【完結】どいつもこいつもかかって来やがれ4th season

pino

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1章 写真ばら撒き事件

俺にとってのって意味だよ

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 一条紘夢の言うとおり、確かに俺はガキの頃遊んだ奴がいて、そいつとは時間も忘れて母ちゃんか婆ちゃんが迎えに来るまで一緒に遊んでた。
 
 そっか。俺が忘れてただけなんだな。
 紘夢か……
 紘夢が言う俺がヒーローってのは良く分からないけどな。いつも俺は悪役のブラックキングやってたし。


「お前あの時ポロポロ泣いてたもんな!つられて俺まで泣いちまって、母ちゃんにめちゃくちゃ笑われたんだ」

「だって、貴ちゃんがいなくなっちゃうって思ったら寂しくて……でももういなくならないもんね♡」

「いなくはならねぇけど、あの時はあの時。今は今だろ。お前、今回やった事反省してるのか?」


 いくら紘夢が俺の友達だったとしても、やった事は許せねぇ。まぁ今の俺はぶん殴ったりする程怒ってはねぇけどな。
 だけど、周りはどう思うかだ。
 特に伊織、瑛二がだ。


「……倉持を利用して貴ちゃん達を困らせた事?」

「そうだ。俺はもういいよ。謹慎も停学も担任が言うには進級には響かねーみてぇだし。退学にならなきゃなんでもいい。でも俺や伊織を何とかしてくれようとしてる奴らは分からねぇ」

「正直言って貴ちゃん以外の事はどうでもいいと思ってるよ。謝る気もない。でも貴ちゃんには謝るよ。本当にごめんなさい」


 頭を下げて謝る紘夢は嘘をついてるように見えなかった。
 俺以外どうでもいいってのも本心だろ。
 でもそのままじゃ面倒くせぇ事になるからな。

 俺は紘夢を説得する事に決めた。

 紘夢をリビングのソファに座らせて、まぁお茶でも飲めと緩くなった麦茶をコップに注いでやると「ありがと♪」と機嫌良さそうにしていた。


「あのな、紘夢。俺と友達でいたいか?」

「友達……うん。いたい」

「それなら今回迷惑掛けた奴らにも謝るんだ。一緒に謝ってやるから。じゃなきゃ俺はお前とは友達でいられねぇ」

「うーん、貴ちゃんがどうしてもって言うならいいけど。でも何で貴ちゃんも一緒に謝ってくれるの?被害者なのに」

「だって俺がお前の事を早く思い出さなかったからやったんだろ?俺のせいでもあるじゃん」

「……あはは!貴ちゃん面白ーい♪」

「笑ってんじゃねぇよ。んじゃ俺の停学が終わったら謝ろうな」

「いつまで停学なの?」

「三日って言われた。来週の水曜日から学校行くからそん時な」

「三日ぁ?思ってたより短いんだね~」

「短ぇのか?普通がわかんねーよ」

「俺の予想では二週間ぐらいかなって。ふーん。上にも貴ちゃん派が出来たか……」

「何ブツブツ言ってんだ。俺は二週間でも良かったけどな!学校が来んなって言うなら堂々と休めるしな」

「貴ちゃんらしいね~。ねぇ、俺も火曜日まで休むから一緒に遊ぼうよ♪毎日ここに来るよ♪」

「来るな!俺はこう見えて忙しいんだ」

「えー、一番悪い事したの俺だし一緒に休むよ~」

「それが理由じゃねぇだろお前は」

「もちろん貴ちゃんといたいからだよ~♡」


 そう言って俺にベッタリくっ付いて来る紘夢。
 明るくて貴ちゃん貴ちゃん言う所は変わんねぇな。
 まぁ俺も嫌じゃねぇからいいけど。

 絶対空と伊織は嫌がるだろうけどな。


「あ、生徒会長が黒幕探してんだってよ。お前どーすんの?生徒会長と仲良いじゃん」

「葵くんね。知ってるー。俺が犯人倉持かもーって仄めかしたら俺に連絡無くなったもん。もう気付いてるでしょ」

「うわ、仄めかすとか自分が黒幕のくせに性格悪っ!」

「本当の俺ってこうだよ?貴ちゃんの前だけではいい子なの♡」

「……そうか?本当の紘夢は俺の前の紘夢だろ。俺はそう思うぜ」

「貴ちゃんはほんと……」


 思った事を言うと、紘夢はまた泣きそうな顔して抱き付いて来た。
 てかそうじゃなきゃ俺の前では演技してるって事だろ?それはそれで嫌じゃん。


「貴ちゃん、本当にごめんね。もうこんな事しないよ。迷惑かけた人達にもちゃんと謝る。だから貴ちゃんも俺の事をもう忘れないでね?」

「ああ、俺も悪かった。あ、DVD見るか?せっかく持って来てくれたし」

「俺何回も見たよ。これを見ると貴ちゃんとの思い出がいっぱいだから♪だから貴ちゃんより詳しくなってると思うー」

「マジで?お前初め興味なかったじゃん。何それとか言ってアニメ自体知らなかったみてーだし」

「アニメや漫画は一切禁止だったからね。毎日勉強、習い事ばかりでつまらない子供時代だったよ。だから貴ちゃんと遊んだ事が俺の子供時代の唯一の思い出なの♪楽しかったな~」

「俺も一人じゃブラックキングやってもつまんなかったから、楽しかったぜ。そう言えばなんで俺がヒーローなんだ?俺、ジャスティスマンやった事ねぇよな?」

「ああ、それは俺にとってのって意味だよ。俺の夢も希望も無い人生に光を照らしてくれたヒーローなの貴ちゃんは♡」

「ふーん。全く心当たりねぇけどお前が言うならいっか」


 機嫌良さそうだし、難しい話は面倒くせぇから何でもいいや。

 俺は紘夢が持って来たDVDをセットして二人で並んで「正義の味方ジャスティスマン」を見た。
 久しぶりに見るアニメは想像していたよりちゃっちかった。良くあるヒーロー物。
 でも相変わらずブラックキングはカッコよくて、ワクワクした。

 
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