【完結】取り柄は顔が良い事だけです

pino

文字の大きさ
33 / 72
3章 引退を考える今日この頃

32.分かりにくいヤキモチ

しおりを挟む

 土曜日のランチはどこも混んでいて、大抵の店は待ち時間があった。
 俺達は雰囲気の良さそうなイタリアンの店に入り、順番待ちをしていた。同じく順番待ちをしていた若い女の子2人組と目が合い、ニコッと笑い掛けるとキャーと黄色い声で騒がれた。


「伊吹さんモテますね」

「そう?尚輝くん見て騒いでるんじゃない?」

「絶対伊吹さん目当てでしょう」


 おじさんでもそう言われると嬉しいもんだ。
 俺もまだイケるって事だろ?
 ちょっと気分良くしてると、尚輝くんは面白くなさそうな顔をした。


「何不貞腐れてんの。年齢教えたら絶対尚輝くんのがモテるんだから気にすんなって」

「年齢なんて関係ありませんよ。むしろ女の子は同世代よりも年上の方が好きなのでは?それと、俺が不貞腐れてるのは伊吹さんが女の子にチヤホヤされてるからですっ」

「別にチヤホヤなんてされて……あ」


 そっか、尚輝くんはゲイだった。
 女にモテたい訳じゃないんだよな。きっと、恋愛対象の俺が他の女の子達と仲良くしてるのが気に入らないんだ。

 え、待って?それって何か可愛いくね?


「尚輝くんて分かりにくいヤキモチ妬くよな♪」

「っ!」

「素直に俺だけを見ろーって言えばいいのに♪なんか可愛い~♪」

「そんなっ!そんな強要するような事言えませんよっ……」

「尚輝くんは優しいよな。いつも俺の事考えてくれてるって良く分かる♪ありがと♪」

「伊吹さん♡決めました!オプションにします!」

「おお!いきなり決めたな!いいぜ♪どのオプション?」


 俺がオプションしてやるなんて無いからな~。絶対他の客にはさせねぇよ。尚輝くんが良い子で太客だから本当に特別だ。
 って自分の遅刻は棚に上げてみた♡


「添い寝にします♡」

「おっ!高いの選んだな~」

「ずっと伊吹さんにしてもらいたいなって思ってたんです♡もし伊吹さんが添い寝のオプションを有りにしてたら毎回付けてました!」

「はは、お前金使い過ぎ~。まぁ今日はタダだけどな」


 このオプションは大分危険だからOKにしてる子はあまりいない。初めから売りをしてる子とかぐらいじゃん?
 そもそも添い寝なんて行為は人前じゃ出来ない。2人きりになる必要があるからホテルやネットカフェなんかに行かないと出来ないだろう。
 その分高級な金額になってるから稼ぎたい子には添い寝するだけでいいんだからもってこいのオプションだ。

 
「添い寝か~、でもどこでするか……あー!!」

「どうしました?」


 俺は場所に悩んでると、ある事に気付いた!
 タイガーだよ!あいつとホテルで寝ちまったけど、あれって添い寝だよな!?
 まぁ寝ちまった俺が悪いんだけど、思い出したら腹立たしいな!
 って感じであらかじめリクエストが無くても、無意識に自分からオプションをサービスしてしまう事もあったりする。
 悔しいけど、今回は俺の負けだ。てかあいつに払えるとは思えないしな!


