【完結】取り柄は顔が良い事だけです

pino

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1章 出会い

6.線引きはしっかりと

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 俺は家に帰ってボーッとリビングに座ってカウンターの上にある緑色の紙袋を眺めていた。

 初めてだったな、あんなデートは。
 初めこそ普通に映画観て、街をブラブラして、今時の学生はこんなもんだよなって感じだったけど、ところがどっこい!夜になると大人顔負けの富豪っぷりを炸裂させやがった!
 いやいや、20歳は大人だよ?でも大学生よ?まだ学生さんよ?
 親が金持ちっぽいけど、こんな風に初めて会う男に高額なプレゼント買えちゃうぐらいってヤバくね?

 てか客からプレゼントを貰うのは初めてじゃない。そりゃ俺にだって仲良くなったリピさんとかいるし、初回でプレゼント用意してくれる客もいるよ?
 でもこんな高額な物は誰一人としてくれた事はない。いや、誰もあげなくね?
 だって、ただのデートクラブのキャストだよ?
 いつ辞めてもおかしくないし、直接の連絡先だって知らない仲なのに、頭おかしいとしか考えられない。

 それに、あのホテルの部屋にあったって事はデートする前から渡す気で用意していたって事だ。
 もしかして、俺の事を本気で……?


「いやー!ないない!あり得ないっしょ!」


 俺だって人並みには誰かと付き合って来たよ。
 この顔のお陰で告白されるのなんて数え切れないぐらいされて来たし、結構な確率で「やっぱり違う」と言われてフラれるんだけど……
 でもさ、そんな過去の恋人達はみんな女の子だったよ?同性である男に告白とか初めてされたんだけど!
 しかも「必ず幸せにします♡」って、プロポーズじゃねぇかよ。

 おっさんだからって茶化されてんのかなー?
 でもふざけてロレックスとかプレゼントすっか?
 いや、これまだ開けてないけど、中身空だったりするんじゃね?それか重さを誤魔化す為に石とか入ってるんじゃね?

 ちょっと中身確認してみっか?
 いや!怖くて開けられねぇよ!
 開けた瞬間謎のブザーが鳴り出して、怪しい黒服達が現れて俺の事拉致したりしちゃうかもじゃん!?


「はぁ、風呂入ろ……」


 これ以上考えても仕方ないから、一旦気持ちを切り替える為に風呂を沸かす事にした。
 湯張ボタンをポチッと押した時にスマホの画面が光ってる事に気付く。
 見てみると、デートクラブのアプリにメッセージが来た通知だった。
 チャット形式でキャストと会員になった客がやり取り出来る機能なんだけど、結構いろんな人から来るんだよな。
 俺は基本的に予約してくれたり、仲良くなった人にしか返さないけど。
 もちろん、内容はスタッフに見られるから、余程変な内容のは送れないようになってる。


「……真面目かよ」


 メッセージを開いて読んでみて俺は笑った。
 相手は今日デートした男、尚輝くんからだった。

『今日は素敵な時間をありがとうございました。とても楽しくて、夢のような時間でした。来週の土曜日も予約を入れたいのですが、迷惑ですか?』

 ただのキャストと客なのに、確認必要か?とか思ったけど、きっと尚輝くんはこういう子なんだ。
 真面目で、ちゃんと相手の気持ちを考えて行動してる。
 そう、まるで大好きな彼女を凄く大切にするかのように……
 くそう!何大事にされてんだ俺!
 尚輝くんは金払って俺とデートしてんだよ!
 だから俺も割り切っていかねぇと生活出来ねぇんだよ!

 ただちょっとだけ、ちょっとだけだぞ?
 こんな風に大事にされるのも悪い気はしないなって。

 何はともあれ今は尚輝くんは俺にとって客だ!なったとしても友達!てか男同士でどう付き合えってんだよ。

 俺は無理矢理頭を切り替えて、他の予約の確認をする。
 ん?明日一件入ってんじゃん。
 今日の予約が1日ガッツリだったから明日は休もうと思って午後の数時間だけ出勤してたんだ。
 まさかその数時間に入れてくれる人がいたなんてな。
 いや、結構1時間や2時間で予約する人は多いんだ。タイプの異性と普通にデートをするのが目的じゃなくて、1人でいたくないって人とか、誰でもいいから一緒にご飯を食べたいって人とかも結構いるんだ。
 
 明日の15時から18時の3時間。相手はまたしても男だった。しかも20歳……俺は尚輝くんじゃないか!?とか思ったけど、名前やプロフィールが違うから別人だと思いホッとしていた。
 さすがに連日では予約して来ないか。

 俺は適当にプロフィールを見た後、承諾ボタンを押して風呂へ向かった。


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