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2章 2回戦目
23.究極の2択
しおりを挟む俺はこの場の空気を悪くした事と、何より自分の為に、怒るタイガーにしっかり謝る事にした。
「この件に関しては本当に俺が悪かった。ごめんなさい。もう他の客の話は出さないし、連想させないように気を付けるんで許して下さい」
「……いいよ。俺も言い過ぎた、悪かった」
「いやいや、タイガーは悪くないから謝るなよ。あ、ほら飲み直そ?肉寿司美味いな~♪」
「なぁ伊吹、俺お前の事マジなんだよ」
「っ……」
出た!俺がミスった後に落としに掛かるやつ!
今ならこいつ強気になれねぇだろって感じで口説いてくる奴いるんだよなぁ。
タイガーの場合、そんなの関係なく口説いて来るけどな。
「今日の2時間だって、やっと稼いだ金でギリギリ取れた予約なんだ。本当はもっと早く会いたかったし、もっと長い時間一緒にいてぇんだ」
「気持ちは嬉しいよ。でも俺も仕事だからそれに関しては何も言えないよ」
「前に会った時に言ってくれたよな?ちゃんとデートして告ったら付き合ってくれるって、だから俺と付き合ってくれ。そんでこの仕事辞めてくれよ」
「えっとー……そんな事言ったっけ?」
「言った!カラオケん時に約束した!」
「カラオケ……あー!あれはお前が引っ付いて離れなかったから仕方なくっ……ええー!あれ約束した事になんの!?いや、確かにオーケーした気もするけど!!」
「俺ちゃんと約束守ったぞ!ちゃんと会員になって次の予約もしたし、伊吹の好きな居酒屋デートもセッティングした!俺、頑張った!だから俺にご褒美ちょうだい!」
両手を合わせてお願い!と頼み込んで来るタイガー。
いやいや、すっかり忘れてたけど、それなら今日の予約受けるんじゃなかったな。
これは参った。今日は自分のミスが多くてせっかくのビールが美味しく飲めないな。
さてどうする俺?デートの残りの時間はまだ1時間もあるから帰るのは出来ない。
かと言って付き合うってなってもそれはそれで面倒くせぇ事になりそうだ。付き合う振りして逃げたりしたらタイガーの性格なら店に苦情入れかねない。
じゃあ潔く冗談でしたって言って見逃してもらう?いやー、それは一番通用しねぇだろうよ。
「ご褒美……」
タイガーを喜ばせればいいんだよな?
付き合う以外でご褒美になりそうな事をすりゃ誤魔化せるんじゃね?
「タイガーよ、俺はこの仕事を今すぐ辞める事は出来ないんだ。生活が掛かっているからな。よって他の褒美に変えてもらえないだろうか?」
「うう、生活とか言われちゃうとな~……他のならいいの?」
お!いけそうだ!
もうひと押しだな!
俺は他のタイガーが喜びそうな事を提案してそっちに気を引こうと頑張った。
「いいぜ♪何がいい?手を繋いで歩こうか?あ、それかハグまでならしてやってもいいかな?」
「それなら付き合ってから出来るじゃん」
「…………」
「ホテル行きたい」
「え、ビジホ?」
「ラブホ♡」
「却下!!それはダメだ!!」
「そんじゃ付き合って♡」
「それも、ダメだ……」
「どっちかじゃなきゃやだ!それ以外は認めねぇ」
「ぐっ……頑固者めっ」
なんて事だっ!
ホテルとかガッツリ密室じゃねぇか!そんなの行く訳ねぇだろっ!
かと言って付き合うのも嫌だし……
うーん、どうすりゃいいんだ。
「伊吹、良く考えてみ?」
「ん?」
「付き合うのはこの先ずっと一緒って事だ」
「はぁ」
「でもホテルなら一回こっきりで終わる。そう考えれば自ずと道は見えるだろ?」
「うーん、確かに……ってなるかよ!!」
見方によっちゃそうだけど、一回こっきりだったとしてもホテルに行くっつー事はつまりそう言う事だろ!?
しかも体格差的に絶対俺が掘られる側じゃん!いや、男相手に掘る側もやりたくねぇけど!!
そんなの絶対やだ!
「そんじゃ甘くしてやるよ。ホテルに行っても手は出さない。膝枕して頭撫でてくれりゃいいよ」
「信用出来るかよ」
「俺は嘘はつかない男だ。約束は守る!」
ビシッと右手の親指と人差し指と小指を立てて何かのポーズをして俺にアピールしてくるタイガー。その姿はまるでとても仲間想いの、こいつに任せておけばとりあえず安心と思わせるような、大きく偉大な人に見え……
っる訳ねぇだろ!!
どっからどう見てもタイガーはチャラ男だ!!
青い髪して、ピアスやアクセサリーじゃらじゃら付けて、しかも今チラッと見えたけど、ベロにもピアス付いてたぞ!?更に更にチラッと見えたけど、Tシャツの裾から肩にタトゥーみたいなの入ってんの見えたぞ!!
あーもうとにかくこいつは他にもへんな薬とかやっててもおかしくねぇよ!
そんぐらい俺からしたら信用出来ない男だった。
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