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10.オニキス
しおりを挟むカランコロン
「こんにちは、カロンさん」
3度目の作品の納品です。
「やあ、よく来たねセイラ。おや、この前まで眼鏡なんてかけてなかったよね?」
「はい。視力が落ちたので掛けることにしたんです」
黒髪黒目を誤魔化すためにプチ変装中。ウィッグには気が付いてないようね。作品の方に目が行ってる。
「今回もなかなかいい出来だね」
「ありがとうございます」
「そこでだ」
「?」
「私と専属契約しないか?今までの2倍出そう。セイラの絵を飾ってから、2作品とも『幸運が舞い込んだ』とお二方もおっしゃてね。どうだろうか?」
これって、得になるのかな?やりがい搾取とかになっちゃうのかな?相場がわからん。まあ、趣味に毛が生えたようなものだから、こちらからの条件をのんでくれたら応じるとするか。
「油絵って乾きが遅いからあまり早く描けないからあまり数描けないし、インスピレーションが湧かないと私は描けないので、自分のペースで描いていいなら契約してもいいです。それでもいいですか?」
「ああ、構わないよ」
「では、専属契約お願いします」
やったね、契約成立。
「おかえり、クリス!」
「やけにご機嫌だな。何かいいことあった?」
「そうなの!カロンさんと専属契約したんだ!」
「凄いじゃないか!プロの画家みたいだ」
「照れちゃうじゃない!でも、すごく嬉しい」
クリスが自分のことのように喜んでくれた。嬉しさ倍増だ!
夕食後リビングでまったりしてると、風呂上がりのクリスが何やら神妙な顔をして立っていた。
「どうしたの?そんな顔して」
「セイラ、俺からはあまりよくない知らせだ」
「え?」
「来週から遠征に行かなければならなくなった。予定では、3ヶ月だ」
「3ヶ月‥‥、な、長いね‥‥」
「ああ」
「でも、仕事だから仕方ないね‥‥」
せっかくいい気分だったのに、なんだかしんみりしちゃった。
そっか‥‥。遠征か‥‥。長過ぎるよ、クリスがいないと寂しいよ。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーー
遠征の話を聞いてから5日後、クリスが家を出る日がやってきた。
「クリス、遠征中このピアスをつけてて欲しいんだ。貴族のクリスにはチープで申し訳ないんだけど。この石は魔除けの効果があるらしいんだ」
遠征の話を聞いた翌日、街で前に見かけたピアスを買いに行った。
"オニキス"
確か、オニキスは、魔除けの石として古くから戦いに臨む戦士たちが身に着けていたと何かで読んだことがある。
オニキスのピアスに
『皆に神のご加護あれ』
と祈りを込めた。
クリスはその場でつけてたピアスを外し、オニキスのピアスをつけた。
「ありがとう、セイラ。心強いよ。
セイラ、元気を注入してもらうよ」
と私をぎゅっと抱きしめた。今日は長めだ。私もぎゅっと抱きしめ返した。
クリスは私の額にキスして
「行ってくるよ、キヨラ」
ん?キヨラ?
「いってらっしゃい。無事を祈ってる」
クリスの姿が見えなくなるまで見送った。
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