【完結】どいつもこいつもかかって来やがれ4th season

pino

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1章 写真ばら撒き事件

一番キモかった奴か

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 一日運動したのと心地よい冷房の部屋のベッドでウトウトしてた俺は伊織と怜ちんの電話をうっすら聞いていた。
 聞こえてくんのは伊織の声だけだけど。


「マジで?葵くんが?へー、そりゃすげぇな」


 葵って誰だっけ?
 伊織達のダチか?


「おー、怜ちんも那智もありがとな♪」


 あの二人も何かしてくれてんのか。
 あー、またバッティングセンターとか行きてぇなぁ。


「はぁ?嘘だろ?何で犬飼達が?」


 犬飼?
 あーもう俺関係ねぇ話じゃん。
 マジで帰ってから話せよー。


「……おう、分かった。信じられねーけど、怜ちんが言うんだ、本当なんだろうな。貴哉には俺から話しとくわ」


 ん?俺の名前が出たな。


「んじゃまた何かあったら教えてよ。ありがとなー♪」


 お、やっと終わったか。
 電話を切った伊織はベッドにいる俺に寄って来てニコニコ笑顔で電話の内容を話し始めた。

 
「ビッグニュース!あの葵くんが俺達の件で動くらしい!一番影響力のある人が動いてくれるんだ、きっと処分も軽くなるぞ♪」

「ところで葵って誰?」

「誰って、生徒会長だろ。貴哉がお世話になってる人!」

「あの人葵って名前なのか。へー、生徒会長がねぇ」

「そんで、怜ちん達はそれぞれのファンに声掛けて、自分達の生写真と交換を条件にばら撒かれた写真を回収していくんだって♪俺も嫌だったんだよなぁ!セクシーな貴哉の写真をみんなが持ってるの」

「おー!そりゃありがてぇな。伊織お前のファンにも生写真売れよ」

「そうしたいのは山々なんだけど、俺のファンは二人のファンとは違って厄介なの多いんだわ。だから俺からファン達には一切関わってねぇよ。勝手に騒いでるだけだ」

「ふーん」

「あと、二之宮達の署名集めで七海が活躍したらしい。あいつらで二年の分の署名はほぼ集まったって。明日からは中西達が一年の分を集めるらしい」

「七海やるじゃん♪直登なら余裕で集めるんじゃん。あいつモテるから。みんなすげぇな……」


 みんなの協力を改めて知って俺は嬉しくなった。
 そっか。みんな元気でやってるのか。
 伊織も明るく話してたけど、ここでいきなり真顔になった。


「そんでさ、これは信じられねぇ話なんだけどさ」

「ん?」

「演劇部のバーベキュー大会の時に貴哉を襲おうとした奴らいるだろ?何でか知らねぇけど、あいつらが二之宮達と一緒に署名集めしてんだと」

「あのキモい二人か!茜はあいつらの事知らねぇからだろ!」

「そうかもな……あの二人、てか三人組なんだけどな?何企んでんだか。とにかく気を付けた方がいい。また何かされそうになったら俺が守るけどな」

「お前来るのおせーじゃん。その前に俺が二人共やっつけるから大丈夫だ」

「勝つ自信があるのか?」

「余裕ー」

「特に金髪の奴には気を付けろ。あいつは喧嘩好きだから容赦ねぇだろうからな」

「特にキモかった奴か。アホそうだし大丈夫だろ」

「貴哉、俺のものになってくれねぇかな?そうすりゃ堂々と守れるんだ」

「何度も言わせるな。俺は誰のものにもならねぇ」

「両想いなのに?」

「…………」


 俺の手を握ってくる伊織は悲しそうな顔をしていた。
 何も言えなくてボーッと伊織を見てると、ほっぺにキスをされた。


「あ、何すんだ」

「ねぇ、したい」

「ダメだ。てか電話したら帰るんだろ。約束守れよ」

「ちょっとだけでいいから」

「ちょっとだけって何だよ。ダメなもんはダメ」

「だってさ、次貴哉に会えるのいつか分からないじゃん。俺、寂しい」

「うっ……そんな目で見んな」


 上目遣いでそんな可愛い事言う伊織にドキドキして来た俺はこのままじゃ流されると思って起き上がると、ベッドにもたれかかってた伊織は俺の腰辺りに抱き付いて来た。
 

「貴哉が欲しい」

「やらないってば」

「じゃあ、好きって言って」

「……やだ」

「好きじゃないのか?俺の事」

「いい加減にしろよ!好きだよ好き!お前さっきからズリィぞ!」

「ん。ズルでも何でもいいよ。貴哉が手に入るなら」

「伊織さ、俺の事が好きなら少しは我慢しろよ。今日もだけど、二人とも街中走り回って、そんなの学校にバレたらどうなると思ってんだよ」

「俺達がそういう関係なのはみんな知ってるしバレてもいいよ」

「そう言う問題じゃねぇだろ!みんなが俺達の為に動いてくれてんのに、それを無駄にするような事すんじゃねぇよ!」

「……分かってる。悪かったよ。もう今日みたいな事はしねぇよ」

「はぁ、じゃあ帰れよ」

「……うん」


 すっかり元気の無くなった伊織に後味の悪い俺。
 これじゃ俺が悪い事したみてぇじゃねぇか!
 いやでも今回の俺は悪くねぇよな?間違ってねぇよな?

 立ち上がってトボトボ部屋から出て行こうとする伊織。

 あークソ!面倒くせぇ年上だなぁ!

 俺はベッドから飛び降りてドアに手を掛ける伊織の背中に抱き付いた。
 キツく強くギューってしてやった。
 相変わらずデカい背中に懐かしく思って心がキュッとなった。
 

「貴哉……」

「元気出せよ!俺は伊織の事が好きだ!だから、お互い早く学校で会えるように頑張ろうぜ!」

「はは、嬉し……」


 伊織はクルッと回転して俺の方を向いて笑った。
 そして俺の両頬を両手で優しく包んでキスをして来た。
 クソ……嫌がらない自分がムカつくぜ。


「んっ……」


 目を閉じてキスを受けてると、しばらくして離れた伊織はいつものように優しく笑っていた。
 やっといつもの伊織に戻ったか。


「貴哉大好き♡」

「俺も大好きだ!」


 伊織はそれ以上の事はして来なかった。
 その後は「またな」と言って大人しく帰って行った。
 ノーパンのまま。
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