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3章 引退を考える今日この頃
32.分かりにくいヤキモチ
しおりを挟む土曜日のランチはどこも混んでいて、大抵の店は待ち時間があった。
俺達は雰囲気の良さそうなイタリアンの店に入り、順番待ちをしていた。同じく順番待ちをしていた若い女の子2人組と目が合い、ニコッと笑い掛けるとキャーと黄色い声で騒がれた。
「伊吹さんモテますね」
「そう?尚輝くん見て騒いでるんじゃない?」
「絶対伊吹さん目当てでしょう」
おじさんでもそう言われると嬉しいもんだ。
俺もまだイケるって事だろ?
ちょっと気分良くしてると、尚輝くんは面白くなさそうな顔をした。
「何不貞腐れてんの。年齢教えたら絶対尚輝くんのがモテるんだから気にすんなって」
「年齢なんて関係ありませんよ。むしろ女の子は同世代よりも年上の方が好きなのでは?それと、俺が不貞腐れてるのは伊吹さんが女の子にチヤホヤされてるからですっ」
「別にチヤホヤなんてされて……あ」
そっか、尚輝くんはゲイだった。
女にモテたい訳じゃないんだよな。きっと、恋愛対象の俺が他の女の子達と仲良くしてるのが気に入らないんだ。
え、待って?それって何か可愛いくね?
「尚輝くんて分かりにくいヤキモチ妬くよな♪」
「っ!」
「素直に俺だけを見ろーって言えばいいのに♪なんか可愛い~♪」
「そんなっ!そんな強要するような事言えませんよっ……」
「尚輝くんは優しいよな。いつも俺の事考えてくれてるって良く分かる♪ありがと♪」
「伊吹さん♡決めました!オプションにします!」
「おお!いきなり決めたな!いいぜ♪どのオプション?」
俺がオプションしてやるなんて無いからな~。絶対他の客にはさせねぇよ。尚輝くんが良い子で太客だから本当に特別だ。
って自分の遅刻は棚に上げてみた♡
「添い寝にします♡」
「おっ!高いの選んだな~」
「ずっと伊吹さんにしてもらいたいなって思ってたんです♡もし伊吹さんが添い寝のオプションを有りにしてたら毎回付けてました!」
「はは、お前金使い過ぎ~。まぁ今日はタダだけどな」
このオプションは大分危険だからOKにしてる子はあまりいない。初めから売りをしてる子とかぐらいじゃん?
そもそも添い寝なんて行為は人前じゃ出来ない。2人きりになる必要があるからホテルやネットカフェなんかに行かないと出来ないだろう。
その分高級な金額になってるから稼ぎたい子には添い寝するだけでいいんだからもってこいのオプションだ。
「添い寝か~、でもどこでするか……あー!!」
「どうしました?」
俺は場所に悩んでると、ある事に気付いた!
タイガーだよ!あいつとホテルで寝ちまったけど、あれって添い寝だよな!?
まぁ寝ちまった俺が悪いんだけど、思い出したら腹立たしいな!
って感じであらかじめリクエストが無くても、無意識に自分からオプションをサービスしてしまう事もあったりする。
悔しいけど、今回は俺の負けだ。てかあいつに払えるとは思えないしな!
「伊吹さん?やっぱり添い寝はダメですか?」
俺が昨日の失敗を思い出して1人でモヤモヤしてると、何も知らない尚輝くんが心配そうに顔を覗き込んで来た。
やべ、デート中に他の客の事考えるとか最低じゃん。
こっからは尚輝くんに集中しよっと。
「ダメじゃないよ♪場所どこがいっかなぁって考えてたんだよ」
「ホテル、行きます?あ!怪しいホテルじゃなくて、初めてのデートで行ったようなホテルですよ!」
「怪しいホテルってどんなホテル~?」
「それはっ……伊吹さん、分かってて意地悪してます?」
「知らなーい♪」
恥ずかしがる尚輝くんをからかうのが面白くてワザと茶化すような事を言ってみると、尚輝くんも照れながら笑った。
あ、何か良い感じだな。
とても仲良くて、お互い楽しめてるような。
そう、昨日のタイガーの時とは全然違う……
って何また他の客の事考えてんだー!
いや、タイガーのキャラが濃すぎるんだよっ!
俺が悪いんじゃないんだよっ!
マジであいつの存在感半端ないんだよっ!
チャラいくせにちょいちょい硬派な事言ったり、口説いてたかと思ったら俺の嫌がる事はしないとか言ったり。結局やってるんだけどな!
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