【完結】取り柄は顔が良い事だけです

pino

文字の大きさ
24 / 72
2章 2回戦目

23.究極の2択

しおりを挟む

 俺はこの場の空気を悪くした事と、何より自分の為に、怒るタイガーにしっかり謝る事にした。


「この件に関しては本当に俺が悪かった。ごめんなさい。もう他の客の話は出さないし、連想させないように気を付けるんで許して下さい」

「……いいよ。俺も言い過ぎた、悪かった」

「いやいや、タイガーは悪くないから謝るなよ。あ、ほら飲み直そ?肉寿司美味いな~♪」

「なぁ伊吹、俺お前の事マジなんだよ」

「っ……」


 出た!俺がミスった後に落としに掛かるやつ!
 今ならこいつ強気になれねぇだろって感じで口説いてくる奴いるんだよなぁ。
 タイガーの場合、そんなの関係なく口説いて来るけどな。


「今日の2時間だって、やっと稼いだ金でギリギリ取れた予約なんだ。本当はもっと早く会いたかったし、もっと長い時間一緒にいてぇんだ」

「気持ちは嬉しいよ。でも俺も仕事だからそれに関しては何も言えないよ」

「前に会った時に言ってくれたよな?ちゃんとデートして告ったら付き合ってくれるって、だから俺と付き合ってくれ。そんでこの仕事辞めてくれよ」

「えっとー……そんな事言ったっけ?」

「言った!カラオケん時に約束した!」

「カラオケ……あー!あれはお前が引っ付いて離れなかったから仕方なくっ……ええー!あれ約束した事になんの!?いや、確かにオーケーした気もするけど!!」

「俺ちゃんと約束守ったぞ!ちゃんと会員になって次の予約もしたし、伊吹の好きな居酒屋デートもセッティングした!俺、頑張った!だから俺にご褒美ちょうだい!」


 両手を合わせてお願い!と頼み込んで来るタイガー。
 いやいや、すっかり忘れてたけど、それなら今日の予約受けるんじゃなかったな。
 これは参った。今日は自分のミスが多くてせっかくのビールが美味しく飲めないな。
 
 さてどうする俺?デートの残りの時間はまだ1時間もあるから帰るのは出来ない。
 かと言って付き合うってなってもそれはそれで面倒くせぇ事になりそうだ。付き合う振りして逃げたりしたらタイガーの性格なら店に苦情入れかねない。
 じゃあ潔く冗談でしたって言って見逃してもらう?いやー、それは一番通用しねぇだろうよ。


「ご褒美……」


 タイガーを喜ばせればいいんだよな?
 付き合う以外でご褒美になりそうな事をすりゃ誤魔化せるんじゃね?


「タイガーよ、俺はこの仕事を今すぐ辞める事は出来ないんだ。生活が掛かっているからな。よって他の褒美に変えてもらえないだろうか?」

「うう、生活とか言われちゃうとな~……他のならいいの?」


 お!いけそうだ!
 もうひと押しだな!
 俺は他のタイガーが喜びそうな事を提案してそっちに気を引こうと頑張った。


「いいぜ♪何がいい?手を繋いで歩こうか?あ、それかハグまでならしてやってもいいかな?」

「それなら付き合ってから出来るじゃん」

「…………」

「ホテル行きたい」

「え、ビジホ?」

「ラブホ♡」

「却下!!それはダメだ!!」

「そんじゃ付き合って♡」

「それも、ダメだ……」

「どっちかじゃなきゃやだ!それ以外は認めねぇ」

「ぐっ……頑固者めっ」


 なんて事だっ!
 ホテルとかガッツリ密室じゃねぇか!そんなの行く訳ねぇだろっ!
 かと言って付き合うのも嫌だし……

 うーん、どうすりゃいいんだ。


「伊吹、良く考えてみ?」

「ん?」

「付き合うのはこの先ずっと一緒って事だ」

「はぁ」

「でもホテルなら一回こっきりで終わる。そう考えれば自ずと道は見えるだろ?」

「うーん、確かに……ってなるかよ!!」


 見方によっちゃそうだけど、一回こっきりだったとしてもホテルに行くっつー事はつまりそう言う事だろ!?
 しかも体格差的に絶対俺が掘られる側じゃん!いや、男相手に掘る側もやりたくねぇけど!!
 そんなの絶対やだ!


