あら?レン様のハンカチだわ。まだ追いつけるかしら?」
「リアーナお嬢様、次回のお茶の時にお渡しでもいいのではないですか?来週もお会いしますし」
「今日がいいの。お願い!」
「うんー、仕方ないですね」
急ぎ足で侍女のマリーと護衛のジョンと一緒にレン様を追いかけました。
王宮の前に着くと門番に声をかけられました。
「ムスカ嬢どうされましたか?」
「アレンディオ殿下が忘れ物されたので、届けに行きたいの」
「預かって届けましょうか?」
「ううん、自分で手渡したいの。通してくれない?」
「わかりました。お気をつけて」
「ありがとう!」
このハンカチは私の超絶下手くそな刺繍入り。他の人には見られたくないのよね。レン様は芸術的だと言ってくれるけど。
通路を進むとレン様の後ろ姿が見えたから呼び止めようとしていたら、柱の影から女性使用人らしき人物が現れました。
なんだか怪しいです。
その人物は急に走り出し、お仕着せのポケットに手を入れました。
ギラっと光るものが見えました。
私は、無意識で令嬢にあるまじきスピードで追いかけました。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーー
断罪話は、のちのエピソードに関係してくるので挿話しました。
恒例のレン様とのお茶会。
今日は巷で人気のある小説の話でした。
「隣国で実際にあった事件がもとになっているんだけど、王太子が男爵令嬢と恋仲になり、それに嫉妬した王太子の婚約者である公爵令嬢(陰で"悪役令嬢"と呼ばれてる)の度重なる嫌がらせを理由に大勢の前で婚約破棄を言い渡し、公爵令嬢の国外追放を命じた。そして2人は『真実の愛』で結ばれるんだ。しかし、周囲の理解が得られなかった。それでも愛を貫き2人して市井に降りた。悲恋の物語だと人気が出た」
「そんな事件でしたっけ?」
「そうだね。この小説には2パターンあって、もうひとパターンは"断罪返し"。実際にあったのは、断罪返しの方」
「断罪返し?」
「ああ、聡い公爵令嬢は無実の罪を被せられるかもと考え、王室から女性護衛騎士を2人派遣してもらい常に行動を共にしていたんだ。詳細は省くけど、王太子たちを悉く論破。冤罪を晴らし、逆に王太子たちを断罪したんだ。王太子は廃嫡され王位継承権剥奪された。実際は平民にはならず王族のままなんだけど。男爵令嬢は修道院行きさ」
「あー、それで公爵令嬢と第二王子が婚姻したんでしたね」
「『真実の愛』バージョンの方は低位令嬢と平民に受けて、事実を知る高位貴族には『断罪返し』バージョンの方が売れたんだ」
「まあ、『真実の愛』なんてロマンチックですものね」
「正式な手順を踏んで婚約破棄なり解消するなりすればよかったんだ。元々政略で公爵令嬢は嫉妬なんて全然してなかったらしいし。この男爵令嬢は素行は悪いは、側近たちも誑かすはで、どっちが悪役令嬢なんだか」
「レン様の前にそんな人が現れないか心配だわ」
「そんな奴が現れても僕にはリリしか見えてないから大丈夫だよ。靡くわけないよ。心配しないで」
「ふふ、そうだといいですね」
「疑ってるの?ショックだなー」
今日のお茶会は終始断罪話でした。
今日はこれで時間切れ。
名残惜しいけど、来週の約束をしてお別れ。
今日も
「大好きだよ、リリ」
と囁いてくれる。
うー、いつも去り際言ってくれるけど、まだ慣れないわ。ずっと一緒にいたい。
でもなぁ、王太子妃‥‥。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーー
お茶会が終わってレン様が去った後、下を見て落し物に気づきました。
「あら?レン様のハンカチだわ。まだ追いつけるかしら?」
「リアーナお嬢様、次回のお茶の時にお渡しでもいいのではないですか?来週もお会いしますし」
「今日がいいの。お願い!」
「うんー、仕方ないですね」
急ぎ足で侍女のマリーと護衛のジョンと一緒にレン様を追いかけました。
王宮の前に着くと門番に声をかけられました。
「ムスカ嬢どうされましたか?」
「アレンディオ殿下が忘れ物されたので、届けに行きたいの」
「預かって届けましょうか?」
「ううん、自分で手渡したいの。通してくれない?」
「わかりました。お気をつけて」
「ありがとう!」
このハンカチは私の超絶下手くそな刺繍入り。他の人には見られたくないのよね。レン様は芸術的だと言ってくれるけど。
通路を進むとレン様の後ろ姿が見えたから呼び止めようとしていたら、柱の影から女性使用人らしき人物が現れました。
なんだか怪しいです。
その人物は急に走り出し、お仕着せのポケットに手を入れました。
ギラっと光るものが見えました。
私は、無意識で令嬢にあるまじきスピードで追いかけました。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーー
断罪話は、のちのエピソードに関係してくるので挿話しました。
109
あなたにおすすめの小説
義兄のために私ができること
しゃーりん
恋愛
姉が亡くなった。出産時の失血が原因だった。
しかも、子供は義兄の子ではないと罪の告白をして。
入り婿である義兄はどこまで知っている?
