【完結】どいつもこいつもかかって来やがれ4th season

pino

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1章 写真ばら撒き事件

※それよりもさっさと中に入れてくれないか?

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 ※空side

 放課後、一度職員室へ寄って担任から倉持の事を少し聞いてからボランティア部部室へ行くと、中には既に来ていた中西と数馬の二人だけが机に座っていた。

 貴哉と桐原さんはしばらくは来れないだろう。部長になった桐原さんの代わりに副部長の俺が仕切らなきゃいけないんだけど、副部長になった途端これじゃどうしたらいいのか分からない。

 せめて怜ちんがいてくれれば頼りに出来たのに……
 休みの連絡も来てないからもう少し待つか。


「この教室も寂しくなっちゃったね」


 ここで中西が普通に言った。
 元々部員の多い部活じゃなかったけど、三年が居なくなって更に人数が減った。
 いつも騒いでる人達がいないだけでこうも違うなんてな。


「で、どーするの?ボランティア部」

「え?」

「えって、副部長なんでしょ?早く指示出してよー」

「直登、空も副部長になったばかりだし、あまり言っちゃダメだ」

「数馬くん優し過ぎー。部長不在の時こその副部長でしょ?しっかりしてよね」

「…………」

「あーもう!空くんジメジメし過ぎ!今ボラ部がやるべき事なんて一つしかないだろー!」

「そ、空っ、貴哉と桐原さんを助けよう!」

「……二人共」


 そうか。部員が少なくてもそれがボラ部だ。
 はは、俺は何を迷っていたんだ。ボランティアって名前してんのに、困ってる奴がいたら助けるのが当たり前なのにな。

 学年の違う茜さん達だって一生懸命何とかしようとしてるのに、俺は何を落ち込んでるんだ。
 いや、正直同じクラスの奴が写真を撮ってばら撒いた犯人なのかっていう話が出て複雑な気持ちに変わりはない。
 この事は中西達にはまだ話してないから余計にモヤモヤしていた。

 俺はそんな心境がバレたくなくて、無理矢理気持ちを切り替えて仕切る方向で行く事にした。


「そうだな!そんじゃまだ二年の二人が来てないけど、始めるか!」

「やっといつもの空くんだ。怜ちん達もそろそろ戻ってくるんじゃない?」

「ん?怜ちん達どっか行ってるのか?」

「うん。俺達より先に来てて凄い人連れて来る~って出てったの」

「凄い人?」


 何の事か分からなかったので、怜ちんに電話を掛けてみる事にした。
 すると、すぐに出ていつもの感じで話し始めた。


『もしもーし!空くんー?部室に来たのー?俺達ももうすぐ着くよーん♪』

「中西に聞いたけど、凄い人って誰の事なの?」

『それは見てからのお楽しみ~♡あはは~♡』


 と、ここで電話は切れた。
 えー、誰が来るのか知りたかったのに。

 でもすぐに誰が来るのか分かる事になった。
 そう、怜ちん達はボラ部部室のすぐそこまで来ていたから。

 廊下の方が少し騒がしくなって、ふと気になってドアを開けて様子を見てみる。
 そこには怜ちんと、那智さん、そして、二人の真ん中に、高校生とは思えない程大人びた綺麗な顔と、綺麗に伸びた長い黒髪を一本に束ねて靡かせて姿勢良く歩く姿。そしてモデルの様なスタイルとスラッと伸びた長い足。
 あの生徒会長、神凪葵が颯爽とこちらに向かって歩いていたんだ。

 えー!?生徒会長!?
 凄い人過ぎねぇか!?
 そりゃ廊下も騒がしくなるわ!
 怜ちん達だけでもみんな騒ぐのに、あの生徒会長だぞ!?

 そして俺に気付いた怜ちんは手を振って近寄って来た。


「空くんてば先に見ちゃったね~!ばーって入って驚かせようと思ったのにぃ~」

「ちょっと!何で生徒会長がいるの!?」

「私がここにいてはマズイのか?」


 いつの間にかすぐ側まで来ていた神凪生徒会長にギロリと睨まれた。近くで見るのは二回目だけど、ヤバい人だってオーラで分かる。
 噂だと、生徒会長としては十分過ぎるぐらい仕事をこなすし、他の生徒達や教師達からも一目置かれている存在だ。でもそのやり方は冷酷非道で、目的の為なら手段を選ばない。そんな感じで怖がる生徒もいる。
 だから貴哉を関わらせたくなかったのもあった。

 俺が怯んでいると、生徒会長の後ろからボラ部の元副部長の風間さんがひょこっと顔を出してニコッと笑った。


「やあ早川くん♪俺達もいるよ~」

「風間さん!今一番会いたかった人ですぅ!」


 ボラ部の副部長として、一番頼りにしたかった人の顔が見れて俺は心の声が漏れた。
 それを聞き逃さなかった風間さんの隣にいた男、元部長の渡辺さんがメガネを光らせて不機嫌そうに言った。


「あ?俺には会いたくなかったってのかよ早川ぁ?」

「ぶ、部長!勿論会いたかったですよぉ!」

「ふん、それよりもさっさと中に入れてくれないか?ここは目立って仕方ないからな」

「はーい♪狭い所ですがどーぞ♪」


 廊下にずっと立たされてなのか、はたまた俺を見てなのか不機嫌そうな生徒会長が言うと、怜ちんが中に案内した。

 懐かしい人達に会えた事で俺は感動していた。
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