どいつもこいつもかかって来やがれ9th season

pino

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4章 赤髪の男と金髪の男

よーし、じゃあ話すぞ?

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 数馬と学校を出て駅までの道のりを歩く。空との一件で、俺の気分は悪く多分数馬にも伝わっていた。
 空は空でまたあっさりした態度に戻り、何もなかったようにしていた。

 このあと空との事を数馬に言わなきゃいけないってなると気が重い。


「なぁ数馬」

「何?」

「空の事だけどよ」

「……空と何かあったのか?」


 おわ、勘が鋭いな!俺が話す前に切り出してくるとは話が早くて助かる……じゃねぇよ。
 空の名前を出すと数馬は表情を曇らせていた。


「あった」

「今度は何があったんだ?」

「あ、今回はここで話して平気か?」

「いいよ。空がF組に来た時から何か変だなとは思ってたから」

「お前、本当に強くなったな」

「まだ内容聞いてないからだよ。大体は想像つくけど、ちゃんと聞いたらどうなるか分からないよ」

「よーし、じゃあ話すぞ?」

「何でそんなに軽いの!?俺も軽い気持ちで聞いていい話!?」

「いや、結構重い」


 恋人の浮気した話なんて軽いわけないよなー。でもこんな風にしてないと話すに話せなくて。

 いくら数馬が強くなったとは言え、人より繊細で傷つきやすいのに変わりはないからな。


「よし!話していいよ!」

「おう……あのな?今日のゴミ拾い、空と一緒だったんだけど……」

「待って?空ってば何でゴミ拾いなんてしてるんだ?三年生が引退する前の引き継ぎとかで忙しい筈だ」

「え、あいつ暇だみたいな事言ってたぞ」

「暇なもんか。これから文化祭に向けて依頼が来るんだから、それを受けるのは空の担当なんだよ。部長の桐原さんはともかく、一条さんは空を部長にしたいから、育てる為にこれからはサポートに回るって言ってたよ」

「あいつ……」


 俺といたいから嘘つきやがったのか。
 ちゃんと副部長やってると思ってたのに、そんなんで部長なんてやれるのかよ。
 でも、そこまでして俺といたいっていう空の気持ちが嬉しくもあった。
 
 まったく、どんなけ俺の事好きなんだよ……


「あ、話が逸れたね。それで、空とゴミ拾いしてどうしたの?」

「……ごめん数馬」

「ごめんって?」


 いきなり謝る俺に首を傾げている数馬。
 俺は今空とした事以外にも数馬に伝えようとしている事があった。
 でもそれを言ったら数馬はめちゃくちゃになっちゃうんじゃないか。

 数馬が直登と付き合っていた時、二人が別れ話をした時の数馬を思い出して俺は思い止まる。
 もう数馬にあんな思いはして欲しくなかったのに、俺がさせちまうなんて。

 でもさ、俺やっぱり空の事が好きなんだわ。 
 どんなに離れてても、どんなにムカつく事言われても、やっぱり俺の中には空がいるんだ。
 数馬が劣ってる訳じゃねぇ。これは俺のわがままだ。


「俺はやっぱり……」


 俺が数馬に別れを切り出そうとした時、後ろから自転車のベルが鳴り、自転車に乗った男が俺達に近付いて来た。
 

「はいそこ邪魔~。通行人はもっと端を歩きなさーい」

「空!」


 なんとその自転車はチャラ男号で俺達に近付いて来たのは空だった。
 会話も会話だったので俺と数馬の間に気まずい空気が流れる中、空はそんなの気にする様子もなく自転車を止めて数馬を見てニッコリ笑った。

 こ、こいつ何する気だ!?


「数馬~?やっぱり俺応援なんて出来ないや♪貴哉の事諦めらんないんだよね~」

「…………」

「おい!何言ってるんだ!」

「つー訳で、これからは貴哉を取り返すつもりでいくからよろしく~」

「空……」


 いきなり空からそんな事を言われて数馬は口を半開きにして唖然としていた。
 俺だって驚いたわ!空の奴、いきなりなんつー事言い出すんだ!しかも数馬に面と向かって!

 そして空はクルッと俺の方を向いてとびきり甘い笑顔を見せた。


「貴哉♡愛してるぞ♡」

「なっ!?」

「そんじゃ帰るわ。お前らも寄り道しないで帰れよ~」


 嵐のような空の行動や言動に、俺も数馬も何も言えず自転車に跨り去っていく空をただ立ち尽くして見ているだけだった。

 空にああ言われて数馬は何て思ったんかな?
 ちょっと気になるわ。

 俺はチラッと数馬を見ると、落ち込んだような表情をしていた。顔色も良くなさそうだ。


「数馬、大丈夫か?」

「うん。空が貴哉の事を好きなのは分かってたから。あんな風に言ってるけど、空は優しい人だよね」

「そ、そっか。なら良かった」

「貴哉はどう思ったんだ?」

「えっ」

「空に告白されて、どう思った?」

「どうって……」

「やっぱり空の事が好きなんだな」

「っ……」


 俺が何も言えないでいると数馬は困ったように笑った。まるで分かっていたかのような反応に、余計に言葉が出てこなかった。

 すると数馬が俺の手を握って来た。あの数馬が外で自分から触れてくる事が珍しくて驚いていると、真剣な顔をして俺を見て来た。相変わらず顔色は悪かったけど、真っ直ぐに俺を見ていて目が離せなかった。


「貴哉が言いたい事は分かる。だけど、俺にもう一度チャンスをくれないか?」

「チャンス?」

「今日はこのまま俺の恋人でいて欲しい。わがままを言ってるのは分かってるよ。まだ少しでも俺の事を好きという気持ちが残っているなら今日は一緒に……俺と一緒に過ごして欲しいんだ」

「数馬……」


 これがあの数馬なのか?
 最後は口篭っていたけど、それまではしっかり俺の目を見て喋り、ハッキリとそう言った。
 自分の気持ちを伝える事が苦手だった数馬の成長に俺は感動して手を握り返していた。

 そこへ横から陽気な声がかけられて、数馬の手が離れた。


「誰かと思えば貴哉とその付き人じゃん♪そんなとこで何してんのー?」

「桃山……と伊織……」


 数馬は恥ずかしそうに顔を下にしていて、俺は声のする方を振り向くと満面の笑みの桃山と、心配そうに見ている伊織がいた。


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