「伊吹さん?やっぱり添い寝はダメですか?」


 俺が昨日の失敗を思い出して1人でモヤモヤしてると、何も知らない尚輝くんが心配そうに顔を覗き込んで来た。
 やべ、デート中に他の客の事考えるとか最低じゃん。

 こっからは尚輝くんに集中しよっと。


「ダメじゃないよ♪場所どこがいっかなぁって考えてたんだよ」

「ホテル、行きます?あ!怪しいホテルじゃなくて、初めてのデートで行ったようなホテルですよ!」

「怪しいホテルってどんなホテル~?」

「それはっ……伊吹さん、分かってて意地悪してます?」

「知らなーい♪」


 恥ずかしがる尚輝くんをからかうのが面白くてワザと茶化すような事を言ってみると、尚輝くんも照れながら笑った。
 あ、何か良い感じだな。
 とても仲良くて、お互い楽しめてるような。
 そう、昨日のタイガーの時とは全然違う……

 って何また他の客の事考えてんだー!
 いや、タイガーのキャラが濃すぎるんだよっ!
 俺が悪いんじゃないんだよっ!
 マジであいつの存在感半端ないんだよっ!
 チャラいくせにちょいちょい硬派な事言ったり、口説いてたかと思ったら俺の嫌がる事はしないとか言ったり。結局やってるんだけどな!

 
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

僕たち、結婚することになりました

リリーブルー
BL
俺は、なぜか知らないが、会社の後輩(♂)と結婚することになった! 後輩はモテモテな25歳。 俺は37歳。 笑えるBL。ラブコメディ💛 fujossyの結婚テーマコンテスト応募作です。

【完結】俺とあの人の青い春

月城雪華
BL
 高校一年の夏、龍冴(りょうが)は二つ上の先輩である椰一(やいち)と付き合った。  けれど、告白してくれたにしては制限があまりに多過ぎると思っていた。  ぼんやりとした不信感を抱いていたある日、見知らぬ相手と椰一がキスをしている場面を目撃してしまう。  けれど友人らと話しているうちに、心のどこかで『椰一はずっと前から裏切っていた』と理解していた。  それでも悲しさで熱い雫が溢れてきて、ひと気のない物陰に座り込んで泣いていると、ふと目の前に影が差す。 「大丈夫か?」  涙に濡れた瞳で見上げると、月曜日の朝──その数日前にも件の二人を見掛け、書籍を落としたのだがわざわざ教室まで届けてくれたのだ──にも会った、一学年上の大和(やまと)という男だった。

【完結】魔王の腹心と厄介な男!

花より団子よりもお茶が好き。(応募用)
BL
【これだから……これだから嫌いなんですよ……!】  魔王の腹心であるシュケルは、魔王のもっとも信頼のおける部下だ。  ある日の朝、魔族領に異変を感じとった魔王の命で、シュケルは姿を消した。  だがそれから一月(ひとつき)近く及んでもシュケルは帰って来ない。  それに疑念を抱いた魔王のもう一人の腹心、カボチャが痺れを切らし城の回廊を歩いていると、魔王の恋人カイン(人間)がシュケルを探してやって来た。  二人で姿の見えないシュケルを心配していると、突如として城の壁が破壊され「ワタシの名はマハル。シュケルの〝夫〟になる男」などとのたまう変態、もとい青年が現れる。  彼は風の力を操り一度は帰って来たシュケルをあっという間に拐ってしまい――。 「なんて厄介な奴なんだ!」 〝初恋〟という名の思い込みと執着が物語とカボチャの心をかき乱す。  だけど一番厄介なのは――結局は〝あの男〟。  異界のストーカー王子VS魔王の腹心カボチャ  腹心×腹心(シュケル×カボチャ)  ライトBLラブコメファンタジー。  果たしてカボチャは、シュケルを取り戻すことが出来るのか。 *―*―*―*―*―*―*―*―*―*―*―* ■特別編:魔王とカインの紙ひこうき!~少年と物語のはじまり~ 【それってつまり、セオドアは神様から俺への贈り物ってことだな!】  これは本編から「十年前」のお話。  カインという少年が勇者になると宣言し魔王城を目指していた。  ここまでは普通の話である。だが少年と魔王はなんと紙ひこうきで文通をする仲なのだ。  おまけに魔王は国際会議中だから相手出来ないと断って来て――?  そもそもカインは本当に魔王を倒すつもりがあるのか?カインの本当の目的とは?  カボチャは相変わらず怒っていて、シュケルは相変わらず静かに微笑み、魔王も相変わらず絶妙にそこにいます。 ■番外編:Happy Birthday to You 【……俺、寂しくなんかなかったんだ】  突然現れたカインの旧友ユメハ。 彼女は別世界と別世界を行き来する妖精だ。   そんな、彼女がなぜカインの前に現れたかというと……なんと、彼女は大事な大事な誕生日プレゼントを三つ、この世界に落としてしまったのだ。  ことのしだいを知ったカインはカボチャとシュケルと城の皆を巻き込んで、プレゼントを探すのだが……。

