【完結】どいつもこいつもかかって来やがれ4th season

１章 写真ばら撒き事件

お前ヤりてぇだけだろ

　夜、俺は部屋でゴロゴロしながらスマホをいじっていた。あの後みんなからの電話やメッセージが殺到して、対応するのに疲れて帰ってからずっと寝てたんだけど、俺がいない間に学校でいろいろあったらしい。

　あ、そうそう、俺の出席日数は担任に確認したら、もし停学になったとしても伊織が言うように通常の出席日数には響かないって～♪もちろん、記録には残るが、それなら何日停学になっても朝早く起きなくていいしラッキーじゃん♪

　って母ちゃんに話したらめっちゃ怒られたけどな。俺が反省文書いてる時は授業サボったぐらいだと思ってたらしい。が、自宅謹慎や処分の話をしたら顔付きが変わって全部話したらかなり怒っていた。
　俺を説教したらスッキリしたのか今では普通だけど、久しぶりに外に蹴り出されるんじゃないかと冷や冷やしたぜ。

　
「んー、茜達が署名集めしてくれてんのかー……」


　俺と伊織の状況を知った茜が少しでも処分が軽くなるように思い付いた事らしい。だけど、現時点では茜と桃山の二人だとみんなが茶化したり、怖がったりでなかなか集まらないらしい。でも二人の気持ちはすげぇありがたい。
　そんで同時に二人は七海が犯人じゃないかと疑って問い詰めたとか……あいつならそういうのやりそうだけど、俺は七海が犯人じゃねぇと思う。だからあまり責めるなって言ってやったけど、桃山がどうするかねぇ。


「直登達はボラ部の先輩達に相談して協力してもらえるか話し合ってるところか……」


　ボラ部の奴らってみんな大物揃いだからなー。頼りになりそうだけど、あのバーコードを折れさせるのは難しいだろうなぁ。だって俺の事嫌ってるもんな。
　教頭は優しそうだったけど、何考えてるか分からねぇし、期待はしない方がいいだろ。

　そんで今は伊織からのメッセージを読んでいた。
「貴哉、明日暇？暇だよな？良い機会だから勉強教えてやる♡朝お前んち行くから待ってろ♡」
　こいつ、自宅謹慎の意味、俺より分かってねぇな。もちろん断ると、すぐに電話が掛かって来た。


『何でだよー！お互い暇だし、会いたいんだからいいだろ？』

「馬鹿か？もしバレたらどうすんだ！みんな協力してくれてんのに、無駄にする気か！」

『だってさ、貴哉に会いてーんだもん』

「お前ヤりてぇだけだろ。切るぞ」

『バッそりゃヤりてぇよ！でもそれだけじゃねぇ！離れてると不安になるんだよ。今は貴哉の側にいてぇんだ』

「いつもの余裕はどうした。らしくねぇぞ」

『貴哉さ、今日の迎えを早川に頼んだのか？』

「ああ。一人じゃ起きられねぇからな。お前はあんなんだったしな」

『それ！もし謹慎解けたら俺がやるからな！予約したからな！』

「予約って何だ！そんなの受け付けてねぇよ！」

『早川に取られたくねぇんだよ。貴哉を』

「取るとか取られるとかねぇだろ。俺はどっちも選ばねぇもん」

『へー、じゃあ俺と早川とセックスしないって自信あんのか？今日俺とはキスしてたけど、どうなんだよ？』


　ここで昨日の空との行為を思い出す。
　これ伊織に知られたらヤベーよな。
　絶対明日押しかけて来そうだし、誤魔化すか！


「キスぐらいならしてもいいかなって思ってるぜ？外国では挨拶なんだろ？」

『ここは日本だ。てか他の奴とキスとかさせねぇけどな』

「はぁ！？冗談に決まってんだろ！真面目に返すなよ！」

『貴哉が他の奴とって考えたらムカついたんだよ。俺が満足させてやるからぜってーすんなよー』

「……やだよ。お前急にいなくなるじゃん。空は、いてくれたもん。側にいて欲しい時にずっといてくれた……」


　まるで伊織と空を比べるような言い方をすると、見事に伊織の闘争心に火を付けたようで、声のトーンが低くなった。
　でも本当の事だ。
　だから昨日も空としちゃった訳だし。


『早川となんかあったのか？』

「ねぇよ」

『何した？』

「だから何もねぇって」

『んじゃ明日確かめるから♪』

「はぁ？いや、マジで来るなよ？」

『そんじゃまた明日な～♪愛してるぜ♡』

「ちょ！待て伊織っ！」


　強制的に電話を切られた。
　あいつマジふざけんな！勝手過ぎんだよ！本当に二人で会ってるとか誰かに見られたりでもしたら今度こそ終わりだぞ！
　そうだ！あいつが来る前に逃げりゃいいのか！
　でもどこに逃げる？場所もねぇし、金もねぇ。うーん、どうにかして伊織を来させないように説得するしかねぇか。