姉の子を跡継ぎにすべきか、自分が跡継ぎになるべきか、義兄を解放すべきか。
伯爵家のために、義兄のために最善の道を考え悩む令嬢のお話です。
安らかにお眠りください
くびのほきょう
恋愛
父母兄を馬車の事故で亡くし6歳で天涯孤独になった侯爵令嬢と、その婚約者で、母を愛しているために側室を娶らない自分の父に憧れて自分も父王のように誠実に生きたいと思っていた王子の話。
※突然残酷な描写が入ります。
※視点がコロコロ変わり分かりづらい構成です。
※小説家になろう様へも投稿しています。
旦那さまは私のために嘘をつく
小蔦あおい
恋愛
声と記憶をなくしたシェリルには魔法使いの旦那さまがいる。霧が深い渓谷の間に浮かぶ小さな島でシェリルは旦那さまに愛されて幸せに暮らしていた。しかし、とある新聞記事をきっかけに旦那さまの様子がおかしくなっていっていく。彼の書斎から怪しい手紙を見つけたシェリルは、旦那さまが自分を利用していることを知ってしまって……。
記憶も声もなくした少女と、彼女を幸せにするために嘘で包み込もうとする魔法使いのお話。
私は恋をしている。
はるきりょう
恋愛
私は、旦那様に恋をしている。
あれから5年が経過して、彼が20歳を超したとき、私たちは結婚した。公爵家の令嬢である私は、15歳の時に婚約者を決めるにあたり父にお願いしたのだ。彼と婚約し、いずれは結婚したいと。私に甘い父はその話を彼の家に持って行ってくれた。そして彼は了承した。
私の家が公爵家で、彼の家が男爵家だからだ。
上手に騙してくださらなかった伯爵様へ
しきど
恋愛
アイルザート・ルテシオ伯爵は十七歳で家督を継いだ方だ。
文武両道、容姿端麗、人柄も良く領民の誰からも愛される方だった。そんな若き英雄の婚約者に選ばれたメリッサ・オードバーン子爵令嬢は、自身を果報者と信じて疑っていなかった。
彼が屋敷のメイドと関係を持っていると知る事になる、その時までは。
貴族に愛人がいる事など珍しくもない。そんな事は分かっているつもりだった。分かっていてそれでも、許せなかった。
メリッサにとってアイルザートは、本心から愛した人だったから。
拝啓 お顔もお名前も存じ上げない婚約者様
オケラ
恋愛
15歳のユアは上流貴族のお嬢様。自然とたわむれるのが大好きな女の子で、毎日山で植物を愛でている。しかし、こうして自由に過ごせるのもあと半年だけ。16歳になると正式に結婚することが決まっている。彼女には生まれた時から婚約者がいるが、まだ一度も会ったことがない。名前も知らないのは幼き日の彼女のわがままが原因で……。半年後に結婚を控える中、彼女は山の中でとある殿方と出会い……。
頭頂部に薔薇の棘が刺さりまして
犬野きらり
恋愛
第二王子のお茶会に参加して、どうにかアピールをしようと、王子の近くの場所を確保しようとして、転倒。
王家の薔薇に突っ込んで転んでしまった。髪の毛に引っ掛かる薔薇の枝に棘。
失態の恥ずかしさと熱と痛みで、私が寝込めば、初めましての小さき者の姿が見えるようになり…
この薔薇を育てた人は!?
伝える前に振られてしまった私の恋
喜楽直人
恋愛
第一部:アーリーンの恋
母に連れられて行った王妃様とのお茶会の席を、ひとり抜け出したアーリーンは、幼馴染みと友人たちが歓談する場に出くわす。
そこで、ひとりの令息が婚約をしたのだと話し出した。
第二部:ジュディスの恋
王女がふたりいるフリーゼグリーン王国へ、十年ほど前に友好国となったコベット国から見合いの申し入れがあった。
周囲は皆、美しく愛らしい妹姫リリアーヌへのものだと思ったが、しかしそれは賢しらにも女性だてらに議会へ提案を申し入れるような姉姫ジュディスへのものであった。
「何故、私なのでしょうか。リリアーヌなら貴方の求婚に喜んで頷くでしょう」
誰よりもジュディスが一番、この求婚を訝しんでいた。
第三章:王太子の想い
友好国の王子からの求婚を受け入れ、そのまま攫われるようにしてコベット国へ移り住んで一年。
ジュディスはその手を取った選択は正しかったのか、揺れていた。
すれ違う婚約者同士の心が重なる日は来るのか。
コベット国のふたりの王子たちの恋模様
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる