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5章 新しい恋達の行方
懐かしいネタぶっ込んで来るなって
しおりを挟む俺は千尋が入部出来るように動く事にした。
まずはこの部室にいる奴らからだ。
今いるのは俺と紘夢を除いて、相変わらずパソコンをいじってる数馬、そして少し前に入って来た直登だ。他はもう仕事に行ってるかまだ来てないかだ。
数馬はまぁ俺が言えばイエスと言うだろうから後でも問題ねぇ。よし、直登に話しておくか。
鞄を机に置いて座ろうとしてる直登に近付くと、ニコッと爽やかな笑顔を向けられた。よし、機嫌は良さそうだ。
「直登~」
「どうしたの?」
「吾妻千尋って一年が紙持って名前書けって言って来るから、それにサインしてやって?」
「吾妻千尋くん?ああ、吾妻千和くんの弟ね~。えー、誰かさんみたいに停学になりそうなのー?」
「うわ、懐かしいネタぶっ込んで来るなって」
ニヤニヤ意地悪く直登が言うのは、去年俺が停学を喰らった件だ。俺の為にみんなが集めてくれた署名があったんだけど、今回もそれだと思ってるらしい。
「千尋の場合はボラ部に入りたいから部員全員に名前書いてもらってんだよ。て事でよろしくな~」
「ふーん、別にいいけど、一条さんの面談通さないで?」
「その紘夢が出した条件なんだよ」
「なるほどね~。どんな子か分からないけど、来たら名前書いておくよ」
「サンキュー♪」
「ねぇ貴哉って今暇なの?」
直登はクリア!あと二年は数馬と空だな。まぁ二人共大丈夫だとは思うけど。
数馬の方へ行こうとしたら直登が俺の腕を引っ張って聞いて来た。さり気なく掴まれた腕が若干痛い。
もしかして俺と数馬がイチャつくと思ってんのか?まだ別れた事知らねぇから仕方ねぇか。
今は数馬のとこに行くのは諦める事にした。
「いんや?これからみんなにも名前書けって言いに行くんだ」
「それなら俺も行く♪」
「いいけど……」
随分機嫌が良いみてぇだな。協力してくれんなら何でもいいや。
俺は直登と一緒に他の部員達がいる所へ行ってみる事にした。
「千尋は今中庭にいる双葉んとこ行ってるから他に行こう」
「それなら平塚さんの所は?図書室にいるでしょ」
「え、怜ちんってまだ図書室の手伝いやってんの?」
「もう頼まれてた仕事は終わってるんだけど、なんか個人的に通ってるらしいよ?」
ああ、戸塚狙いか。そんな理由でやる事決めるとか怜ちんも悪だな~。
「そんじゃ居場所が分かる奴から回って行くか~。なぁ、図書室って梶山も行ってんの?」
「音くん?今は行ってないんじゃない?確か学校の外のゴミ拾いしてると思うよ」
「外ぉ!?あいつそんなとこまでやってんのかよ!」
「音くんは真面目だからな。他にも手が空いてる人がゴミ拾いしてるよ」
「ふーん、じゃあ怜ちんの後はそっち行ってみるか」
「ねぇねぇ貴哉~」
図書室へ向かう途中で直登が機嫌良さそうに声を掛けて来た。
どうやら話を聞いて欲しいみたいだな。
「何だよ?良い事でもあったのか?」
「んーん?特にないよー?」
「そうなのか?じゃあ何でそんなに機嫌良いんだ?」
「貴哉と過ごせてるからじゃん?」
「え……」
まさかこいつ、まだ俺の事を?だとしたら面倒くさ過ぎるな。思わず嫌な顔をすると、直登は気にする様子も無くクスクスと笑っているだけだった。
「だってさ~、クラス別々になってから二人でこうして話すのって無いじゃん?いつも貴哉の傍には数馬くんがいるし、やましい気持ちとかじゃなくてシンプルに嬉しいんだよ」
「あ、そうなの?」
「貴哉の事はいいなと思うけど、俺人のものには興味無いからさ」
「お前がさっき言いたかったのって?」
「あー、なんかさ俺……」
「?」
直登は言いかけてやめて、下を向きだした。
さっきまで普通に笑顔で話してたのにどうしたんだ?
俺が直登から話し出すまで待ってると、顔を上げてまたニッコリ笑った。
「やっぱり何でもなーい♪」
「はぁ?何だよ気になるじゃん」
「そうやって貴哉に心配されたいだけかもね」
「うわ、めんどくさ~」
「あはは、出た~めんどくさがり~」
「話したくなったら聞いてやるよ」
「……ありがとう♪」
結局直登は何を言おうとしてたのか話さなかった。
俺も無理には聞かずにそのまま図書室へ向かった。
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