【完結】どいつもこいつもかかって来やがれ4th season

pino

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1章 写真ばら撒き事件

※とても頼りになる先輩だと思ってます

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 ※空side

 生徒会長の話は俺達じゃ思い付かないような事ばかりでただ聞いているしか出来なかった。
 そんな事出来る訳ない。誰もが思うだろう。
 でもこの神凪葵が言うとそれも可能にしてしまうんではないかと期待していた。


「では、利用する事に反対する者はいないな。まぁいたとしてもどうって事はないがな」


 フッと勝ち誇ったような顔をして言う生徒会長に隣にいた部長がやれやれと言った感じで喋り始めた。


「相変わらずだな葵は。唯我独尊。他人の言う事なんか聞かねぇもんな。お前が思ったら何人反対しようがそうするんだろ」

「人聞きの悪い。梓、お前こそ自分の部活の後輩達が悲鳴を上げているのに呑気に庭いじりなんかして。それよりはマシだと思うが」

「こう言う時こそいつも通りにだろ。それと葵は難しく言い過ぎなんだよ。素直に二人を助けたいって言えばいいじゃねぇか。一年共の顔見てみろよ。まるでお前の事、化け物を見てるような顔してるじゃねぇか」

「ムッ。そうなのか?貴様ら」


 部長がとんでもない事を言うから生徒会長が俺達一年三人を睨み付けて来た。中西はいつも通りだったけど、数馬なんか気絶寸前じゃねぇか。
 確かに怖いけど、今は頼りにするしかないからな。


「さすがに化け物だとは思っていませんよ。生徒会長の話を聞いて、誤解していたなと反省しています」

「ほう。どんな誤解だ?」


 俺が正直に話すと、興味を持ったのかニヤリと笑って聞いて来た。
 でも、これは言ってもいいのか?
 迷ったけど、この人相手に誤魔化すのは無駄だと判断して素直に答える事にした。


「生徒会長の噂は入学したての頃から耳にしていました。それは良い事から悪い事までたくさんありました。部長の言うように唯我独尊。そんな人なんだと思い込んで、貴哉を近付けさせたくなかったのもあります。でも今は、とても頼りになる先輩だなって思ってます」


 俺の言葉に部室内は一瞬シンとなったが、すぐに生徒会長の笑い声が響き渡った。
 そして他の三年や二年までもが笑い出した。


「あはは!面白い奴だな!早川と言ったか?お前の事は秋山を指導するので調べさせてもらっていたが、思ったよりも勘が鋭く柔軟性もあるようだな」

「空くん言うね~!葵くん相手にかっこいー♪」

「さすが次期副部長だな。裕一の後釜にちょうどいいや」

「なぁ怜ちん!俺、葵くんがこんなに笑ったの初めて見たぞ!」

「俺も俺も!葵くんって笑ってもフッとかフンッとかそんなのばっかだもんね!ねっ那智くん!」

「貴様ら俺の事をそんな風に思っていたんだな」


 一気に賑やかになる部室。
 そして怜ちんが話し始めた。


「あのねー、今二年の二之宮茜ちゃんが仲間達と署名集めしてるんだぁ。もちろんいーくんと貴ちゃんの為にね♪それで、俺と那智くんもそれに便乗してファン達に声を掛けようと思ってるのー」

「そうそう!ばら撒かれた写真を少しでも回収したいからな!もし持ってる奴らは俺と怜ちんに持って来る事!そしたら俺達の生写真と交換してやるって言おうと思ってんだ♪」

「それは名案だな。そんなのお前らのファンなら血眼になって写真を掻き集めて来るだろうな。伊織のファン以外はな」

「そこなんですよー!俺達のファンってホワイトだからいいけど、いーくんのファンってちょっとブラック入ってるしー?それにばら撒かれたのがいーくん関連の写真だからそこはどう集めようかなぁって」


 凄いな先輩達は……
 自分達の長所を生かして自分達に出来る事をやろうとするなんて。
 すると、中西も会話に加わり出した。


「怜ちん、その署名集め、俺達もやっていいですか?一年生の分とかまだですよね?」

「勿論♪茜ちゃんに紙貰うから~♪」

「それじゃあ話も済んだし私は失礼する」


 まだ怜ちんや中西達は話をしていたけど、生徒会長は立ち上がり、部室から出て行こうとした。
 そして俺をチラッと見て手でこっちへ来いと呼ばれた。
 一瞬ドキッとしたが、別に悪い事はしてないし、反抗する理由も意味も無いので生徒会長と一緒に部室を出た。


「早川、まだ言いたい事があるんじゃないのか?」

「え」

「私を誤魔化せるとでも?」

「……実は、写真をばら撒いた犯人が、同じクラスの奴かもしれないんです。中西達もいたから言い出せなくて」

「ふむ。話を聞こう。場所を移すぞ」


 生徒会長は顔色一つ変えずに俺を連れてボラ部部室を離れた。
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