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4章 まさかの目覚め!?
68.真面目な君へ
しおりを挟む俺と尚輝くんはタイガーの汚部屋から脱出して、二人並んで歩いていた。平日の昼間、店を通さずに尚輝くんといるのは初めてだから変な感じだった。
それにしてもさっきのタイガーはなんだったんだ?急に態度が変わって、まるでおもちゃに飽きた子供みたいに、俺達を解放したな。
あいつ二重人格とか?
なんにせよ、俺はあの汚い部屋から出られた事が何よりも嬉しくて、ホッとしていた。
だけど尚輝くんはそう言う訳にはいかないようで、浮かない顔をしているようだ。
あんな奴でも友達だからか、タイガーの態度を気にしてるんだろうな。
それよりも尚輝くんの誤解を解かないとだな。
「尚輝くん、学校ってどの辺?ここから近いの?」
「歩いてすぐです。この道を真っ直ぐ行って右に曲がれば見えて来ます」
「そうなんだ。そこまで一緒に歩いてもいい?」
「はい。勿論です」
俺が聞くとニコッと笑ってたけど、やっぱり少し元気が無い。
励ましてあげたいけど相手はあのタイガーだしなぁ。むしろもう関わるなって言いたいぐらいなんだけどなぁ。
「まずさ、俺がタイガーんちに行った理由だけど、ただ貸した金を取りに行っただけなんだ。個人的に遊んでるとかじゃないんだ」
「……そうだったんですね」
「尚輝くんはタイガーの事が好き?」
「はい、好きです。でもあんな大我くんは初めて見ました。俺、怒らせちゃいましたかね?」
「尚輝くんが怒らせたんじゃないだろ。あいつが変わってるだけだって。気にする事ないよ」
「あの、伊吹さん、さっきは酷い事して本当にごめんなさい。とても怖かったですよね」
「もー気にすんなって♪結局尚輝くんが助けてくれたんだし、元気出してよ~」
ずっと元気の無いままの尚輝くんを励まそうと試みるけど、困ったように笑うだけ。
これじゃ俺の気持ち伝えるにも伝えられないじゃん。
仕方ない。今は尚輝くんの元気が出るのを待つか~。
「尚輝くんはただタイガーに言われたから言う事聞いてただけだろ。逆らったらあいつうるさそうだし、でも俺の事も大切だから助けてくれた。嬉しかったよ。ありがとう」
「俺は、やっぱり伊吹さんが嫌がる状態であんな事はしたくないと思いました。ちゃんと俺の事を好きになってもらってからがいいって。だから、出来ませんでした」
もう好きだけどね。
俺の気持ちに気付いてない尚輝くんが何だか微笑ましくてそのまま聞いていた。
きっと尚輝くんは真面目過ぎるんだな。だからこそ、本気で俺と向き合うし、タイガーとも本気で向き合うんだ。
何事にも真面目だから、慎重になり過ぎて後で思うようにいかなかったと相手じゃなくて自分を責めるんだろうな。
こんな時タイガーのポジティブさがあればちょうど良いとか思ってしまった。
二人を足して2で割る。なかなかいい性格になりそうだな。
「いいと思うよ。俺はそのままの尚輝くんが好き。だから笑ってよ」
「伊吹さん」
「俺よりもタイガーとの友情のがいいってんなら笑わなくて良し!」
「そんな……ふふ、伊吹さんはやっぱり凄いなぁ♡」
「おっ♪笑ったって事は俺の勝ち?へへ♪嬉しい♡」
尚輝くんが笑ったから俺もつられて笑った。
二人で笑い合って、何だか良い雰囲気じゃね?
凄く暖かくて何もしてなくても楽しくなれるそんな感じ。
好きな人と笑い合えるってこんな気持ちなんだな。
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