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29.新天地
「アナちゃん、こっちよろしくー」
「はーい!」
ーーーーーーーーーー
今の領地に移住してもうすぐ1年だ。
この地に降り立って、すぐに職を探した。できれば住み込み。賄い付きであればなおよし。
賄い付きであれば、食堂とかがいいのかな?職業斡旋所に求人でてないか見に行ったんだけど、賄いの有無に関わらず求人ゼロ!なんで!ついてない。
ふらふらと入った食堂で昼食をとっていると、
「うううっ」
と呻く声が。
厨房の入り口で女性が蹲っている。
「大丈夫ですかっ?!」
脂汗をかいている。
「お店の人ですか?」
「そ、そうよ。厨房の中にお、っとがいるから呼んでもらえない?」
「はい!」
換気扇がガンガン回ってるせいで呻き声が聞こえないんだ。
大きな声で、
「すみませーん!奥さんが具合が悪いみたいです。出てきてもらえませんかー!」
旦那さんを呼んだ。
旦那さんは大慌てで厨房から出てきた。
「だ、大丈夫か!?」
「うーん、大丈夫じゃないかも」
「今日はもう店を閉めるから病院に行こう」
「ごめんね、そうしてくれる?」
「あのぉ、お取り込み中すみませんが、奥様どうされたんですか?」
「妻は妊娠中なんだ。無理しすぎたのかもしれない……」
奥さんの方をよく見ると、お腹が大きかった。
「あの、差し出がましいとは思うのですが、私が奥様の代わりにお店に出ましょうか?料理もできます」
「だが……」
「あなた、お願いしましょ。近々求人出すところだったんだもの」
「じゃあ、お願いしてもいいか?」
「こちらこそよろしくお願いします。早速ですが、洗い物しておきますので、奥様を病院に連れて行ってください」
「すまないな。あとは頼む」
食事中だった人に会計を先に済ませてもらってから、2人は病院に向かった。
お客さんが帰ったあと店を閉め、洗い物と掃除をして2人の帰りを待った。
2人が帰ってきてから、採用にあたり細かい話をした。住み込みは無理だけど、賄いは付いているとのこと。これは縁だと思い、雇ってもらうことにした。早速翌日から働くことにした。
店主はシモンさん、奥さんはジェーンさん。妊娠8ヶ月とのこと。臨月まで働くつもりだったらしい。立ち仕事なのにスゴい。
アパートが決まるまで、ちょっと痛いけど宿住まいをし、定休日に引っ越しをした。
メインはフロアでお運びだけど、仕込みも手伝っている。
元の世界では、飲食店でのフロアスタッフの経験がなかったので、慣れるまで大変だったけど、1週間ほどでだいぶ慣れた。
お店は2人で回しているので、かなり忙しい。ランチどきは戦場だ。でも、忙しいくらいが丁度いい。
何も考えずに済むから。
そうそう、偽名を使おうとしたんだけれど、結局本名の"アナベル"と名乗っている。銀行から預金引き出したりするとき、偽名だとめんどくさいことになるかなー、とか思うとそのままでいいかとなってしまった。
誰もここまで探しに来ることはないだろうし。
《ほんとは来て欲しいくせに》
何処からか聞こえてきた気がしたので、ブンブンと思考を手で振り払った。
「はーい!」
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今の領地に移住してもうすぐ1年だ。
この地に降り立って、すぐに職を探した。できれば住み込み。賄い付きであればなおよし。
賄い付きであれば、食堂とかがいいのかな?職業斡旋所に求人でてないか見に行ったんだけど、賄いの有無に関わらず求人ゼロ!なんで!ついてない。
ふらふらと入った食堂で昼食をとっていると、
「うううっ」
と呻く声が。
厨房の入り口で女性が蹲っている。
「大丈夫ですかっ?!」
脂汗をかいている。
「お店の人ですか?」
「そ、そうよ。厨房の中にお、っとがいるから呼んでもらえない?」
「はい!」
換気扇がガンガン回ってるせいで呻き声が聞こえないんだ。
大きな声で、
「すみませーん!奥さんが具合が悪いみたいです。出てきてもらえませんかー!」
旦那さんを呼んだ。
旦那さんは大慌てで厨房から出てきた。
「だ、大丈夫か!?」
「うーん、大丈夫じゃないかも」
「今日はもう店を閉めるから病院に行こう」
「ごめんね、そうしてくれる?」
「あのぉ、お取り込み中すみませんが、奥様どうされたんですか?」
「妻は妊娠中なんだ。無理しすぎたのかもしれない……」
奥さんの方をよく見ると、お腹が大きかった。
「あの、差し出がましいとは思うのですが、私が奥様の代わりにお店に出ましょうか?料理もできます」
「だが……」
「あなた、お願いしましょ。近々求人出すところだったんだもの」
「じゃあ、お願いしてもいいか?」
「こちらこそよろしくお願いします。早速ですが、洗い物しておきますので、奥様を病院に連れて行ってください」
「すまないな。あとは頼む」
食事中だった人に会計を先に済ませてもらってから、2人は病院に向かった。
お客さんが帰ったあと店を閉め、洗い物と掃除をして2人の帰りを待った。
2人が帰ってきてから、採用にあたり細かい話をした。住み込みは無理だけど、賄いは付いているとのこと。これは縁だと思い、雇ってもらうことにした。早速翌日から働くことにした。
店主はシモンさん、奥さんはジェーンさん。妊娠8ヶ月とのこと。臨月まで働くつもりだったらしい。立ち仕事なのにスゴい。
アパートが決まるまで、ちょっと痛いけど宿住まいをし、定休日に引っ越しをした。
メインはフロアでお運びだけど、仕込みも手伝っている。
元の世界では、飲食店でのフロアスタッフの経験がなかったので、慣れるまで大変だったけど、1週間ほどでだいぶ慣れた。
お店は2人で回しているので、かなり忙しい。ランチどきは戦場だ。でも、忙しいくらいが丁度いい。
何も考えずに済むから。
そうそう、偽名を使おうとしたんだけれど、結局本名の"アナベル"と名乗っている。銀行から預金引き出したりするとき、偽名だとめんどくさいことになるかなー、とか思うとそのままでいいかとなってしまった。
誰もここまで探しに来ることはないだろうし。
《ほんとは来て欲しいくせに》
何処からか聞こえてきた気がしたので、ブンブンと思考を手で振り払った。
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