14 / 178
1章 写真ばら撒き事件
やっぱ明日迎えに来て
しおりを挟む空とのセックスの後、空に体を綺麗に拭いてもらって、お互い裸のままベッドにゴロゴロしていた。
空が髪切ったからセックスの時邪魔じゃなくなったなー。今日は座ってヤったからあまり気にならなかったけど、正常位の時は俺の顔にツンツンしてて邪魔だったもんな。
仰向けになってそんな事を考えてると空が戯れて来た。
「貴哉ぁ♡だぁいすき♡」
「…………」
「貴哉?」
「お前辛くねぇの?」
「なんで?」
「俺にあんな事された上に別れたのにこんな事までしちゃってさ、良く好き好き言えるなぁって」
「貴哉を失うぐらいなら我慢出来る事が分かったからな」
「失ってんじゃん」
「なぁ、それさぁ……もういいんじゃね?俺達が別れたの知ってる人いないんだろ?今日何も聞かれなかったし」
「なにがいいんだ。面倒くせーからやだ」
せめて今回の写真の件が落ち着くまでは誰とも付き合う気は起きなかった。
「面倒くさい事言ったりやったりしないからさぁ。また付き合おうって」
「もういい加減な事言ってお前を傷付けたくねぇんだよ」
「気持ちは嬉しいけど……実を言うとな、昨日会うまで俺貴哉の事スルーしてたじゃん?迷ってたんだよ。手放すかどうか。でも、桐原さんからあんなメッセージ来てそんなの吹っ飛んだ。やっぱり貴哉を手放すなんて出来ねぇよ。傷付いたっていいんだ。貴哉が俺といてくれれば」
「……お前とは一緒にいるよ。俺もお前の事手放したくねぇもん」
「それなら付き合おう♡」
「空の事が大事だから、中途半端なまま付き合いたくねぇんだ。お前頭良いんだからさっさと理解しろよ」
「やだやだやだ!貴哉の彼氏になるー!」
「すっかり元のお前だな!でも、この方がお前らしくていいや」
駄々をこねる空がおかしくて、懐かしくて笑うと、空も笑った。
俺達は出会った時から言い合っていた。
まだ「早川」だった頃、俺に対してやたら挑発的な態度だったのを覚えてる。
俺はこんな性格だから対抗してたんだけど、それがいつの間にかお互い好きになって、付き合ってて、セックスまでして。
本当にどうなるかなんて分からないもんだな。
「あー!なぁ貴哉!」
「うるせぇな!大きな声出すんじゃねぇよ!」
「あの絵の横にあるのってさ!」
「あ?んだそりゃ?」
空が何かに気付いて嬉しそうに言ってるのを見ると、空が描いた絵の横に最近部屋で拾ったダークブルー色の石のキーホルダーがあった。歩いてたら踏んで痛くて捨てようと思ったけど、コレの事を思い出して画鋲に刺して飾っといたんだ。
確かあれはお守りらしいけど、俺のはなんだっけ?
「ああ、アレな。お前と直登が買って来たやつ」
「貴哉まだ持ってたんだな!てっきり失くしたのかと思ってたぜ!」
「そ、そんな事するかよっお前と直登がせっかく四人でお揃いって言って買ってくれたのにっ」
一瞬捨てようとはしたけどな。コレは秘密だ。
そう、大分前に喧嘩した空と直登が俺の機嫌を取るんで慌てて買って来た物だ。俺と空と直登、そしてなんと戸塚とまで色違いのお揃いだ。
「俺は自転車の鍵に付いてるぜ♪あれ効果あるよな!俺の金運アップだけど、兄貴の店手伝ったらお小遣いくれたし、貴哉は一万取って来たし!それに、中西の恋愛運も数馬と付き合ったりで、上手くいってるだろ?戸塚も最近笑うし、夏休み中にお泊まり会参加するし、コミュ力付けて来てんじゃん」
「え、そうなのか?俺のってなんだっけ?」
「勉強運アップだろ?」
「……ちょっと待て。俺だけ効果出てなくね?期末全部赤だったぞ」
「おかしいなぁ?間違えて買ったのかなぁ?」
「はぁ?適当に選びやがったな!今度はちゃんと買って来いよなぁ」
「分かった!今度はデカいやつにしよう!」
「辞めろ!邪魔になるだけだ!あれぐらいのサイズでいい!」
「それならさ、今度一緒に買いに行こうよ♡ね♡」
「そうだな。自分で選んだ方が早いな」
「わーい♡貴哉とデート~♡」
「デートって言うな!付き合ってるみてぇだろ!ん?付き合ってると言えば、直登と数馬って付き合ってるのか?」
「え、付き合ってねぇの?」
「俺何も聞いてねぇけど」
「お互い好き合ってるし、付き合ってるようなもんだろ。俺達みたいだな♡」
「全然ちげぇだろ」
いつものノリで会話をしてると、空が服を着だした。なんだ、もう帰るのか……
服を着て髪を気にしてる空を見てると、俺に気付いてニコッと笑った。
「なんだぁ?貴哉ってばそんな見つめちゃって♡良い男だなぁって思ってたのかぁ?」
「うん」
「ありゃ、素直じゃん」
「空は普通にかっこいいと思うぜ。だから女にモテるんだろうし」
「女に言われてもなんとも思わねぇけど、貴哉に言われるとちょー嬉しい♡」
「……気を付けて帰れよ」
「おう。また明日学校でな」
「…………」
「貴哉?」
「なに?」
「いや、元気なくね?」
裸のままベッドに寝転がる俺をゆする空。
空が帰っちゃうのが寂しい。そんなの言える訳ねぇだろ。黙ってると空に仰向けに起こされて、キスをされた。
俺は目を開けたままキスを受けてた。
空の匂いがしてキュンとした……
あ、やべ。なんか泣きそう……
離れていく空は俺を見て困ったように笑った。
「そんな顔するなよ。帰りづらいじゃん」
「空ぁ、俺……」
「うん。どした?」
優しい空の声に俺は涙を流した。
何で泣いてるのかは自分でも分からない。
空が帰っちゃうのが寂しいから?
