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2章 恋愛ブーム到来
※ 空……ありがとう(数馬side)
しおりを挟む※数馬side
ずっと黙って息を落ち着かせていたら、空が優しい声で聞いて来た。
「さっきすれ違ったけど、もしかして中西と何かあった?」
「…………」
俺は言葉に出来ずに頷くしか出来なかった。
でも直登は悪くない。本当に直登は話をしていただけだから。それを伝えないと直登が悪者になっちゃう。
「またあいつか」
「あのっ……直登はっ……そのっ……」
「無理に話そうとしなくていいから」
空の優しさが余計に俺の心を締め付けた。
ちゃんと言わなきゃいけないのに、言わなきゃまた周りに迷惑をかけてしまう事になるのに、でも怖い。言った所でちゃんと伝わるのか、俺の言う事を信じてもらえるのか、そもそも俺の事なんてどうでもいいんじゃないのか……そんな恐れが勝って俺は上手く言葉に出来なかった。
それなら初めから黙っていた方が迷惑をかけないで済む。
「まったく、数馬も大変だな~。直登に貴哉に癖のある奴なんかと付き合ったりしてさ」
「……え」
「でも好きになる気持ちは分かる!どんなにめちゃくちゃでも一緒にいると手離したくなくなるよな。何が何でも一緒にいたいってさ。あ、中西の事はなんとも思わねぇよ?」
空はきっと貴哉の事を言ってるんだろう。
二人はずっと一緒だったから。俺はそれを隣でずっと見ていたから、二人がどんなけ仲が良くて惹かれあっていたのかも良く分かる。
だから空は俺の事を恨んでると思っていたのに。
「空は……」
「ん?」
「俺の事嫌じゃないのか?ムカつくとか……思ってないのか?」
やっと出た言葉がそれだった。
それよりも直登の事とかお礼とか言わなきゃなのに。
それでも空は笑顔のままいてくれた。
「ムカつくはないよ。ぶっちゃけ数馬!?とは思ったけどな」
「……ごめん」
「何で謝るんだよ」
「だって、俺なんかが……」
「あー、何となく言いたい事分かったわ。数馬~、これ俺からのアドバイスな?そういうの貴哉には言わない方がいいぞ」
「…………」
「貴哉はウジウジしてるの嫌がるからな。あと無理して合わせるのも効果的じゃない。難しいだろうけど、数馬が違う、出来ないと思ったらハッキリ言った方がいいよ」
「……うん」
「口喧嘩になっても折れずに言いたい事を言い切れ。貴哉はしつこいぐらい言い返すぐらいの相手じゃないとダメだからな」
空からのアドバイスを聞いていて、本当に貴哉の事を良く知っているんだなと思った。
それだけ貴哉の事を好きなんだな。
話を聞いていて今の俺じゃ空には勝てないと思った。
「やっぱり空は凄いな。貴哉の事を良く分かってる」
「まぁな♪でも今貴哉と付き合ってるのは数馬、お前だ。貴哉の相手を出来るのはお前しかいないんだよ」
真剣な表情で俺を見て来る空は少し寂しそうにも見えた。
「だからさ、貴哉の事頼むよ。かなり苦労すると思うけどそこは強くなって堪えてよ。あともう少し自信を待て。周りが何と言おうが貴哉が選んだ男なんだからさ」
「空……ありがとう」
気付いたら体調が良くなっていた。頭痛は少し残ってるけど、気持ち悪さはなくなった。
そうか、俺に足りないのは自信か。
「大分落ち着いたみたいだな。そんじゃ俺は先に戻るぜ?早く戻らないと桐原さん帰っちゃうからさ」
「俺も行く。あと、直登は悪くないんだ。俺が気にし過ぎたせいで誤解させちゃったけど、直登は俺と貴哉に目の前でいちゃついたりして欲しくないって言って来たんだ。その気持ちは分かるから」
「ふーん。でもあいつの言い方にも問題があったんだろ?まぁ数馬と貴哉じゃ人前でそういうのする事は無さそうだけどな」
「うん。俺にはそんな勇気はないな。貴哉もキャラじゃないし」
「おっ分かってんじゃん♪」
もうすっかり普通に話せるようになった。
これなら部室に戻れそうだ。
早く戻らないと貴哉が戻って来て待たせちゃうからな。
次に貴哉に会ったら俺自身が変われてるといいな。
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