ブラック企業の寮で、同期とだけは恋に落ちないと決めていた~同室生活・過労案件・限界メンタル―それでも、唯一の味方が、隣にいる。

中岡 始
BL
「限界社畜、恋に落ちたら終わりだと思ってた――でも、一緒に辞めて起業しました。」 ブラック企業で出会った新卒ふたり。 職場は地獄、寮は同室、心は限界寸前。 “ちゃんとした社会人”を目指す白井と、マイペースに生き延びる藤宮。 恋なんてしない、期待なんてしない――そう思ってたはずなのに、 「お前がいたから、ここまで来られた」 気づけば手を取り、会社を辞め、仲間たちと“理不尽の外側”へと走り出す。 すれ違い、涙、ほうじ茶プリンとキスの夜。 これは、仕事と恋に潰れかけたふたりが、 一緒に人生を立て直していく、再起系BLラブコメディ!

【完結】口遊むのはいつもブルージー 〜双子の兄に惚れている後輩から、弟の俺が迫られています〜

星寝むぎ
BL
お気に入りやハートを押してくださって本当にありがとうございます! 心から嬉しいです( ; ; ) ――ただ幸せを願うことが美しい愛なら、これはみっともない恋だ―― “隠しごとありの年下イケメン攻め×双子の兄に劣等感を持つ年上受け” 音楽が好きで、SNSにひっそりと歌ってみた動画を投稿している桃輔。ある日、新入生から唐突な告白を受ける。学校説明会の時に一目惚れされたらしいが、出席した覚えはない。なるほど双子の兄のことか。人違いだと一蹴したが、その新入生・瀬名はめげずに毎日桃輔の元へやってくる。 イタズラ心で兄のことを隠した桃輔は、次第に瀬名と過ごす時間が楽しくなっていく――

恭介&圭吾シリーズ

芹澤柚衣
BL
高校二年の土屋恭介は、お祓い屋を生業として生活をたてていた。相棒の物の怪犬神と、二歳年下で有能アルバイトの圭吾にフォローしてもらい、どうにか依頼をこなす毎日を送っている。こっそり圭吾に片想いしながら平穏な毎日を過ごしていた恭介だったが、彼には誰にも話せない秘密があった。

過去のやらかしと野営飯

琉斗六
BL
◎あらすじ かつて「指導官ランスロット」は、冒険者見習いだった少年に言った。 「一級になったら、また一緒に冒険しような」 ──その約束を、九年後に本当に果たしに来るやつがいるとは思わなかった。 美形・高スペック・最強格の一級冒険者ユーリイは、かつて教えを受けたランスに執着し、今や完全に「推しのために人生を捧げるモード」突入済み。 それなのに、肝心のランスは四十目前のとほほおっさん。 昔より体力も腰もガタガタで、今は新人指導や野営飯を作る生活に満足していたのに──。 「討伐依頼? サポート指名? 俺、三級なんだが??」 寝床、飯、パンツ、ついでに心まで脱がされる、 執着わんこ攻め × おっさん受けの野営BLファンタジー! ◎その他 この物語は、複数のサイトに投稿されています。

隣の席のイケメンに懐かれた

しょうがやき
BL
隣の席のイケメンに懐かれた平凡男子の話

処理中です...