【完結】どいつもこいつもかかって来やがれ4th season

pino

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1章 写真ばら撒き事件

※いきなり来て悪かったな

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 ※空side

 担任から聞いた倉持の住む家はごく普通のアパートだった。二階建ての一階の角部屋。
 俺の実家よりは綺麗なアパートだ。

 表札に名前は書いて無かったから、俺は恐る恐るインターフォンを押した。間違えてたらどうしよう。いや、担任が言うんだ間違える筈ねぇよな?

 しばらくして中から女の人の声がして扉が開いた。


「はい?えっと、どちら様ですか?」


 中年の、俺の母さんより年上って感じの女の人。倉持のお母さんかな?
 俺を見るなり警戒するように見て来た。
 自分で言うのもなんだけど、見た目の印象良くないもんなー。
 髪とか色抜きすぎて白に近いし。今度染めよっと。


「いきなりすいません。俺、早川空って言って、倉持くんのクラスメイトなんですけど……倉持くんの家で合ってますよね?」

「はぁ、合ってますけど、瑛二のお友達?」

「そうです。友達です。瑛二くんが休んでるので心配で様子を見に来たんですが、少し会えますか?」

「……それが、部屋から出て来ないのよ。あの子」

「そうなんですか。あの、俺が声を掛けてもいいですかね?ダメなら帰ります」

「その、失礼だけど、本当に瑛二のお友達なの?今まであの子のお友達にあなたみたいな子っていなかったから……」

「あははー。こんな見た目ですもんね~。大丈夫です。俺中身はちゃんとしてますんで」

「そう?」


 倉持の母さんはまだ疑ってるみたいだった。
 そりゃそうか。今までの友達と違うジャンルの奴がいきなり尋ねてきたりしたら怪し過ぎるよな。
 何とか家に入れて貰えて、倉持の部屋だと言う扉の前に案内された。
 アパートの中は玄関入ってすぐにあるキッチンの他に二部屋しかなく、一個はリビング。そしてもう一つが倉持の部屋。

 俺は部屋を軽くノックして呼び掛けてみる事にした。


「倉持ー!俺、同じクラスの早川空ってんだけど、ちょっと話出来ないかー?」


 倉持のお母さんが横に張り付いて見てるから言葉に気を付けて呼び掛けるけど、応答がなかった。
 はて、どうすべきか。


「ねぇ早川くん、瑛二、学校で何かあったのかしら?元々大人しくて友達が多い子じゃないけど、こうやって学校へも行かず引き篭もるような子じゃないのよ」

「そうですか。んー、特に何かあったとかじゃないと思うんですけど……」


 心配してる倉持のお母さんに何て言ったらいいのか迷ってると、部屋のドアがガチャッと空いて少しだけ隙間が出来た。
 え、倉持が開けてくれたのか?
 これに倉持の母さんは驚いて、すかさずドアに近寄るけど、またバタンッと閉まってしまった。

 えー!何だったの今の!


「ちょ、倉持~?また開けてくれよー!」

「瑛二!お母さんも心配してるのよ!」


 二人で声を掛けると、中から小さい声が聞こえて来て耳を澄ませる。


「……は、早川くん……だけ、中に入って……」

「瑛二!」

「あ、そう言う事なんでお母さんちょっと待ってて下さい。倉持入るぞー」


 許可が出たからドアを開けて俺だけ中に入る。
 多分あのお母さん部屋の外にずっといるんだろうな。
 そして薄暗い狭い部屋の中にポツンと倉持がいた。何をするでもなく、ただ立って俺を見ていた。

 そうだ、こいつが倉持だ。
 身長は貴哉より少し小さいぐらいで、体型は普通。顔もパソコン室で見たような特に特徴の無い普通の顔。少しそばかすがあるだけ。
 部屋の中も普通の部屋。よりは何も無いか。机も小さいのが一つと座布団一枚。壁には制服が掛けられていて、小さい棚に何冊かの本があった。

 ここで俺は違和感を覚えた。
 そう言えば一条さんは倉持の趣味は写真で、高性能の一眼レフカメラを持ってるって言ってたんだ。
 そんな物はこの部屋には見当たらないし、そもそもそんな物が買えるような家にも見えなかった。
 実はめっちゃ金持ちとかなら無くはないだろうけど……


「あの、早川くん……」

「あ、いきなり来て悪かったな」


 部屋をジロジロ見すぎたか、倉持は怯えるように俺の名前を呼んだ。
 さて、何から話すか。素直に話してくれればいいけど。
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