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1章 出会い
13.賑やかな友達 ※尚輝side
しおりを挟む※尚輝side
金曜日、俺はいつものように大学での講義を受けていた。
「~♪~♪」
柄にもなく鼻歌なんて歌ってしまったせいで、近くにいた友達の気を引いてしまった。
「尚輝が鼻歌!?今日って雪降る予報だったっけ!?」
「降らねぇだろ。今6月だぞ」
派手な見た目でやかましい友達2人の事は気にせずに俺は明日の事を考えていた。
そう、明日は伊吹さんとの2回目のデートだ♪
伊吹さんはとある会員制のサイトで出会った素敵な男性だ。とても美しくて、それでいて気取ったりせずに気さくに接してくれる優しいお兄さんだ。
恋愛対象が同性である俺は、出逢いに困っていた。元々恋愛には不器用で、いいなと思う人はいてもなかなか一歩踏み出せずにいた。
そんな中、いろいろ調べた中でも信頼出来そうなサイトを見付けて、そこにいるキャストを一通り見てみたんだ。勿論男性キャストのみ。
そこで見つけたのが伊吹さんだった。
まずは写真に惹かれた。優しく微笑む綺麗な顔の伊吹さんは正に俺のタイプを直撃していて、「割り切って楽しい時間を過ごしましょう」と言うコメントと、対象性別不問と書いてあるプロフィールを読んで、すぐに会員登録をした。キャンペーンだかなんだかもやっていたけど、そんなのは無視して何が何でも伊吹さんに会いたいと思って少々高かったけど、入会金をしっかり振り込んだ。
割り切ってって事は伊吹さんは仕事として真面目に取り組んでるって事だろ?それに、他の会員にも割り切って接客してるって事は彼にとって特別な会員はいないって事だ。
そして何より、対象性別が不問な所だ。
これはゲイである俺にとっては藁にもすがる思いだった。
他の男性キャストのプロフィールも見たけど、殆どが異性を対象にしていた。数少ない中でもとびきり自分の好みの男性を見つけたんだ。
だから俺はそんな伊吹さんに一目会いたいと思って迷わずに登録した。
「そんで、何があったのよ?尚輝さんよ~?」
「俺も気になる~♪何か良い事あった?」
「実は好きな人が出来たんだ」
「誰!?写メは!?名前は!?」
この2人になら話しても大丈夫だろう。
大学に入ってから話すようになったけど、実はこの2人は恋人同士なんだ。
たまたま俺の前の席にいた2人がイチャついてるのを少し羨ましいなと思いながら眺めていたんだ。そしたら片方とバッチリ目が合って、そこから俺はこの2人と良く連むようになった。
2人共明るくて賑やかなタイプだ。
いつも楽しそうで話を聞いてるだけでも面白かったりもする。
俺がゲイである事も伝えてあるから、この2人といるのは気楽だ。
「写メは無い。あっても勿体ないから見せない♪」
「尚輝って好きな人隠すタイプなんだぁ?ちょー見てみたぁい♪」
頬杖をつきながら、ニヤニヤ笑ってるのは幸太郎。金髪で、外はねの猫っ毛が特徴的で、珍しいオッドアイの持ち主だ。
「俺は自慢したいね!コータは俺のだーってな♡」
「美波ってば大胆~♡」
幸太郎を抱き寄せながら頬擦りをするのは美波。白に近い金髪で、ブルーのカラコンを入れているお洒落さん。
2人共いつも派手な服装をしていて、賑やかだからどこにいても見つけられるんだ。
俺も幸太郎と美波みたいに、伊吹さんと堂々とイチャつきたい。
こんな風に伊吹さんと過ごせたらとても楽しいだろうなぁ。
「なぁ美波~、今度尚輝の跡付けてみようぜ?そしたら好きな奴見れるかもじゃん♪」
「それいいね~♪楽しそう♪」
「頼むからやめてくれ。嫌われたら2人のせいにするぞ」
「どんな人なんだ?この学校の人?」
「尚輝が他に仲良いのって誰だっけ?」
「違う。年上の人だよ」
「マジ!?いくつの人?」
「25」
「すげぇ!どこで会ったの!?」
「秘密」
「怪しいなぁ?出会い系とか?」
それは近い物があるな。
てか普通に考えて出会い系の一種だろう。
ただお金を払ってデートをしてもらっている。それだけだけど、本気で好きになってしまったからいつかは俺の事も好きになってもらいたい。
だけど、伊吹さんは誰がどう見てもトリプルS級の美人だ。いつ誰が伊吹さんの心を射止めるかなんて分からない。
俺は年下の大学生だし、少し頑張らないといけないと思うんだ。
「会員制のデートクラブだよ」
「それってゲイ専門の?」
「ううん、普通のやつ」
もう2人には話してしまえと開き直る事にした。
話しておいた方が相談とかしやすいしな。
ただ伊吹さんの写メは見せないけどな。
「ちょ、それってかなり期待薄いんじゃね?」
「美波どゆこと?」
「だって、相手は金貰ってんだろ?それって尚輝の事金ヅルとしか見てねぇんじゃ……?」
「おいっ美波っ」
「分かってるからいいよ、それでも俺は本気なんだ」
「…………」
「いいじゃん♪相手は人間なんだし、尚輝に好き好き言われてたら向こうも好きになってくれるかも?頑張ってよ尚輝~♪」
幸太郎は不安そうな顔をしていたけど、美波は明るくエールを送ってくれた。
伊吹さんが俺の事を客としか見てないのは分かってる。だけど、美波の言う通り、ずっと一途にアタックしていたらいつかは振り向いてもらえるかもしれないだろ。
あんなにタイプの男性に巡り逢えたんだから、俺は運命だと思って向き合うつもりだ。
「ちょっとジュース買いに行って来る」
「いってら~」
少し現実的な思いをしてしまったから気分転換に歩く事にした。
席を立ち廊下に出ようとした時、入れ違いで入って来た男と肩をぶつけてしまった。
「あ、すみません」
「こっちこそ悪ぃ!」
俺と同じ背丈の青い髪の、これまた派手な男だった。あの2人に負けず劣らずな陽キャってやつか。
お互い軽く謝ってそのままやり過ごす。
それよりも動揺するなんていけないな。
明日は伊吹さんに会えるんだ。
気持ち切り替えて行かないと!
ああ、伊吹さんに会いたいなぁ。
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