【完結】どいつもこいつもかかって来やがれ4th season

１章 写真ばら撒き事件

※唯我独尊の神凪葵先輩です♪

　※空side

　生徒会室に二人きり。
　さっきまではボラ部のみんなもいたから平気だったけど、これは緊張感が増すなぁ。

　俺はその場に立っていると、黒い皮のソファに座れと指示されたから言う通りに座った。
　そして生徒会長は立ったまま話し始めた。


「犯人の話、私も知っているんだ」

「えっ！」

「早川も紘夢から聞いたんだろ？あいつの予想は外れないからな。信じていいと思うぞ」

「でも、もし同じクラスの奴だったとしたら、俺も貴哉も、そいつとこれからどうやって顔を合わせたらいいのか……」

「そんな事で悩んでいるのか？犯人には然るべき罰を与えるべきだな。写真の内容はどうでも良いが、写真を学校の屋上からばら撒くなんてゴミを捨てているのと一緒だぞ。美化委員も怒っていたぞ。お前達がどう顔を合わせようが犯人もそれを覚悟でやったんだろう。気にする事はない」

「でも……」

「早川は意外と臆病なんだな」

「……はい」

「犯人の事を周りに知られないように考慮した慎重さは評価しよう。ただ思い切りも大事だ。優しさだけでは人は成長しない」

「俺、犯人かもしれない倉持に会おうと思ってるんです。今倉持は学校に来てないから、直接家に行こうと担任に家を聞きました」

「いいんじゃないのか。何事も考えてばかりで行動しなくては始まらないからな。だが、もしその倉持が犯人だった場合、私に引き渡して欲しいんだ」

「倉持を？何でですか？」

「これはまだ憶測なのだが、もしかしたら犯人の裏にもう一人黒幕がいるんじゃないかと思うんだ」

「えっ！黒幕！？」


　これは一条さんは言って無かった話だ。
　そして生徒会長は相変わらず顔色一つ変えずに生徒会長と書かれた札が置いてある机に座った。


「これはまだ誰にも話さないで欲しい。約束できるか？」

「はい。出来ます」

「うむ。紘夢に犯人を絞り込めた話を聞いてそのリストを見たんだ。きっと早川が見た物と同じだろう。そのリストにいる人物はどれも非行歴もなければ学業などの成績はほぼ並み。学校側としては良くも悪くも何も言うことの無い生徒ばかりだった。そんな彼らがあんな大胆な事をするだろうか？」

「確かに……」


　生徒会長の言う通り、倉持は同じクラスの俺ですら話した事もなく、顔もぼんやりとしか思い出せないぐらい影の薄い奴だ。隠し撮りぐらいなら出来そうだけど、こんな騒ぎになるような事をするようには思えない。
　だから倉持がリストにいた時は本当に驚いたんだ。何でこいつが？って。


「だが紘夢の実力は私も知っているからな。きっとあの中に犯人はいる。となると彼らが犯行を実行するには誰かしらの指示があったとしか考えられないんだ。あくまでもまだ憶測だがな」

「わかりました。生徒会長の話を聞いて俺も怪しいと思いました。もし倉持が犯人だった場合は生徒会長に引き渡します」

「そうか。協力感謝する」

「生徒会長」

「何だ？」

「先ほどは失礼な事を言ってすいませんでした」

「部室での事か？気にするな。私の評判は自分が良く知っているからな」

「……それと、貴哉の事をよろしくお願いします！」

「ふ、その事は任せておけ。私を誰だと思っている？」

「唯我独尊の神凪葵先輩ですっ♪」


　俺はここで生徒会長の二回目の笑顔を見た。

　少しだけ勇気をもらえた気がする。
　倉持に話を聞きに行くだけでも億劫だったのに、今では早く行って貴哉を助けたい気持ちでいっぱいだった。

　あー貴哉に会いてぇなぁ！
　てか貴哉はちゃんと大人しくしてるかなぁ？
　暇過ぎて遊び行ったりしてねぇよな？