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2章 恋愛ブーム到来
※ 可愛いとかいらないから離せよ!(千尋side)
しおりを挟む※千尋side
大人しくしてさっさと飽きてもらおう。そして地に足をつけた時にダッシュで逃げよう。多分足の速さなら俺の方が上だからな。
俺がダラリと力なく抱き上げられていると、ゆっくり降ろされ、足が廊下について。が、腕はまだ俺を抱えたままだった。
「何かさ~、千尋ちゃんって~♪」
「……何だよ?」
「猫ちゃんみたいで可愛いな♪」
「猫って……あっ!」
言われなくは無い例えにどうでもいいから早く離してくれと思っていると、またギュッと抱き締められた。
いい加減にしてくれ!これじゃ仲良くいちゃついてると思われるじゃないか!
俺は貴哉さんの事が好きなのに、こんな所を誰かに言いふらされでもしたら俺が不利になるじゃん!
「ずっと思ってたんだよな~。小さい癖に生意気そうな顔とか、双葉とやり合ってる時の動きとか、あは♡なんか今となっちゃ可愛いや~」
「可愛いとかいらないから離せよ!石原も貴哉さんの事が好きなんだろ!?貴哉さんに見られたら勘違いされるぞ!」
「むしろその方が貴哉も安心するだろ。俺と千尋ちゃんが仲良くなったって知れば褒められて一石二鳥じゃん♪」
「お前、やっぱり貴哉さんの事を好きじゃないのか?」
浅野双葉が貴哉さんに好意を寄せてるのは分かる。だから俺はちょっかい出してたんだ。でも石原は読めなかった。好きは好きでもそう言う好きなのか曖昧で、だから後回しにしてたんだけど。
「好きだよ?欲しいとも思ってる。だけど貴哉は人気者だから俺一人じゃ手強くてね~。だから双葉を応援しようかなってね♪」
「浅野を応援って?何を考えてるんだ?」
「今の双葉のお邪魔虫は千尋ちゃんだろ?害虫駆除するんだよ♡俺って友達想い~♪」
「害虫って……浅野にももうちょっかい出さないって約束する。だからもう俺に構うな」
「なぁ、どうしてそこまで貴哉にこだわるんだ?」
「お前に関係ないだろっ、って人の話聞いてるのか?」
「それ教えてくれたら離してあげるよ」
後ろから俺を抱き締めたまま耳元で喋る石原は今どんな顔をしてるのかは分からない。きっと優位に立っている事で俺が困ってる姿を見てニヤけてでもいるんだろう。
俺は石原の思う壺にはなるまいと冷静を装う。
「言ったな?絶対離せよ?」
「うん。その代わり嘘は言わないで」
「……綺麗だからだよ。俺、綺麗な人が好きなんだ。貴哉さんを初めて見たのはこの金髪ツインテール姿の貴哉さんの写真だった。それ見て一目惚れしたんだ」
「マジ?ほんとにストーカーだったんだ」
「おい、ちゃんと教えたんだから離せって」
本当の事を教えてやると驚いたような声を出していた。俺が再び離せと言うと、素直に解放してくれた。
体が自由になった俺は石原から遠ざかりクルッと振り返り軽く構えて様子を伺った。
石原は何かを考えるような顔をして口を開いた。いつも口角が上がっていて笑顔の印象が強い奴だけど、この時の表情は真顔でより大人びて見えた。本当に同い年なのかよ。
「綺麗だからね~、それって女装してたから?実際に生で見て気持ち変わらなかったのか?」
「女装してたからってのはあると思う。初め女だと思ったからな。でも気持ちは変わらないよ。むしろより良いなって思えた。思ってたよりも面白くて優しいなって」
「ふーん……」
「もういいだろ?」
「うん、行っていいよ」
何かを考えてるような顔のまま今度はあっさりとそう言った。
だけどそんなのを気にしてる場合じゃない。やっと石原から逃れる事が出来たんだ、急いでこの場から立ち去る事にした。
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