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sideアレンディオ
7.鮮やかに色付いた世界
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僕はモノクロの中で生きてきた。それがパッと急に鮮やかに色づいた。
その子のまわりがキラキラしてる。まるで妖精が楽しげに飛び回っているようだ。
「何やってるの?」
声をかけずにいられなかった。
きょとんとした顔の女の子。かわいい!
「えっ。ちょうちょ追いかけてたの。でも逃げられちゃった」
「悪かった。僕が声かけたからだね。向こうには戻らなくていいの?」
「うん、いいの。つまんないんだもん。だってね、お菓子食べてたら『こんなところでずっとお菓子食べてるなんて変よ』って、みんなが言うの。せっかく作ってくれた料理人に悪いと思わないのかしら?」
「そうだね。僕も同じこと思っていたよ」
あ、まだ名前聞いてない。
「僕は、アレンディオ・ルーデンス。この国の第二王子だよ」
「え、王子様?!
わ、わたくしムスカ侯爵家が二女リアーナと申しましゅ、
わ、噛んじゃった!」
と顔を真っ赤にし、紅葉のように小さな両手で口を押さえた。
うん、すごく可愛い。
リアーナは、プラチナブロンドの髪に紫水晶のような瞳の女の子だ。
ほんとに妖精みたいだ。
「座って少し話そうよ」
「いいわよ」
「ねー、君のこと"リリ"って呼んでいい?」
「"リリ"?
お父様もお母様もお兄様もお姉様、あとお祖父様もお祖母様も"リア"って呼ぶのよ」
「君の特別になりたいんだ」
「ふふ、そうなんだ。"リリ"?かわいい!特別にいいよ。
アレンディオ様のことはなんて呼べばいい?」
「家族は"アレン"て呼んでるよ。リリが決めて」
「うーん、そうねー。
"レン"様はどう?」
「うん、いいね。リリの特別だね」
それからは質問攻めだ。
「リリは何歳なの?」
「5歳」
「僕と一緒だね」
「好きな色は?僕は紫だよ」
ホントは好きな色なんてないけど。
「私は青よ」
「へー、そうなんだ。僕の瞳の色だね。女の子ってピンクとか赤が好きなんだと思ってたよ」
「好きな食べ物は?僕は鴨のロースだよ」
「わー、大人みたいね。私はトムが作ってくれるレモンパイ!」
「城の専属料理人のスイーツが絶品なんだ。今度食べにおいでよ」
「わー、食べたい!行く行く!
あ、でもお父様に行ってもいいか聞かなきゃ」
「僕から侯爵に言っておくよ」
(略)
「リリはどんなことが好きなの?」
「かけっこ!あと、木登り!」
「‥‥リリはすごいね‥‥」
「‥‥でもね、もうすぐできなくなるの‥‥」
リリがしゅんとした。
「どうして?」
「6歳になったら"淑女教育"始めるんですって。だから5歳までって約束なの」
「そうなんだ。残念だね。もうほとんどの令嬢が始めてるから仕方ないんだろうね」
「そうそう、レン様はかけっこできる?」
と、ぱっと切り替えて笑顔で聞いてきた。
「したことないな~。そうだ、練習しておくからリリが5歳の間に一緒にかけっこしよう!」
「わー、約束よ!」
リリはそう言うと小指を立てて、僕の小指に絡ませた。
「!!!
こ、これは?」
「遠い国の約束の印なんだって。お姉様が教えてくれたの。約束破ったら針を千本飲まないといけないんだって」
「お、恐ろしい風習だね‥‥」
リリに触られちゃった!
たぶん僕の顔は真っ赤だ。湯気が出てるかもしれない。
「リアー、リアーどこにいるのー」
「あ、お母様だ!戻らないと。レン様も一緒に戻ろう!」
一緒はまずいだろう。
一緒のところ見られたら、リリが令嬢たちから攻撃されるかもしれない。
「あ、いや、僕は後から護衛たちと戻るよ」
「そう?また会おうね!」
「ああ、またね」
リリが母親の元に駆けて行った。
名残惜しいが仕方ない。
リリは、なかなか規格外の令嬢だった。
これが"ギャップ萌え"というものだろうか?ん?"ギャップ萌え"ってなんだ?