今日写真ばら撒かれたから?
明日会議室に呼び出されるから?
もう全部がごちゃごちゃしてて本当訳分からねぇ。
「やっぱ明日迎えに来て……」
「うん♡喜んで♡」
嬉しそうに笑う空に俺はホッとした。
ただ今は一人になりたくなかった。
空に甘えるのは間違ってると思うけど、今側にいて欲しいのは空だから。
最後に俺からキスをして、部屋から出て行く空を見送った。
10
あなたにおすすめの小説
平凡なぼくが男子校でイケメンたちに囲まれています
七瀬
BL
あらすじ
春の空の下、名門私立蒼嶺(そうれい)学園に入学した柊凛音(ひいらぎ りおん)。全寮制男子校という新しい環境で、彼の無自覚な美しさと天然な魅力が、周囲の男たちを次々と虜にしていく——。
政治家や実業家の子息が通う格式高い学園で、凛音は完璧な兄・蒼真(そうま)への憧れを胸に、新たな青春を歩み始める。しかし、彼の純粋で愛らしい存在は、学園の秩序を静かに揺るがしていく。
****
初投稿なので優しい目で見守ってくださると助かります‼️ご指摘などございましたら、気軽にコメントよろしくお願いしますm(_ _)m
王道学園の冷徹生徒会長、裏の顔がバレて総受けルート突入しちゃいました!え?逃げ場無しですか?
名無しのナナ氏
BL
王道学園に入学して1ヶ月でトップに君臨した冷徹生徒会長、有栖川 誠(ありすがわ まこと)。常に冷静で無表情、そして無言の誠を生徒達からは尊敬の眼差しで見られていた。
そんな彼のもう1つの姿は… どの企業にも属さないにも関わらず、VTuber界で人気を博した個人VTuber〈〈 アイリス 〉〉!? 本性は寂しがり屋の泣き虫。色々あって周りから誤解されまくってしまった結果アイリスとして素を出していた。そんなある日、生徒会の仕事を1人で黙々とやっている内に疲れてしまい__________
※
・非王道気味
・固定カプ予定は未定
・悲しい過去🐜のたまにシリアス
・話の流れが遅い
・本格的に嫌われ始めるのは2章から
男子高校に入学したらハーレムでした!
はやしかわともえ
BL
閲覧ありがとうございます。
ゆっくり書いていきます。
毎日19時更新です。
よろしくお願い致します。
2022.04.28
お気に入り、栞ありがとうございます。
とても励みになります。
引き続き宜しくお願いします。
2022.05.01
近々番外編SSをあげます。
よければ覗いてみてください。
2022.05.10
お気に入りしてくれてる方、閲覧くださってる方、ありがとうございます。
精一杯書いていきます。
2022.05.15
閲覧、お気に入り、ありがとうございます。
読んでいただけてとても嬉しいです。
近々番外編をあげます。
良ければ覗いてみてください。
2022.05.28
今日で完結です。閲覧、お気に入り本当にありがとうございました。
次作も頑張って書きます。
よろしくおねがいします。
鎖に繋がれた騎士は、敵国で皇帝の愛に囚われる
結衣可
BL
戦場で捕らえられた若き騎士エリアスは、牢に繋がれながらも誇りを折らず、帝国の皇帝オルフェンの瞳を惹きつける。
冷酷と畏怖で人を遠ざけてきた皇帝は、彼を望み、夜ごと逢瀬を重ねていく。
憎しみと抗いのはずが、いつしか芽生える心の揺らぎ。
誇り高き騎士が囚われたのは、冷徹な皇帝の愛。
鎖に繋がれた誇りと、独占欲に満ちた溺愛の行方は――。
全寮制男子校でモテモテ。親衛隊がいる俺の話
みき
BL
全寮制男子校でモテモテな男の子の話。 BL 総受け 高校生 親衛隊 王道 学園 ヤンデレ 溺愛 完全自己満小説です。
数年前に書いた作品で、めちゃくちゃ中途半端なところ(第4話)で終わります。実験的公開作品
久々に幼なじみの家に遊びに行ったら、寝ている間に…
しゅうじつ
BL
俺の隣の家に住んでいる有沢は幼なじみだ。
高校に入ってからは、学校で話したり遊んだりするくらいの仲だったが、今日数人の友達と彼の家に遊びに行くことになった。
数年ぶりの幼なじみの家を懐かしんでいる中、いつの間にか友人たちは帰っており、幼なじみと2人きりに。
そこで俺は彼の部屋であるものを見つけてしまい、部屋に来た有沢に咄嗟に寝たフリをするが…
平凡ワンコ系が憧れの幼なじみにめちゃくちゃにされちゃう話(小説版)
優狗レエス
BL
Ultra∞maniacの続きです。短編連作になっています。
本編とちがってキャラクターそれぞれ一人称の小説です。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる