【完結】取り柄は顔が良い事だけです

pino

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1章 出会い

7.ブルータイガー

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 次の日の午後、俺は半袖のパーカーに黒のスキニーと言う比較的ラフな格好で改札出てすぐの所でスマホをいじっていた。
 待ち合わせの15時まではあと5分ある。明日以降の予約の確認をしていた。

 ちなみに今日デートする子の情報は、20歳の男。職業欄は秘密。名前は「青い虎」。苗字が青いで、名前が虎になっていた。別に本名を載せなくてはいけないルールは無いから問題ないけど、虎くんて呼べばいいのか?たまにキラキラネームとかいるけど、呼ぶ方が恥ずかしい時あるんだよな~。
 趣味はカラオケ、ダンス。身長や体重は尚輝くんとほぼ同じ。
 ま、正直嘘書かれてたら元も子もないからサラッと読むだけだけどね~。

 ここで15時になったからスマホを閉じて周りを見渡す。
 朝にやり取りしたメッセージでは、黒のTシャツにブルーのダメージジーンズ。青い髪色をしてるからすぐに分かるとか言ってたけど、それらしき人は見当たらない。

 まさかバックれた?俺がいるのを離れた所から見ててやっぱ辞めたとか?仕事仲間からはたまにドタキャンされるとか聞くけど、俺はまだ一度も無い。料金は前払いだし、しっかり取られるからそんな事する奴いるのかと思ってたけど、実際されるとなると腹立つな。

 まぁ電車が遅れて遅刻ってのはたまにあるけど、それを見込んで早めに行動するのが礼儀ってもんじゃないのか?
 尚輝くんを見習え!
 って、俺何言ってんだ?


「ハハ、もう少し待ってみるか~」


 一人でボソッと言って再びスマホを開いて画面を見ようとすると、横からいきなり視線を感じて慌てて振り向くと、サングラスを掛けた青い髪の男がニッと笑ってそこにいた。


「っ!?」

「やほー♪お兄さん1人~?良かったらデートしなーい?」


 驚き過ぎて声も出なかった!!
 男はそんな呑気な事を言いながらグイッと距離を縮めて来た。
 黒のTシャツにダメージの入ったジーンズ……決定的な青い髪!青い虎だ!


「おーい?聞いてるー?」

「あ、ブルータイガー?」

「プハッ!それウケる♪はいそうです♪ブルータイガーです♪」


 思わずカタカナで名前を呼んでしまったよ!
 それでも男は楽しそうに笑って、サングラスの奥の垂れた目が薄っすらと見えた。
 あのさ、なんて言うか、チャラいな!昨日の20歳とは大違いで、雰囲気や喋り方とか登場の仕方とかがチャラいのよ!


「お兄さん、めちゃくちゃ美人だね!あの写真加工してて実物はもっと普通なのかと思った~」

「失礼だな!俺は写真を加工なんてした事ないっ」

「そりゃ必要ないわな~♪そんなけ綺麗な顔してりゃ」


 うん、俺の想像の20歳なんてこんなもんだよ。
 尚輝くんが大人っぽ過ぎたんだよ。
 いいんじゃないか?ブルータイガーからなら若者の勉強が出来そうだ。

 少しイラッとする瞬間もあるけど、俺は金の為と思って、気を取り直しつつ接客する事にした。


「初めまして♪改めて、俺は伊吹♪ちなみに本名だよ」

「本名!?おまけに顔写真まで本物とかどんなけ強気なんだよ!」

「……タイガーくんの本名は?教えたくないなら別にいいけどっ」

「え?それが本名だよ♪俺、青山大我あおやまたいがっての♪大きいに我って書いて大我!だから、良く俺の本名分かったなぁって驚いた♪」

「いや、普通に青い虎を英語にしただけじゃん……へー、大我くんって言うのか。今日はよろしくね」

「よろしくー♪ねぇねぇ、俺、こういうの初めてなんだけど、何してくれんの!?」

「そうだね、友達同士がするような遊びから普通に恋人同士がするようなデートまで、出来る範囲でなら何でもするよ」

「はいはーい!俺、カラオケとか行こうかなって思ってたけど、予定変更~!ホテル行きたーい♡」

「ホテル!?ってかそんな事大きな声で言うなっての!恥ずかしい奴だな!」

「だって本物の伊吹見たら行きたくなったんだもん!ねぇ、何でもしてくれるんでしょ?」


 大我くんはサングラスを外して、グイッと顔を近付けて聞いて来た。
 何でもとは言ったけど、限度はある。
 人によってはホテルも行くだろうけど、俺はそう言うのはしてない。
 ましてや男相手とか考えられないだろ。


「ごめんねー?俺、売りはしてなんだよね。普通にお茶したり、あ、カラオケいいじゃん♪時間的にもちょうどいいし、そうしよ♪」

「ふーん、売りはしてない、か♡ますます気に入った♪」


 ニヤリと笑う大我くん。
 何を考えているのか分からないけど、聞いた所でイライラするだけだろうから、適当に相手しておこう。
 3時間我慢すれば終わるから、頑張れるってもんだ。

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