【完結】取り柄は顔が良い事だけです

pino

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2章 2回戦目

17.お揃い

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 俺は尚輝くんと、お店のキャストと客という関係を忘れて普通に楽しんだ。
 大人気のイルカショーを観たり、ペンギン達の餌やりの時間に出会したり、トンネル状の大きな水槽の下を歩いて大きな亀の内側を覗いたり、なるべく手を繋ぐのを意識して、時には尚輝くんの腕に自分の腕を絡ませて甘えたり、俺なりにカップルっぽくしてみた。
 初めは尚輝くんも慣れないからか、戸惑ったりビクッとする場面もあったけど、時間が経って尚輝くんもそんな俺に慣れて、普通に嬉しそうにしていた。

 そして一通り回って今はお土産コーナーにて2人でグッズを見ていた。
 女の子とかにちょっとしたキーホルダー買ってあげると喜ぶんだけど、尚輝くんは男だし喜ばないかな?


「あ、見て下さい♪ぬいぐるみ可愛いですよ♪」

「ペンギン?何、欲しいの?」

「さすがに俺が持ってたらおかしいですよ~」

「そう?それなら2人で持とうよ♪あ、こっちの小さいのならキーホルダーになってるから持ち歩けるんじゃん?」


 尚輝くんがフワフワの可愛いらしいペンギンのぬいぐるみを持っていたから、俺は反対の棚にあったキーホルダーを見付けて2つ取って「どう?」と見せてみる。
 さすがにぬいぐるみとキーホルダー両方は買ってやれないからな~。だってこのペンギンのぬいぐるみ、3500円もするんだもん。キーホルダーなら750円!それでも高けぇなと思うけど、これぐらいで十分だろ♪
 俺が自然にキーホルダーにしようと誘導すると、尚輝くんはパァッと笑顔を輝かせた。


「お揃いで持ってくれるんですか!?」

「え?うん。あ、キーホルダーな?」

「嬉しいです♡こうしませんか?キーホルダーは伊吹さんがプレゼントしてください♡ぬいぐるみは俺がプレゼントします♡そしたら家でも外でもお揃いです♡」

「えっぬいぐるみも買うの!?まぁ尚輝くんが買ってくれんならいいけど……」


 めちゃくちゃ可愛い事言ってるけど、ぬいぐるみいる!?俺んちぬいぐるみなんか飾ってないよ!?
 たまにマダムが馬鹿高いぬいぐるみ買ってプレゼントしてくれるけど、邪魔だし興味無いから全部袋に入れたままクローゼットに眠ってるぐらいだぜ?
 このペンギンもクローゼット行きになりそうだけど……

 尚輝くんのこの嬉しそうな顔見たらいらないなんて言えねぇよっ!ぬいぐるみ欲しがるとか女子かよ!子供かよっ!ピュアかよっ!

 あーもう、尚輝くんってさ~!


「今日からこの子と寝ます♪そしたら伊吹さんと寝てるみたいでぐっすり眠れそうです♪」

「可愛いな!お前!!」


 あ、言っちゃった!
 そうなのよ、尚輝くんって俺よりデカいし、顔もキリッとしてて男らしいんだけど、喋ると可愛いんだわ!
 年下だからかな?敬語ってのもあるんだろうけど、言う事成す事が全て可愛いなって。


「ハッ!そ、それは褒め言葉として受け取っていいんですか!?」

「おう、めちゃくちゃ褒めてるぞ」

「本当はかっこいいがいいけど……伊吹さんに言われるなら嬉しいです♡」

「さよーですかい」


 俺は尚輝くんからフイッと顔を逸らしてペンギンの小さいぬいぐるみのキーホルダーを2個持ってレジへ向かう。

 ダメだ。今日はサービスデーって決めたのに。
 目一杯尚輝くんを満足させなきゃいけないのに。
 今は顔見せられねぇや。
 
 一回落ち着かないと、尚輝くんのペースに持ってかれて一線を引けなくなりそうだ。


「あ、待って下さいよ~」


 両手にペンギンのぬいぐるみを抱えながら、俺の後を追ってくる尚輝くん。
 俺は顔を見られたくなくて逃げるようにショップの中を歩いてレジに並んで、キーホルダーを購入する。尚輝くんも同じように俺の後ろでぬいぐるみを2個購入していた。

 レジの可愛い姉ちゃんに対応されてちょっとだけ落ち着けたわ。

 
「伊吹さん、お待たせしました♪はい、伊吹さんの分のぬいぐるみです♡」
 
「ん、サンキュー」


 ショップを出て、少し開けた所で袋に入ったぬいぐるみを渡して来た。俺もそれぞれの袋に入れてもらったキーホルダーを1つ渡す。
 尚輝くんはとても嬉しそうに受け取った。


「ありがとうございます♡伊吹さんからの初めてのプレゼント嬉しいです!大切にします♡あの、早速付けてもいいでしょうか!?」

「いいよ~、そんじゃ俺もどっかに付けよ♪」


 袋から取り出して、ペンギンの手の平サイズのぬいぐるみをキーケースに付けて尚輝くんに見せる。尚輝くんは持っていたバッグに付けてニコニコ笑っていた。


「へへ、こいつ緩い感じが可愛いな♪」

「はい♪伊吹さんみたいでとても可愛いです♡」

「それを言うなら尚輝くんだろ」

「そうですか?俺、ペンギンっぽいですか?」


 キーホルダーを触りながら聞いて来る尚輝くん。
 

「違う違う、性格がだよ。俺よりデカいのに俺の言う事や、やる事にいちいちはしゃいだりしてさ、なんか可愛いなって♪俺、普段年下と遊んだりしないからどうなるかと思ったけど、楽しいもんだな」

「あの、伊吹さん」

「ん?」

「伊吹さんも、水族館楽しんでもらえましたか?」

「うん。楽しかったよ♪尚輝くんのおかげでな」

「そんな、伊吹さんのおかげです。伊吹さんがエスコートしてくれるようになって、本当に心に残る楽しいデートになりました♡ありがとうございました♡」

「ちなみに今日もどっか予約してたりすんの?ほら、先週みたいにホテルとか」

「はい、一応今日はこの近くのレストランを予約してます。フレンチはお好きですか?」

「普段あんま食べねぇから分からん!あのさ、尚輝くんになら言っても平気だと思うから教えるけど、俺高いコース料理より、そこら辺にある居酒屋の焼き鳥とかのが好きなんだよね。ビールもあったら最高♪」


 俺は普段はイメージが崩れるから自分からは言わないようにしてるけど、これ以上堅苦しい高級な店に連れて行かれまいと尚輝くんに打ち明ける事にした。
 尚輝くんなら引いたりしないと思うんだ。
 これでイメージと違いましたとか言われたら、それはそれでサヨナラになるけど。

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