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1章 写真ばら撒き事件
テメェだけオアシスに避難しやがって!
しおりを挟む時間は17時。俺は家の近くの公園の草むらの中にいた。
くそー、あちぃなここ。何か虫いっぱいいやがるし!早く見つけろよなあいつ!
俺はスマホを見ながらジッと息を潜めていた。
そしてピコン♪と鳴って届いたメッセージを開くと「限界。次のヒントちょーだい」って来た。
あいつ根性ねぇなぁ。
仕方ねぇから「虫」って送ってやった。
するとすぐにそいつから電話がかかって来た。
『貴哉ー!何だよ虫って!分かる訳ねぇだろ!』
「虫がいんだよここ!てかお前こそどこだよ!」
『えー、コンビニ。暑過ぎて涼んでたー』
「ふざけんな!テメェだけオアシスに避難しやがって!俺はずっと虫とここにいたってのに!」
『んじゃ貴哉がこっち来てよー。アイス奢るからさぁ。貴哉んちの近くのコンビニー』
「すぐ行く!逃げたら許さねぇからな!クソ伊織!」
ブチっと電話を切って俺はコンビニまで走った。
そう、俺は今伊織から逃げて公園に隠れてたんだ。あいつが朝から俺んちに来るって言うから来る前に逃げた。朝はファーストフード店に逃げた。
すると、マジで家に来た伊織から電話があって、どこにいるのか聞かれた。答える訳もなくスルーしてると、ヒントをくれと言い出して来たから「ポテト」と言うと場所がバレたのかすぐに飛んで来た。
ヤバい逃げなきゃと思い、俺は「どこかに隠れるから見つけろ!そしたら遊んでやる!」って適当に提案して逃げた。
伊織は黙って俺に従ってその後も俺を見付けては逃して見付けては逃しての繰り返しで今に至る。
俺と伊織はクソ暑い中、高校生の癖に街中を使ったヒント付きかくれんぼをしていた訳だ。
時間も時間だし、そろそろ学校の奴らも出て来るだろうから公園で最後にしようとしたのに、全然見付けてくんねぇんだもん!
俺がコンビニに駆け付けると、中で雑誌を立ち読みしてた伊織が笑顔で手を振って来た。
クソ野郎!一番高いアイス買わせてやる!
「貴哉~♡髪に葉っぱ付けて可愛い~♡」
「黙れ裏切り者!ハーゲンダッツ買うぞ!」
「おー、好きなの選べー♪」
俺はコンビニで涼みながらショーケースに入ったアイスを選ぶ。涼しくてずっとここにいたいぐらいだぜ。後から来た伊織に「どれにする?」って聞かれた。
まだ怒ってた俺はチラッと睨んで見るとニコニコ嬉しそうにしてた。
はぁ、何か怒る気が失せたわ。
「やっぱ普通のソーダのやつにしよー」
「えー、高いのでもいいんだぜ?」
「いいよ。今はサッパリしたやつがいい。それよりも早く買って帰ろうぜ。学校の奴らに見つかったらヤベーからな」
「あ、そう言えば怜ちんから連絡来てたんだ。貴哉んちで電話していい?」
「自分んち帰れよ」
「怜ちんの話気になるじゃん。電話したら帰るから」
「あーもぉ何でもいいよ。早く行こうぜー」
伊織は俺の選んだアイスを買って渡して来た。
一日中暑い外を走り回ったからとにかく帰って風呂に入りたかった。
その後俺は伊織から逃げていた理由も忘れて普通に家に招いた。
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