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3章 引退を考える今日この頃
44.俺の良い所は
しおりを挟む追加で頼んだビールには手を付けずに、俺は肉を焼きブスくれてるルナの取り皿に乗せてあげていた。
「ほらルナの好きな特上カルビだぞ~♪好きなだけ食べていいんだぞ~?」
いやいや、何で俺がルナの機嫌取りみてぇな事してんだ?
おかしくね?
ただ俺は客であるタイガーにバレるのと、ルナにタイガーの存在がバレるのが嫌だっただけなのに!
いつまでもムスッとしてるルナの事は放っておく事にして、特上カルビは自分の口に運んだ。
「あいつか、土曜の男は」
「ちげぇよ!確かにあいつは客だけど、あいつがそんな金持ってるように見えるかよ!」
「見えないけど、明らか伊吹変だったじゃん。まるで俺に隠したいみたいな」
「ルナに隠したかったのは俺の客だからだ。俺は客の事は周りに話さない主義なの。でもお前は根掘り葉掘り聞こうとするだろ?それが面倒だっただけ」
「ふーん、本当に土曜の男じゃないんだ?」
「だからそう言ってるだろ」
「それならいーや♪伊吹、カルビ焼いて~♪」
俺がちゃんと説明すると、ニコッと笑って甘え出した。
くそ、何で俺がっ!
でも機嫌悪くされる方が面倒だし、ビールが不味くなるからこっちのがマシか。
にしてもタイガーの奴、まともなバイト探したんだな。
ちょっと見直したわ。俺はあいつに取り立てしなきゃならねぇからな。
「さっきの子にかなり気に入られてるみたいじゃん?彼いくつなんだ?」
「人の話聞いてっか?客の話はしたくねぇんだよ」
「年齢ぐらいいいじゃん、それともやっぱり土曜の男だから話せないの?」
鋭い吊り目が俺を突き刺す。
ああ面倒くせぇ!!
「20歳だよ!あいつが嘘言ってなければな!」
「また20歳!?伊吹すげぇじゃん♪実は年下キラーだったのか?」
「正直ここまで懐いてくれてんのはあいつと土曜の男だけだよ。何で好かれてるのかは俺も不思議~」
「そりゃ顔だろ」
「うっ……まぁそれぐらいしか心当たりはないけど」
「伊吹は本当顔良いもんな~。ほら若いとさ、勘違いで恋しちゃう事ってあるじゃん?きゃー♡あの先輩かっこいー♡って、良く知りもしない男を必死で追いかける女子いるだろ?そんで初めは言うのよ、イケメンならどんなに性格悪くても好き♡ってね、結局その先輩に相手にされなかったり、他に恋人が出来たら文句言うんだ。やっぱりかっこよくなかった!騙された!そんな感じじゃん?あの子も土曜の子も」
「俺ディスられてんのか?」
「ん?ああ、それは置いといて~、騙されんなって言いたいんだ!特に土曜の方!伊吹も顔目当てとか嫌だろ?」
「でも俺、取り柄顔しかねぇもん」
自分で言ってて虚しくなって来たわ。
俺は自分でも誇れるのはこの顔だけだと思っている。勉強も運動も人付き合いも全て並以下だった。
こんな残念な俺は何とか入れた大学もろくに行かずに中途半端に辞めちゃったし、結局不安定なバイトに縋って生きている。
俺だって他にも誇れるもん欲しかったよ。
顔以外の何かがさ。
「そんなしょげんなって~、今日は俺が朝まで慰めてやるからよ~」
「いらね。ルナとは焼肉食ったらサヨナラだ」
「それなら今慰めてやるよ。俺は伊吹の事、顔以外も好きだぜ」
「ほう、それなら教えてもらおうか!俺の良いところ!」
「顔に似合わず意外と男らしい所♡」
「うーん、他!」
「何だかんだ俺といてくれる所♡」
「他!」
「一緒にいて元気もらえる所♡」
「……それは嬉しい!」
俺が素直に喜ぶと、ルナは優しく笑った。
ルナに褒められた!あの毒舌クソギツネに褒められた!
「あ、やっと笑った~♪」
「う、嘘なのか!?からかってんなら許さないぞ!」
「本当だって~、もー酔ってる伊吹可愛い~♡」
「酔ってねぇし!あ、でも少し気分良いかも♪」
今日は昼間から飲んでたからな。
夜もこうして美味しい飯食ってビールが飲めて幸せだぁ♪
少しブルーになったけど、それは酒のせいにしてもう一杯飲んじゃおっかなぁなんて?
ハッ!ブルーで思い出したけど、ここにはブルータイガーがいるんだ!
酔ってる場合じゃねぇわ!
あいつなら絶対また絡んで来るだろ!
さっさと食って帰らなきゃ!
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