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1章 貴哉の新しい恋
数馬に何かしたら次はマジで許さねぇからな
しおりを挟む学校に着いて玄関で靴を履き替えていると、三年の一条紘夢がニッコリ笑顔で現れた。
紘夢は元学校一の問題児で、かなり頭の切れる敵に回したくない奴の一人だ。そんな紘夢とは最近まで上手くやっていたけど昨日ちと揉めちまったんだ。
それから気まずかったんだけど、何か紘夢の機嫌が良さそうだ。
「おはよう二人共♪」
「はよ……?」
「おはようございます」
「二人に謝ろうと思って待ってたんだ。昨日はせっかくのランチタイムを壊すような発言をしてごめんなさい。また仲良くしてくれないかな?」
突然の紘夢からの謝罪に俺も数馬もびっくりだ。
紘夢の様子を見る限りふざけてる感じは無さそうだ。だけど、紘夢はそんじょそこらの奴とは違って頭の作りが違う。何を考えているのかは分からないけど、ここは素直に受け入れる事にした。
「紘夢がそう言うなら、俺も強気な事言って悪かったよ。紘夢には世話になってるからちょっと気にしてたんだわ」
「許してくれるの!?嬉しい♪数馬くんは許してくれる?」
「はい。もちろんです」
「良かったぁ♪またよろしくね♪」
紘夢は嬉しそうに笑って、俺と数馬の手を握って握手をして来た。
機嫌が良い所で言いにくいけど、俺と数馬が付き合った事は言った方がいいよな?
後から知ってまた揉めてもアレだしな。
「あのよ、俺と数馬なんだけど」
「なになに?貴ちゃんと数馬くんがどうしたの?」
「すげぇ言いにくいんだけど、付き合う事にしたんだ」
「……え?」
やべ、紘夢の笑顔が凍りついた。
やっぱり知らばっくれて紘夢とは付かず離れずの関係にしとけば良かったか?
俺が後悔し始めていると、紘夢は数馬を見てこう言った。
「それってどっちから?」
「えっと……」
「俺からだよ。言っとくけど、数馬に何かしたら次はマジで許さねぇからな」
戸惑う数馬の代わりに俺が教えてやる。
すると紘夢は笑顔のまま俺を見て答えた。
「そっか。貴ちゃんがそうしたいと思ったなら応援するしかないね。安心して?数馬くんに何かする気はないから。空くんの時みたいに応援するつもりだよ」
「本当か!?」
紘夢の大人な言葉に俺は感動して食いつく。
やっぱり紘夢は良い奴だ。ちゃんと話せば俺の事を分かってくれる心強い味方だ!
「本当だよ。貴ちゃんが言ったら聞かないのは知ってるからね。それなら俺は友達として傍にいながら貴ちゃんを守るよ」
「やっぱり紘夢は他の奴らとは違うぜ♪数馬はこの性格だから俺一人で守り切れるか不安だったんだ」
「…………」
「だろうね。数馬くんの事を知ってる人なら容赦なく貴ちゃんを奪いに来るだろうね。数馬くんそんな危険な役目、大丈夫なの?」
「はい!」
「そっか~。まぁ何かあったら言ってよ。出来る限りの事はするから。あ、貴ちゃんも少しは数馬くんの事考えてあげなよ?」
「おう♪そんじゃ紘夢部活でな~」
「はーい♪」
よっしゃー♪紘夢が味方につけば百人力だぜ♪
それぐらい紘夢の力はデカいんだ。だから逆もヤバい。敵になったらなったで、そいつの人生を狂わせる事を簡単にやっちまう男だからな。
紘夢と仲直りしてまた元の関係に戻れて俺の機嫌は良くなる。
隣にいる数馬は元気がなさそうだった。
「どうした数馬?あの紘夢が応援してくれるって言ってんだぞ?そこは喜ばねぇと」
「うん。凄い嬉しいよ」
「そんじゃ朝の事気にしてんのか?もう怒ってねぇから気にすんなよ~」
「貴哉が一条さんの事を頼りにしてるのは分かってたけど、いざ一条さんと仲直りして喜んでるのを見てやっぱり俺じゃ貴哉を守れないのかなって……弱くてごめんね」
「はぁ?そんな事気にしてたのかよ。ったく、強くなりてぇんならそんな細かい事気にすんじゃねぇよ。紘夢は俺らとは違ってヤベェ奴なんだから一緒にすんなって」
「うん……そうだね」
俺がそう言っても数馬は下を向いたまましょんぼりしていた。
てか顔色が悪くね?もしかして発作を起こしかけてるとか?
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