「そんじゃ甘くしてやるよ。ホテルに行っても手は出さない。膝枕して頭撫でてくれりゃいいよ」

「信用出来るかよ」

「俺は嘘はつかない男だ。約束は守る!」


 ビシッと右手の親指と人差し指と小指を立てて何かのポーズをして俺にアピールしてくるタイガー。その姿はまるでとても仲間想いの、こいつに任せておけばとりあえず安心と思わせるような、大きく偉大な人に見え……

 っる訳ねぇだろ!!
 どっからどう見てもタイガーはチャラ男だ!!
 青い髪して、ピアスやアクセサリーじゃらじゃら付けて、しかも今チラッと見えたけど、ベロにもピアス付いてたぞ!?更に更にチラッと見えたけど、Tシャツの裾から肩にタトゥーみたいなの入ってんの見えたぞ!!
 あーもうとにかくこいつは他にもへんな薬とかやっててもおかしくねぇよ!

 そんぐらい俺からしたら信用出来ない男だった。


しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

人族は一人で生きられないらしい――獣人公爵に拾われ、溺愛されて家族になりました

よっちゃん
BL
人族がほとんど存在しない世界に、 前世の記憶を持ったまま転生した少年・レオン。 獣人が支配する貴族社会。 魔力こそが価値とされ、 「弱い人族」は守られるべき存在として扱われる世界で、 レオンは常識の違いに戸惑いながらも必死に生きようとする。 そんな彼を拾ったのは、 辺境を治める獣人公爵アルト。 寡黙で冷静、しかし一度守ると決めたものは決して手放さない男だった。 溺愛され、守られ、育てられる日々。 だが、レオンはただ守られるだけの存在で終わることを選ばない。 学院での出会い。 貴族社会に潜む差別と陰謀。 そして「番」という、深く重い絆。 レオンは学び、考え、 自分にしかできない魔法理論を武器に、 少しずつ“並び立つ覚悟”を身につけていく。 獣人と人族。 価値観も、立場も、すべてが違う二人が、 それでも選び合い、家族になるまでの物語。 溺愛×成長×異世界BL。 読後に残るのは、 「ここに居場所があっていい」と思える、あたたかな幸福。

ブラック企業の寮で、同期とだけは恋に落ちないと決めていた~同室生活・過労案件・限界メンタル―それでも、唯一の味方が、隣にいる。

中岡 始
BL
「限界社畜、恋に落ちたら終わりだと思ってた――でも、一緒に辞めて起業しました。」 ブラック企業で出会った新卒ふたり。 職場は地獄、寮は同室、心は限界寸前。 “ちゃんとした社会人”を目指す白井と、マイペースに生き延びる藤宮。 恋なんてしない、期待なんてしない――そう思ってたはずなのに、 「お前がいたから、ここまで来られた」 気づけば手を取り、会社を辞め、仲間たちと“理不尽の外側”へと走り出す。 すれ違い、涙、ほうじ茶プリンとキスの夜。 これは、仕事と恋に潰れかけたふたりが、 一緒に人生を立て直していく、再起系BLラブコメディ!

恭介&圭吾シリーズ

芹澤柚衣
BL
高校二年の土屋恭介は、お祓い屋を生業として生活をたてていた。相棒の物の怪犬神と、二歳年下で有能アルバイトの圭吾にフォローしてもらい、どうにか依頼をこなす毎日を送っている。こっそり圭吾に片想いしながら平穏な毎日を過ごしていた恭介だったが、彼には誰にも話せない秘密があった。

【完結】口遊むのはいつもブルージー 〜双子の兄に惚れている後輩から、弟の俺が迫られています〜

星寝むぎ
BL
お気に入りやハートを押してくださって本当にありがとうございます! 心から嬉しいです( ; ; ) ――ただ幸せを願うことが美しい愛なら、これはみっともない恋だ―― “隠しごとありの年下イケメン攻め×双子の兄に劣等感を持つ年上受け” 音楽が好きで、SNSにひっそりと歌ってみた動画を投稿している桃輔。ある日、新入生から唐突な告白を受ける。学校説明会の時に一目惚れされたらしいが、出席した覚えはない。なるほど双子の兄のことか。人違いだと一蹴したが、その新入生・瀬名はめげずに毎日桃輔の元へやってくる。 イタズラ心で兄のことを隠した桃輔は、次第に瀬名と過ごす時間が楽しくなっていく――

