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1章 写真ばら撒き事件
※激し過ぎるんだお前が!
しおりを挟む※茜side
今日の部活で一年の様子を見る予定だったけど、湊が来てくれたので途中で帰る事にした。
湊と仲良く途中で帰る旨を伝えに行った時の部長は驚いていたな。
そうだろう。今までの俺だったら部活の途中で帰るなんてあり得なかったからな。何があっても、何を言われても居座っていた頑固な俺。
秋山に出会ってから本当に変わったなと自分でも思うよ。
もちろん部活に対して手を抜いている訳ではない。それよりも、大切にするべきものが出来てそれに気付いただけ。
きっと今までの俺は自分の事ばかりで周りを見ていなかったんだろうな。
湊と二人で学校を出て歩く。
今日もいろいろあったけど、何だかとても清々しい気分だった。
秋山達の事を考えるとそんな気分でいてはダメだとは思うが、今湊が隣にいてくれる。それが何より嬉しかった。
「茜機嫌良さそう♪本当は部活サボりたかった?」
「そんな訳ないだろう。湊とこうして歩けてるのが嬉しいんだ」
「俺も俺もー♡茜ちょー好き♡浮気はムカつくけどな」
「だから浮気じゃないってば」
「みたいだな。俺も反省するよ。今度からはちゃんと話聞いてからキレる事にする。出来るか分からないけど」
「反省なんか出来るのか?今日犬飼を殴った事は反省したのか?」
「ちょーっとだけしたよ。茜にビンタされてさすがにショックだったからな」
「……あれは本当に悪かったよ。でも、人を殴るのって辛いんだな」
「え、そう?俺はスカッとするけど」
「お前絶対反省してねぇだろ」
「茜は良い子ちゃんだからそう思うだけだろ。暴力は時に必要だぜ~?」
「湊、それ俺以外に言うなよ。暴力は必要ない!言葉と言葉で語り合う!それが一番だ」
「俺からしたら言葉も暴力になるけどな」
「…………」
ふと俺は今まで自分が言って来た事や言われて来た事を思い出す。
確かに湊の言う事は一理ある。
人は言葉に対して敏感で、俺達の年代なら尚更だろう。今ではデジタルタトゥーなんてのもあるぐらいだから直接的な暴力より酷い時もあるだろう。
だからと言って湊が周りを殴ったりするのを見過ごすつもりはないが……
「ま、俺にはどんな暴力も通じねぇけどな。俺に通じるのは茜からの暴力だけだ」
「……湊」
「茜にビンタされて思考回路が止まったんだ。何で殴られたのか、何で茜は俺に冷たくされるのか。今までの相手だったらそんなの考えないで楽しんでたけど、茜にされた時は全然楽しくなかった。だからもう殴らないで」
「殴らないよ。ごめんな。痛かっただろ?」
「正直、今までして来た喧嘩なんか比べ物にならないぐらい痛かった。茜ってもしかして馬鹿力?」
「お前と一緒にするな」
「茜ー。なぁ今日しよ?」
「平日だし、ダメだ。それに秋山達の件が落ち着くまではそんな気にはなれないよ」
「それっていつになるか分からないって事だろ?」
「そうだな。早く処分が出れば話は違うんだけどな」
「処分ねー。それって誰が決めんの?」
「多分校長、教頭辺りじゃないか?昨日呼び出された時に聞いた話とかを踏まえて決めるんだろうけど、いつ決まるかは俺達にはどうしようもないからな」
「ふーん。校長か教頭ね。俺明日聞いてくるよ」
「はぁ!?辞めとけ!何でお前が聞きに行くんだよ!」
「だって、処分が出ればエッチ出来るんだろ?なんなら今から戻って聞いて来てもいいぜ」
「辞めろ!お前が行ったら悪化しそうだ!」
「だって茜としたいんだもん!」
「だもんじゃない!お前はもう少し我慢とか出来ないのか!」
「茜はしたくねぇの?俺と」
「今はな」
他人のセックスの頻度などは知らないけど、俺と湊は週末デートした時にしている。
夏休み中は部活もあったし、後半の休みは勉強や予定をこなしていたから同じく週末だけ。
湊からはそれについて不満は出ていた。
もっとしたいと。俺は今のままでも十分だと思っているからもどかしい。なんなら月一とか最悪しなくてもいいんだけどな。
「茜のケチー!」
「お前な、挿れられる方も大変なんだぞ!ヤッた後しばらく腰痛くなるし、第一激し過ぎるんだお前が!」
「だって茜の裸見たら興奮しちゃって♡あーヤリたい!ヤリたい!ヤリたーい!!」
「叫ぶな!恥ずかしい奴だなぁ!」
周りの目もあったので、俺は湊を置いて先に歩いて駅に向かう。
湊は楽しい事が大好きだ。やりたいと思ったら何でもやるし、つまらないと判断したら途中でもあっさり辞める。
本当に幼い子供みたいだなと思う。
そんな湊の事も好きなんだけどな。
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