令嬢というか、人と接して"楽しい"と思えたのは初めてだ。
また早くリリに会いたいな。
その子のまわりがキラキラしてる。まるで妖精が楽しげに飛び回っているようだ。
「何やってるの?」
声をかけずにいられなかった。
きょとんとした顔の女の子。かわいい!
「えっ。ちょうちょ追いかけてたの。でも逃げられちゃった」
「悪かった。僕が声かけたからだね。向こうには戻らなくていいの?」
「うん、いいの。つまんないんだもん。だってね、お菓子食べてたら『こんなところでずっとお菓子食べてるなんて変よ』って、みんなが言うの。せっかく作ってくれた料理人に悪いと思わないのかしら?」
「そうだね。僕も同じこと思っていたよ」
あ、まだ名前聞いてない。
「僕は、アレンディオ・ルーデンス。この国の第二王子だよ」
「え、王子様?!
わ、わたくしムスカ侯爵家が二女リアーナと申しましゅ、
わ、噛んじゃった!」
と顔を真っ赤にし、紅葉のように小さな両手で口を押さえた。
うん、すごく可愛い。
リアーナは、プラチナブロンドの髪に紫水晶のような瞳の女の子だ。
ほんとに妖精みたいだ。
「座って少し話そうよ」
「いいわよ」
「ねー、君のこと"リリ"って呼んでいい?」
「"リリ"?
お父様もお母様もお兄様もお姉様、あとお祖父様もお祖母様も"リア"って呼ぶのよ」
「君の特別になりたいんだ」
「ふふ、そうなんだ。"リリ"?かわいい!特別にいいよ。
アレンディオ様のことはなんて呼べばいい?」
「家族は"アレン"て呼んでるよ。リリが決めて」
「うーん、そうねー。
"レン"様はどう?」
「うん、いいね。リリの特別だね」
それからは質問攻めだ。
「リリは何歳なの?」
「5歳」
「僕と一緒だね」
「好きな色は?僕は紫だよ」
ホントは好きな色なんてないけど。
「私は青よ」
「へー、そうなんだ。僕の瞳の色だね。女の子ってピンクとか赤が好きなんだと思ってたよ」
「好きな食べ物は?僕は鴨のロースだよ」
「わー、大人みたいね。私はトムが作ってくれるレモンパイ!」
「城の専属料理人のスイーツが絶品なんだ。今度食べにおいでよ」
「わー、食べたい!行く行く!
あ、でもお父様に行ってもいいか聞かなきゃ」
「僕から侯爵に言っておくよ」
(略)
「リリはどんなことが好きなの?」
「かけっこ!あと、木登り!」
「‥‥リリはすごいね‥‥」
「‥‥でもね、もうすぐできなくなるの‥‥」
リリがしゅんとした。
「どうして?」
「6歳になったら"淑女教育"始めるんですって。だから5歳までって約束なの」
「そうなんだ。残念だね。もうほとんどの令嬢が始めてるから仕方ないんだろうね」
「そうそう、レン様はかけっこできる?」
と、ぱっと切り替えて笑顔で聞いてきた。
「したことないな~。そうだ、練習しておくからリリが5歳の間に一緒にかけっこしよう!」
「わー、約束よ!」
リリはそう言うと小指を立てて、僕の小指に絡ませた。
「!!!
こ、これは?」
「遠い国の約束の印なんだって。お姉様が教えてくれたの。約束破ったら針を千本飲まないといけないんだって」
「お、恐ろしい風習だね‥‥」
リリに触られちゃった!
たぶん僕の顔は真っ赤だ。湯気が出てるかもしれない。
「リアー、リアーどこにいるのー」
「あ、お母様だ!戻らないと。レン様も一緒に戻ろう!」
一緒はまずいだろう。
一緒のところ見られたら、リリが令嬢たちから攻撃されるかもしれない。
「あ、いや、僕は後から護衛たちと戻るよ」
「そう?また会おうね!」
「ああ、またね」
リリが母親の元に駆けて行った。
名残惜しいが仕方ない。
リリは、なかなか規格外の令嬢だった。
これが"ギャップ萌え"というものだろうか?ん?"ギャップ萌え"ってなんだ?
令嬢というか、人と接して"楽しい"と思えたのは初めてだ。
また早くリリに会いたいな。
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