どいつもこいつもかかって来やがれ9th season

pino

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4章 赤髪の男と金髪の男

※ お手柔らかに頼むよ(伊織side)

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 学校を出て駅へ向かう。俺は今電車を使っている。桃山も元々電車通学だ。
 途中で桃山が思い出したように聞いて来た。


「ところで俺に何か話があったんじゃねぇの?」

「ああ、ちょっとな」


 勿論桃山に声を掛けた理由はある。
 貴哉から桃山と一緒に行動する事を提案されたからと言って登下校まで一緒じゃなくても良い。
 だけど今回俺は思い切った事をしてみようと思ったんだ。
 これは貴哉の力になる為に考えた、今の俺にも出来る事だ。
 ただ、桃山相手に通用するかは分からない。通用したとしても何かしらの代償は払わなければいけないだろう。

 俺は立ち止まると、桃山も足を止めて俺を見て来た。
 いつも通りの桃山と目が合うとその綺麗な顔で笑顔を見せた。


「いーくん?」

「桃山、お前って綺麗な顔してるんだな」

「へ!?いきなりどしたん!?」

「改めて良く見ると本当にかっこいいわ。貴哉が学校一って言うのも頷けるな」

「おーい?めちゃくちゃ褒めてくれっけど、意味不なんですけど?」

「……はぁ」

「おい!いくらいーくんでもキレるぞ!」


 今から桃山に言おうとしている事を考えたらため息が漏れた。それに対して桃山は俺に近寄って来て顔を覗き込みながらプクッと膨れて見せた。
 俺から見たらどんなにかっこよくても桃山は桃山だ。俺の元ストーカーで、俺の姿を見つけては追いかけ回して来てた変人。

 覗き込んで来た桃山の目を真っ直ぐに見て俺は意を決す。


「桃山、俺達付き合わないか?」

「……ああん?」


 桃山は俺の言葉を聞いて、目を大きく見開いて驚いた後、不思議そうな顔をしたかと思ったらヘラッと笑った。
 本当に何を考えてるのか分からない奴だ。


「何それ?それ俺何て言うのが正解なの?」

「出来れば頷いて欲しい」

「……何考えてんの?いーくんが俺と付き合うって、絶対何かあんじゃん。どーせ貴哉絡みだろ?」

「…………」

「図星かよ。貴哉に何か言われたのか?」


 貴哉の為だけど、貴哉に頼まれた訳じゃない。
 惜しい所をつかれて反応するのに戸惑っていると表情を変えて睨んで来た。
 桃山は怒らせると厄介だ。マズいな。


「貴哉に言われた訳じゃない。桃山は一途な所あるし、前と違って頼りになる所もあるから少し気になっただけだ。桃山の気が進まないなら断ってくれて結構だ」

「…………」


 近い距離のままジーッと俺の顔を見る桃山。
 無理の無い程度に桃山のいいところを挙げて、機嫌をとってみた。断ってくれても構わないってのは本当で、変に疑われて貴哉に迷惑がかかるぐらいなら別に付き合えなくても良かった。

 ずっと俺を疑うような目で見ていたと思ったけど、その後すぐにニコッと笑ってみせた。


「なぁいーくん、本当に俺と付き合ってくれるのか?」

「え、ああ本当だよ」

「……嬉しい♪」

「桃山……」


 今度はイタズラして楽しんでるような笑顔じゃなくて、安心したようなホッとした顔をして目を細めて笑った。
 桃山が喜んでいる。もし俺が訳あって告白したと知ったらどうなるだろう。
 考えたらゾッとした。


「下の名前で呼んで♡」

「……湊」

「いいね♡伊織♡今から伊織は俺のものだ♡」

「お手柔らかに頼むよ……」


 やべ、あっさり付き合う事になっちまった。
 少し手こずるかと思ったけど、桃山はすっかり機嫌を取り戻してとても嬉しそうに笑っていた。

 俺はパーカーのフードを被って何となく身を隠す。
 これでいいんだよな?良かったんだよな?
 俺が桃山と付き合ってずっと側にいれば桃山は浅野と揉める事もなくなるよな?

 これで貴哉も安心するよな……?

 前なら何をやるにもこんな気にしなかったのに、今ではこんなにも臆病になっている自分がおかしくてフードに隠れて笑ってしまった。


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