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4章 赤髪の男と金髪の男
とうとうゴミを見つけちまったな
しおりを挟む特にやる事のない部員は自然と校内のゴミ拾いをやる事になっていて、俺もその内の一人だった。ただ学校中を散歩してりゃいいから楽でいいんだけど、今日一緒にやる事になった相手が微妙だった。
その相手はなんと副部長の空だった。
「てかお前忙しいんじゃねぇのかよ。何でゴミ拾いなんかしてんだよ」
「えー、そんな忙しくねぇよ?今は桐原さんも一条さんもいるし。副部長だからってサボる訳にはいかないっしょ?」
「あそ。そんじゃ俺こっち行くからお前あっちな」
「どうせなら一緒に周ろうって♪」
普通に接してくる空だけど、どうにも俺は気まずかった。他に誰かいりゃ別だけど、空と二人きりになるのはちょっとな……
俺が離れようとすると、当たり前のようについてきた。
「数馬とさ」
「ん?」
「上手くいってるんだな」
「まぁなんとかな~」
「貴哉の事だから数馬にキレてすぐ別れるかと思ったのに」
「初めは合わねぇなって思ってたよ。でもあいつなりに頑張ってるからさ。へへ、今ならお前にキスされそうになっても拒否れるぜ?」
「それって俺より数馬の方が好きって事?」
「はぁ?そんなの当然だろ」
「へー、そんなに仲良くなったんだ。あ、貴哉あっちとかゴミ落ちてそう!ちょっと行ってみよ?」
「あ?体育館?」
一階の廊下を歩いていると、空は急に体育館へ通じる渡り廊下の方へ歩き出した。そっちは運動部が使ってるだろうに。俺は適当に歩いてるだけだからあんま目立つとこには行きたくねぇんだけどな。紘夢にチクられるからな。
「てかこの学校はゴミ拾いなんかしなくても綺麗なんだよ。おいそろそろ戻ろうぜ?」
「こっちとか掃除してないんじゃね?運動部の部室があるだけだし」
「ったく」
俺が言っても積極的に歩いて行く空。
こいつも自主的にゴミ拾いなんかするタイプじゃねぇ癖に、何でそんな張り切ってんだよ。
でも俺は面倒くさいとか考えずにそんな空の後を追っていた。
運動部が使ってる部室が並んでる場所で、空は立ち止まった。そこは木に囲まれていて、グラウンドや体育館からは死角になっていた。
そこで紙コップが落ちているのに気付く。あー、ゴミ拾いしなきゃじゃねぇか。
「とうとうゴミを見つけちまったな。どうせなら金が入った財布とかの方が……」
「貴哉」
俺が文句を言いながらその紙コップに手を伸ばした時、空の腕が俺の手をとらえそのまま自分の方へ引き寄せた。
いきなりだったけど、俺はバランスを崩すまいと両足で踏ん張り何とか空の胸を借りなくて済んだ。
「お前っ何すんだよっ」
まだ俺の手を掴んだままの空をキツく睨んで見ると、さっきまで笑っていたのが嘘のように冷たい顔をしていた。
何なんだよいきなり!
「さっきの試してみようぜ」
「は?何の事だよっ」
腕を離せと振り解こうとすると、今度は両腕を掴まれた。俺の右腕を空の左手が、俺の左腕を空の右手がギュッと握って離さなかった。
そして空は顔を近づけてきて俺にキスをしようとした。
あ!試すってもしかして今なら空のキスを拒否れるって言ったやつか!?こいつ、そんな事気にしてんのかよ!
間一髪顔を逸らして避けられたけど、その後も空はしつこくキスをしてこようとしていた。
「あっぶねぇなぁ!やめろよ!」
「危ないってなんだよ!」
「お前が変な事しようとするからだ!」
「だってムカつくじゃん。俺よりも数馬が好きなんてっ」
「し、仕方ねぇだろ?俺が今付き合ってんのは数馬なんだから」
「貴哉言ってくれたじゃんっ」
「何を?」
「俺の事好きだって」
「いつ!?」
「前の部室を掃除してる時だよ……」
うわぁ!それって抱き合ってキスした時のだろ!?それもあるから気まずい思いしてんのに空に言われたら何も言い返せねぇだろうが!
しかもあの後数馬ブチギレたからな!怖かったけど、ちょっとかっこよかったぜ?
って今はそんな事よりも空だ!なんとか逃げないとまた数馬がブチギレる事になる!
「言いましたね!だけどそれが何か!?今は何とも思ってませんけど!」
「何とも?そうなのか?」
「うっ!!」
俺の言う事にピクッと反応して、今度は悲しそうな顔をした。
や、やめてくれよぉ~!俺そういうのに弱いんだって~!
「空の事ってか、数馬の事が好き過ぎて他なんか見れねぇの!だからもうこういうの止めろ!」
「……本当に拒否れるんだ」
「だから言っただろ!」
「もう俺とは無いって事か?」
「そ、そうだよっ!てかお前も俺と数馬を応援するって言ったじゃねぇか!」
「言ったけどっ出来る訳ねぇだろっ」
「そ、空ぁ……」
悲しそうな顔のまま空の目に涙が溜まっていくのが分かって、俺はとても焦った。
空が泣いちまう!こういう時ってどうしたら正解なんだ!?
あーもう、俺馬鹿だから分からねぇよ!
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