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5章 新しい恋達の行方
何?文句言うっての?
しおりを挟む休み時間になって数馬を連れて廊下に出る。周りに人がいない事を確認してから数馬に向き直る。
数馬は緊張してるのか眉毛を下げて目線をあちらこちらに向けていた。
「た、貴哉?悪い話?」
「いんや?別に普通?」
「そ、そっか。何かな?」
「俺とお前が別れたって公表する日を決めようと思ってな」
「!?」
俺が話し出すと数馬はショックを受けたような悲しい顔をして驚いていた。
「何その反応?バレるまでって言ってただろ?」
「そうだけどっ……いつにするの?」
「それが悩ましい所なんだよな~。実は空に催促されててさ、なるべく急ぎでって言われてるんだ。あ、ちなみに空と紘夢にはバレた。ついでに城之内」
「一条さんも知ってるんだ……」
「紘夢は俺と数馬が付き合ってるってなってた方が都合が良いとは言ってたけど、空がうるせぇからよ。でも俺が勝手に決められねぇし、数馬に相談してからにしようと思って」
ここで数馬は少し落ち着いたのか、まだ不安そうだけど笑顔を見せた。
「それは嬉しい。ごめんね、いざ貴哉と別れた事を周りに言うってなるとやっぱり寂しいなって。変だね、もう別れてるのに」
「んー、別に変じゃねぇだろ。数馬がまだって言うんならすぐに言わなくてもいいんだぜ?元々俺が付き合おうって言い出したんだし、お前の負担になるなら最後も合わせるよ。俺はいつでもいいと思ってるしな」
俺は数馬の事を傷付けちまったのを心のどこかで悪いなと思っていた。だからこれは本心だった。
空がうるさくなるけど、この事は数馬を優先しようと思っている。
俺からしたら付き合ってようが別れてようが何も変わらないからどっちでもいいんだ。
俺がそう提案すると、数馬は嬉しそうに笑った。
「空には申し訳ないけどもうしばらくはこのままでいたいな。いいかな?」
「分かった。そんじゃ俺から言っておくわ~。あ、空の事は気にすんなよ?これは俺と数馬が決める事だから文句言いやがったら俺が怒ってやる♪」
「あはは、ありがとう♪」
結果的に数馬が決めるって事でいいのかな?
話も終わったし教室に入ろうと振り向くと同時に廊下の角から空が歩いて来るのが見えた。
おー、早速休み時間に会いに来やがったか。短い時間なのにご苦労なこった。
「俺先に中入ってるね」
「おう」
気を遣ったのか数馬は一人で教室へ戻って行った。
そして俺の傍まで来ていた空はとても機嫌良さそうだった。
「貴哉~♡またこうして会いに行けるなんて幸せ過ぎる~♡」
「会いに来るならいつでも出来るだろうが」
「もうっ!気持ちが違うだろ?さっき数馬と話してたのか?」
きっと俺が数馬と別れる日を決めたと思い込んでいるであろう空はそれはそれは幸せそうにニヤけていた。
だが残念。結果は空の思い通りにはならなかったぞ。
「ああ、話してたよ」
「いつ!?いつ付き合えるんだ!?」
「んー、分かんねぇ」
「は!?どういう事?」
俺の返事にニヤけてた顔を少し引き攣らせて聞いて来た。空には酷だけど、分からねぇもんは分からねぇんだ。
「やっぱりすぐには数馬にも負担掛かるだろうからもうしばらくはこのままでいる事にしたんだ」
「朝と言ってる事違くね?なるべく早めにするって言ってたじゃんっ」
「そうだっけ?まぁ人生は思い通りに行かないってこった~」
「こった~じゃねぇよ!期待させといてそれは無いんじゃないか!?」
「何?文句言うっての?」
やっぱりうるさくなったから、俺は首から下げてるネックレスを引きちぎるかのような素振りを見せてやる。
すると空は焦ったのか言葉に詰まって苦しそうな顔をしていた。
「うっ……ズルい……」
「そりゃ悪いとは思ってるって。でも今回ばかりは数馬に任せる事にしたんだよ。それに……」
「……それに何?」
空があまりにも残念そうにしてたから俺は鞭じゃなくて飴を与えてやる事にした。
俺は空にグイッと近付いてキスするかしないかってぐらい顔を寄せて喜びそうな事を言ってやった。
「付き合ってなくても恋人がする事は出来るだろ?」
「貴哉ぁ♡したい!今すぐしたい!」
「ここで出来る訳ねぇだろ。帰ったらな」
「キスだけでも!ね♡お願い♡」
「する訳ねぇだろ!ここ学校だぞ!」
「もう我慢出来ない!貴哉と別れてからずっと我慢してたんだからな!」
「我慢出来てなかっただろ!途中でちょいちょい手出して来たよな!?」
「貴哉もまんざらじゃなかった癖に~♡ね、次の授業サボりません?一緒にデートしません?」
「サボりません。デートもしません。てかもう戻れよ、鐘鳴るぞ」
このままじゃ終わらない気がしてさっさと教室へ入ろうとすると、空に肩を掴まれて無理矢理ほっぺにキスをされた。
こいつ!誰かに見られたらどーすんだ!?
「テメェ何すんだ!」
「今はこれで我慢してやるよ♡続きは帰ったらな♡約束だぞ♡」
「……おう」
すぐに怒ろうとしたけど俺は空の顔を見たら何も言えなくなっちまった。
だってすげぇ嬉しそうに笑ってんだもん。
ああ、俺ってやっぱ空の笑顔好きだわ。
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