人権放棄宣言

荒井粗茶

文字の大きさ
2 / 11
静原大河の場合

2話

しおりを挟む
秋も中頃といった感じで、外気は冷たく、全裸のままでは相当つらい。
それでも私のことなどお構いなしといった様子で、数歩先を光峰さんは進んでいく。
体格に差がありすぎる為、歩幅がぜんぜん違う。
私は素足のまま、時おり来る痛みを堪えつつ、ついていくので精一杯だった。
「いやー、ようこそ光峰さん」
役所の指定非人課と書かれたプレートの垂れ下がった部署の中からふくよかな男性が出てくる。
石嶋さん、というその男性は人権放棄の手続きの際、何度か会ったことがあった。
「これ、同意書です」
私が先程光峰さんに渡してた紙を受け取り、険しい顔で目を通す。
「うん、完璧です」
そう言うと近くのテーブルへ行き、予め用意していたのか、仰々しい事務用の判子を押す。
「ドン」
音が胸の奥まで響いた。
大きさとしては大したものではない、でもその音は私という人間が終わったことを意味するとてつもなく大きい音なのだ。
震えているのは寒さのせいではない。
体中を流れる汗は決して痛みのせいではない。
「はい、受理しました」
石嶋さんの言葉が耳に入ると同時に、私は思わず声を漏らす。
「わたし、人権捨てちゃった」
その小さな呟きなど意にも介さないといった様子で、光峰さんが私の髪を掴む。
「よし、事務所行くぞ」
そのまま引きずられるように役所を出ていく。
冷たい外気が、私の限界まで火照った人権のない身体を弄っているようだった。

歓楽街を光峰さんの運転するオープンカーの後部座席で、全裸のまま腕を頭の上で組むセクシーポーズを強制される。
道行く人の好奇の目や、手にしたカメラには笑顔を飛ばすよう言われ、その通りにした。
ほどなくして到着したのは、スタジオだった。
「さて、ここで何をするかわかる?」
光峰さんの質問に私は首を横に振る。
「撮影。いこっか」
私は手を捕まれ力任せにスタジオ内の廊下を奥へ奥へと連れて行かれる。
「カメラの前で静原大河はどんな風に扱われると思う?」
その言葉の意味するところがわかり、私は答える。
「性奴隷・・・とか」
「正解!」
満面の笑みでまるでペットの猫にやるように私の首元を擦る光峰さん。思わず身をよじり、抵抗しようとするものの体格の差がありすぎて身動きひとつ取れない。
第3スタジオと書かれたドアの向こうは、学校を模したセットにポツンと椅子があり、それを無数のスタジオカメラと照明が囲んでいた
私は掴まれている勢いそのまま椅子の横へと投げ出される。
「座るなよ」
光峰さんはそれだけ言うと、わたしに向けられたカメラの奥でスタッフのような人たちと話し込み始めた。
私は光峰さんの言う通り、全裸のまま椅子に座らず、ただそのよこでちょこんと正座をしていた。
逆光でよく見えないが、折りたたみの椅子に複数の人が座っているのが見える。
そして、その1つにでんと腰を下ろした一回り大きな影が一言、
「よし、いこか」
と誰に言うでもなく言った。
その一言でスタジオ内で散り散りになっていた人影が一同に集まり、カメラが今一度しっかり私を捉えた。
「はじめまして、えーと、静原大河?ちゃん。似合わない名前だねえ」
小さく笑いが起こる。
当の私は何もわからないまま身を丸めているしかできなかった。
「どうも監督の梶木です。撮影、よろしくね。つってももう撮ってんだけど」
再び笑いが起こる。
「あの、私、なんにも聞いてなくって」
「うん、言ってないからね」
監督と名乗った梶木という男性はそう言うと下品に笑った。
私は今の状況を理解できずただ戸惑うだけだった。
「はい、それじゃ自己紹介ね」
そんなこと言われても・・・と逡巡する私に梶木さんは言う。
「大河ちゃんはさっき人権放棄の手続きを済ませたばっかりなんだよね」
「そ、そうです」
いきなりの下の名前呼びに戸惑いつつも答える。
「うちは北鷹会さんと提携してるAV会社でね。北鷹会さんとこで新しく手に入れた子はここで宣伝ビデオを撮ることになってんの」
「宣伝ビデオ・・・」
「人権放棄の後どうなるかはあえて伝えないっていうのが北鷹会さんのやり方だからさ、もちろんこのビデオがどう使われるかも内緒だけど」
そういって少しの沈黙。影の動きを見るに、どうやら舌なめずりをしているようだった。
「でもさ、とりあえず撮影くらいはやれないと話にならないでしょ。不良品扱いになるよ?」
不良品という言葉の意味するところは分からなかったが、私はそれにただならぬ恐怖を感じた。
「ど、どうすればいいですか!?」
「おっやる気だねー。じゃあ、適当にポーズとってみて」
私は立ち上がると腕を頭の上にあげポーズを決める。
「胸ちっせえ、まじで高校生?」
「こ、高校生です!」
「歳は?ポーズ取りながら自己紹介してみよっか」
ただでさえカメラの前であられもない姿をして頭が破裂しそうなのに、追加で指示が出た。
もちろん私には選択肢などない。
指示を受け口を開く。
「静原大河、16歳、高校一年生・・・でした。」
「じゃ次、M字開脚」
そのポーズをとると必然的に股間が大きく開かれる格好となる。
そんな私の秘部をカメラは舐めるように捉え続けていた。
「M時開脚知ってんだエロ学生」
スタジオが笑いに包まれた。
ただ一人、私だけ恥ずかしさで顔を真っ赤にしていた。
「大河ちゃん処女?」
「しょっ、じょです!」
不意打ちのような質問にたじろぎながら答える。
「彼氏とか、いたことないです」
「ふーん、告白されたことは?」
「なっ、ないです」
私は恥ずかしくて泣きそうになる。
でもそんなことを気にもとめずに梶木さんは再び言う。
「次はさ、M字開脚のままアナル見せてよ」
そんな要求に思わず息が詰まった。しかし断る権利などない。
「その髪の長さなんていうの?ロングって感じじゃないよね」
「せっ、セミロングです。」
「はーん、黒髪セミロングだ」
私はアナルを撮影されながら質問に答えていく。
「胸のサイズは?」
「A、です」
「うーわ、まじか。ウェストは?」
「58」
「うっわ細っそい身体」
私はどうかなりそうだった。しかし一方で下半身が熱を帯びていくのを密かに感じていた。
そんな時梶木さんから声が飛んだ。
「あれ、濡れてる?」
私は目の前が真っ白になった。頭がぐわんと揺れて、そのまま消えてしまうかと思った。
爆笑に包まれるスタジオの中で、私は湿った股間を晒し続けた。
「いいね、よくやった」
梶木さんの声が聞こえると、私は終わったのかと不覚にも気を抜いてしまった。
「よしじゃあそのままケツ突き出してオナニーしろ」
一瞬思考が止まってしまった。
そんな私に容赦なく罵声が飛ぶ。
「はやくやれよ!!」
私はその言葉で完全に理性を失ってしまった。
両手を秘部へと滑らせる。
「・・あぅ・・・」
喘ぎ声が漏れ出る。
私はぐちょぐちょに湿りきった秘部を手でいじりながら片手を胸に伸ばした。
「いつもそうやってオナニーすんの?」
「そう、です・・・」
「おかずは?」
「その・・・人権放棄してめちゃくちゃにされる妄想で」
「へんたい」
「筋金入りだな」
笑い声とともにヤジが飛んできた。
私はと言うと、それを浴びながら
「あっだめ、いっ・・・・いくっ!」
果てた。
しおりを挟む
感想 2