過去のやらかしと野営飯

琉斗六
BL
◎あらすじ かつて「指導官ランスロット」は、冒険者見習いだった少年に言った。 「一級になったら、また一緒に冒険しような」 ──その約束を、九年後に本当に果たしに来るやつがいるとは思わなかった。 美形・高スペック・最強格の一級冒険者ユーリイは、かつて教えを受けたランスに執着し、今や完全に「推しのために人生を捧げるモード」突入済み。 それなのに、肝心のランスは四十目前のとほほおっさん。 昔より体力も腰もガタガタで、今は新人指導や野営飯を作る生活に満足していたのに──。 「討伐依頼? サポート指名? 俺、三級なんだが??」 寝床、飯、パンツ、ついでに心まで脱がされる、 執着わんこ攻め × おっさん受けの野営BLファンタジー! ◎その他 この物語は、複数のサイトに投稿されています。

嘘つき王と影の騎士

篠雨
BL
「俺の役割は、貴方を守ることだ。……例え、貴方自身からも」 国の平穏を一身に背負い、十二年間「聖王」という偶像を演じ続けてきたセシル。 酷使し続けた心身はすでに限界を迎え、その命の灯火は今にも消えようとしていた。 そんな折、現れたのは異世界からの「転移者」。 代わりを見つけた国は、用済みとなったセシルからすべてを剥奪し、最果ての地へと追放する。 死を待つためだけに辿り着いた冬の山。 絶望に沈むセシルの前に現れたのは、かつて冷徹に王を監視し続けていた近衛騎士団長、アルヴィスだった。 守るべき王も、守るべき国も失ったはずの二人が過ごす、狭い小屋での夜。 無価値になり、壊れかけた自分を、なぜこの男は、そんな瞳で見つめるのか。 なぜ、そんなにも強く、抱きしめるのか。 これは、すべてを失った「聖王」が、一人の男の熱に暴かれ、再生していくまでの物語。

完結|好きから一番遠いはずだった

七角@書籍化進行中!
BL
大学生の石田陽は、石ころみたいな自分に自信がない。酒の力を借りて恋愛のきっかけをつかもうと意気込む。 しかしサークル歴代最高イケメン・星川叶斗が邪魔してくる。恋愛なんて簡単そうなこの後輩、ずるいし、好きじゃない。 なのにあれこれ世話を焼かれる。いや利用されてるだけだ。恋愛相手として最も遠い後輩に、勘違いしない。 …はずだった。

仮面王子は下僕志願

灰鷹
BL
 父親の顔は知らず、奔放な母のもとで育った渡辺響は、安定した職業に就くために勉強だけはずっと頑張ってきた。その甲斐あって有名進学校に進学できたものの、クラスメイトとは話題も合わず、ボッチキャラとして浮いていた。クラスの中で唯一、委員長の川嶋昴陽だけが響のことを気にかけてくれて、面倒見のよい彼に秘かに恋心を抱いていた。しかし、修学旅行の最終日に川嶋が隣で寝ていた朝倉にキスしようとしているところを目撃し、反射的にそれを写真に収めてしまう。写真を消せと川嶋に詰め寄られるが、怒りをあらわにした彼の態度に反発し――。女子から「王子」と呼ばれる人気者優等生×寂しさを抱えるボッチな茶髪男子、の失恋から始まるハートフル青春BL。   ※ アルファポリス様で開催されている『青春BLカップ』コンテストに応募しています。今回は投票制ではないですが、閲覧ポイントでランキングが変わるそうなので、完結後にまとめてではなくリアルタイムでお読みいただけると、めちゃくちゃ励みになります。 ※ 視点は攻め受け両方で章ごとに変わります。完結した作品に加筆してコンテスト期間中の完結を目指します。不定期更新。

処理中です...