どいつもこいつもかかって来やがれ9th season

pino

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5章 新しい恋達の行方

そこはトモを使おうぜ!

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「なぁ、どうしてそんなに俺が演劇部に行くのを反対するんだ?トモがいるからか?」

「トモには貴ちゃんに指一本でも触れたらお前の存在を消すって言ってあるから心配はしてないよ。保護者の誠也もいるから大丈夫だと思ってる。100%反対はしてないよ。俺が快く思っていないのは卯月達には他の理由があるからだ」

「他の理由って?」


 それは俺も聞いてねぇな。
 ここで紘夢はやっといつものような柔らかい表情になった。肩で深呼吸をしてから眉毛を下げて呆れたような顔をして話し始めた。


「貴ちゃんを指名した本当の理由は貴ちゃん目当てで入部して来た子達を演者から裏方へ誘導する為だよ」

「俺目当て……あ」


 それには心当たりがあった。
 紘夢にそう言われて俺は、なっちの所へ行った時にわらわらと俺に群がる可愛い一年共を思い出した。
 もしかしてあの筋トレしてた一年共ってみんな演者希望なのか?
 その事について俺はずっと気になっていた事を紘夢に聞いてみようと思った。


「それなんだけどさ、今年演劇部に入部した一年って、一回ボラ部に来てたりする?」

「6割は来た。全員落としたよ♪」


 なんと!直登が言ってた事が当たってんじゃねぇか!
 紘夢はいつものニコニコ笑顔で、いい仕事をしたと言わんばかりに自慢げにしていた。


「俺にもなんとなく状況が分かって来たけどよ、これは分からないんだ。俺目当ての奴らがなんで演劇部に行ったんだ?それも揃いも揃って演者ばっかり」

「今年も貴ちゃんが演劇部の助っ人に行くって読んだからだろ。卯月達はそれを分かってるから、貴ちゃんが裏方にいればそっちに流れると思ったんだよ」

「なるほどな~。ボラ部がダメなら演劇部か~。賢い奴らだな」

「俺は感心しないね!貴ちゃんを利用しようとしてる卯月達にもね!貴ちゃんを助っ人に欲しいって話が来た時は俺に喧嘩売ってるとしか思えなかったよ」

「あはは、紘夢は考え過ぎなんだって~。紘夢の言う事が合ってたとしても俺がしっかりしてりゃいいんだろ?」


 紘夢が考えて出した答えなんだからほぼそうなんだろうけど、俺自身が一年共を甘やかさないで厳しくしてやりゃいい。
 それでも紘夢はまだ不服そうだった。


「今までの統計からして貴ちゃんがしっかりやれるとは思えないんだけど?」

「う……そうだ!そこはトモを使おうぜ!トモに俺の護衛をやらせんだ♪少しでも俺にうつつを抜かしたり、演劇部での活動に対して手を抜くような奴がいたらトモや犬飼に裁いてもらえばいい。どうだ!?名案じゃね!?」

「……確かに。それは悪くないかもな」


 よし!あと一歩だ!
 俺の名案に考え込む紘夢を見て俺はトドメを刺そうと甘え作戦に出る事にした。

 体勢を少し低くして机に伏せて、上目遣いで紘夢を見上げる。出来るだけ可愛いく。そう、デシーナを思い出して……


「紘夢ぅ?俺も演劇部の役に立ちてぇんだよぉ~。天下の演劇部で活躍したら担任からの評価も上がるかもだし?」

「そりゃ貴ちゃんの為になるならいいけど……」


 俺の作戦が分かったのか、紘夢は困ったように笑っていた。そしてとうとう俺は立ち上がり、紘夢の背後に回ってゆっくりと紘夢を抱きしめる。
 後ろから耳元で更に追撃を加えてやる。


「もし俺になんかあったとしてもお前が助けてくれんだろ?俺はお前がいるからやりてぇ事も出来る。いつも感謝してる♡これからもお前の言う事聞くから今回だけ頼むよ♡な♡」


 ここで紘夢は大きな声を出して笑った。
 もう難しい顔をした紘夢はいなくなって、いつもの俺とたわいない話をして楽しそうにしている紘夢になっていた。


「あはは♪ほんと貴ちゃんには敵わない!あー、負けた負けた。俺の負けだよ」

「それじゃ演劇部行っていいのか!?」

「いいよ。好きにやっておいで?細かい誓約書とかは俺に任せて。もー貴ちゃんは俺の言う事なんて聞かない癖によく言うよ~」

「聞くようにはしてる!紘夢に感謝してるのは本当だぞ?」

「うん♪俺も貴ちゃんには感謝してる♡ところで貴ちゃんは何でそこまでして演劇部に行きたいの?」

「えっ!?」

「面倒くさがりなのに俺を説得してまでやりたい理由があるんだろ?裏方って言っても肉体労働多いし、演者達を支える陰の立役者だから結構大変だと思うけど」

「それは……卯月が俺にはいてくれるだけでいいって言うからです……」

「そんな事だろうと思った~!卯月の奴、やっぱり貴ちゃんで一年を釣ろうとしてんじゃん!」


 紘夢に嘘は通じないから俺の演劇部へ行きたい理由を素直に話すと、納得したように大きなため息をついた。
 でも紘夢を説得出来て良かった♪これでしばらくは面倒なゴミ拾いや草むしりから解放されるぜ♪


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