あなたにおすすめの小説

JKメイドはご主人様のオモチャ 命令ひとつで脱がされて、触られて、好きにされて――

のぞみ
恋愛
「今日から、お前は俺のメイドだ。ベッドの上でもな」 高校二年生の蒼井ひなたは、借金に追われた家族の代わりに、ある大富豪の家で住み込みメイドとして働くことに。 そこは、まるでおとぎ話に出てきそうな大きな洋館。 でも、そこで待っていたのは、同じ高校に通うちょっと有名な男の子――完璧だけど性格が超ドSな御曹司、天城 蓮だった。 昼間は生徒会長、夜は…ご主人様? しかも、彼の命令はちょっと普通じゃない。 「掃除だけじゃダメだろ? ご主人様の癒しも、メイドの大事な仕事だろ?」 手を握られるたび、耳元で囁かれるたび、心臓がバクバクする。 なのに、ひなたの体はどんどん反応してしまって…。 怒ったり照れたりしながらも、次第に蓮に惹かれていくひなた。 だけど、彼にはまだ知られていない秘密があって―― 「…ほんとは、ずっと前から、私…」 ただのメイドなんかじゃ終わりたくない。 恋と欲望が交差する、ちょっぴり危険な主従ラブストーリー。

完全なる飼育

浅野浩二
恋愛
完全なる飼育です。

屈辱と愛情

守 秀斗
恋愛
最近、夫の態度がおかしいと思っている妻の名和志穂。25才。仕事で疲れているのかとそっとしておいたのだが、一か月もベッドで抱いてくれない。思い切って、夫に聞いてみると意外な事を言われてしまうのだが……。

完成した犬は新たな地獄が待つ飼育部屋へと連れ戻される

五月雨時雨
BL
ブログに掲載した短編です。

吊るされた少年は惨めな絶頂を繰り返す

五月雨時雨
BL
ブログに掲載した短編です。

新人メイド桃ちゃんのお仕事

さわみりん
恋愛
黒髪ボブのメイドの桃ちゃんが、働き先のお屋敷で、旦那様とその息子との親子丼。

月弥総合病院

御月様(旧名 僕君☽☽‪︎)
キャラ文芸
月弥総合病院。極度の病院嫌いや完治が難しい疾患、診察、検査などの医療行為を拒否したり中々治療が進められない子を治療していく。 また、ここは凄腕の医師達が集まる病院。特にその中の計5人が圧倒的に遥か上回る実力を持ち、「白鳥」と呼ばれている。 (小児科のストーリー)医療に全然詳しく無いのでそれっぽく書いてます...!!

彼の言いなりになってしまう私

守 秀斗
恋愛
マンションで同棲している山野井恭子(26才)と辻村弘(26才)。でも、最近、恭子は弘がやたら過激な行為をしてくると感じているのだが……。

処理中です...