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2章 恋愛ブーム到来
俺漫画とか読まねぇし
しおりを挟む金曜の朝、俺は光陽高校の制服を着たヤンキーが漕ぐ自転車の荷台に乗り学校へ向かっていた。
デカい背中のせいで前が全く見えない。
短髪で金髪、剃り込み何か入れてイキってる感じのこの男は城之内って言って、進学校の城山とは正反対のヤンキー高校に通う三年だ。これでも光陽では頭張ってて、喧嘩で右に出る者はいない。ってのは過去の話で、今では丸くなりこうして俺の朝の世話までしてくれるようになった。
「でよ~!紘夢の奴が読みたいっつーから貸してやったんだわ~!マジで泣けるからお前も読んでみるかぁ?」
「いらん」
おまけに良く喋る。
俺は興味無かったから適当に答えていた。
「なんだよ、紘夢よりお前のがハマりそうなのによ~」
「俺漫画とか読まねぇし」
「そんじゃ普段何してんだよ?」
「寝てるかゲームしてるかだな」
「俺より酷ぇな。趣味はねぇのかよ」
「寝る事だな」
「ジジイかよ!」
「うるせぇなぁ!今日は朝からテストがあるんだよ!どうでもいい話振ってくんな!」
そうだ、今日は落ちこぼれ達F組のみが対象の小テストがあるんだ。それに合格しねぇと放課後残って勉強しなきゃなんだよな~。マジでダルい。
そして、今日の朝の迎えは何で数馬じゃなくて城之内なのかと言うと、数馬が勉強をしたいと言い出したからだ。とにかくあいつは成績が落ちるのを気にしてるんだ。
別にいいけどよ、初めは自分から彼氏だから俺が迎えに行くとか言ってたのに、急に変わったんだよな~。そう、昨日の帰りの時からだ。直登と話してから数馬は変わった。
夜も俺が寝るまで電話とかメッセージに付き合う事なく、勉強をするからおやすみとか早めに話を切り上げやがる。
別にいいんだけどよ?いいんだけど!
急に変わるとか気になるじゃん!
直登と何を話して、そんで一緒にいた空と何があったのか。あれから聞けずにいる。
「小テストだぁ?そんなのバックれちまえよ」
「出来るならやってるっての」
「何で出来ないんだ?」
「卒業出来なくなるからだよ」
「ふーん、城山は大変だな~。光陽だったら学校にさえ行ってれば簡単に卒業出来るぜ?」
「いいよな~。やっぱり光陽にすれば良かったぜ~」
元々勉強が嫌いだった俺は家から近いと言う理由で光陽を受けるつもりだったんだ。それと明らかにそこしか学力が足りなかったからだ。
だから急に進路を変えて当時の担任からは強く反対されたもんだ。
結果的に受かって驚いていた担任の顔は今でもたまに思い出す。
「お前が光陽だったら可愛がってやったぜ~♪」
「別にいらねぇよ。お前と関わると面倒そうだし」
「ほんっと可愛くねぇなぁ」
「それよりも紘夢のパシリじゃなくなったんだろ?どうして迎えに来てくれたんだ?お前声でけぇから良い目覚ましになるわ」
いろんな奴に朝起こしてもらって来たけど、城之内はまず部屋に入る前からうるせぇ。ドカドカと階段を駆け上がる騒音でうっすら目覚める俺。そしてドアを開けると共に馬鹿でかい声で俺の名前を叫びやがる。その内母ちゃんに怒られるぞ。
そのおかげですぐに起きられるからいいけどな。
ちなみに空は近くまで来て体を揺すりながら起きろと言う。伊織は起こすどころかベッドに入って来る。直登も普通に起こす時もあれば俺にイタズラする事もあったな。そんで数馬は部屋どころか家にすら入らないで待ってる。
こうして比べてみるとみんな個性があって面白ぇわ。
「そうなんだよ。パシリから友達に昇進したんだわ」
「……へー。いいじゃん」
城之内から「友達になった」と聞いて俺は一瞬驚いた。
苦労せずに欲しい物は何でも手に入る紘夢にとって一番必要なものだと思うからだ。
そもそも紘夢に城之内の見張りを頼んだのは俺だ。元々悪だったからまた悪さしないように監視しておいてもらったんだ。紘夢も使用人が少ないからこき使ってたみたいだけど、どうやら上手く行ってるみてぇだな。
それを聞いて俺は何だか嬉しくなった。
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