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1章 写真ばら撒き事件
※貴ちゃんのお母さん大好きなんだもん♪
しおりを挟む※紘夢side
貴ちゃんと「正義の味方ジャスティスマン」を見ていた。
俺は実家を出てから好きに生きて来た。と言ってもまだ二年とかだけど。
その為にいろいろ準備していたのは本当だ。
俺は正真正銘高校二年生だけど、頭脳が他とは違うんだ。それが分かったのは小学校に上がる少し前。貴ちゃんと出会う少し前だね。
元々エリート家系の一条家だったけど、俺は子供の頃から周りとは少し違ったらしい。もしかしてと思った両親は俺を正式な検査に連れて行ってそこで俺は幼いながらにIQが120以上ある事が判明した。
両親は喜んだ。特に父親は。そして俺に期待した。
まだ小さかった俺には良く分からなかったけど、両親が喜ぶならと俺は笑っていた。
だけど、それは地獄の始まりだった。
その日から早期教育、英才教育が始まり、俺は遊ぶ時間も与えてもらえず、ひたすら勉強をして来た。勿論友達なんてものはいなかった。
まぁ物心つく頃からそんな毎日だったからそれが普通なんだと思っていたけどね。
でも、俺はいろんな国の勉強をしている時に、日本以外の国に興味が湧いた。いろんな勉強をしていたけど、どれも何も感じずに吸収していったけど、この時だけは違った。ワクワクして、自ら質問なんかをしていたんだ。
そして教材として父さんにプレゼントしてもらった世界地図の本を毎日のように寝る前に眺めていた。
いつかこの国に行ってみたい。あっちの国の料理を食べてみたい。現地の人と会話をしてみたい。いろいろな想像をして楽しんでいた。
勉強漬けの毎日で、その時間、その時だけが俺の唯一の楽しみだった。
だけど、その事を父さんに話すと、その世界地図の本を取り上げられた。そして怒られた。
「お前は一条を継ぐんだ。そして私の会社の次期社長になるんだ。ろくでもない事を考えるんじゃない」
そう言って俺の夢を否定した。
でも父さんに逆らう事はしなかった。
俺はニッコリ笑って「はい」と言った。
そうすればまたいつものように戻るからね。
俺の知能の事は瞬く間に世間に広がり、周りの見る目が変わった。それだけでなくても有名私立の学校関連に通う者は一条と聞けば道を開けた。
俺の周りにいた同級生達からは良くも悪くも関わらない方がいいと嫌煙された。
まるで腫れ物扱いにされていた俺は特に気にするでもなく人形のように過ごしていた。
そんなある日の習い事の帰りに、いつもの帰り道にある小さな公園で一人で遊ぶ男の子を見つけた。それが貴ちゃんだ。
初めは同い年ぐらいの男の子がいるなぐらいでその日はそのまま帰った。
そして次の日、また貴ちゃんは一人で遊んでいた。
俺は自分の世話をしてくれてる、父さんより少し上ぐらいの庄田さんに許可を取って車から降り、その子に声を掛ける事にした。
それが俺と貴ちゃんの出会いだ。
俺は今でも鮮明に覚えているけど、貴ちゃんはどれぐらい思い出してくれたかな?
ううん。今は俺の事を思い出してくれた事だけでも喜ぼう。
隣でスナック菓子を食べながらアニメを見て笑ってる貴ちゃんを見てそう思った。
すると俺の視線に気付いた貴ちゃんは食べてたお菓子の袋を俺に向けて来た。
「あ?何だよ食いたいなら言えよ。ほら」
「あ、くれるの?あーん♡」
「自分で食え!」
口を開けて待ってると袋を渡された。
そして貴ちゃんはソファに寝転がりながら見始めた。
可愛いなぁ。この自由な感じ、昔と変わらなくて凄く嬉しいんだ♪
俺は貴ちゃんの事が好きだ。
きっと友達としてじゃなくて、一人の男として好き。
さっきどさくさに紛れて告白したんだけど、違う話になっちゃって答え聞いてないんだよね。
でも貴ちゃんは今他に好きな人がいるみたいだし、変にしつこくして嫌われても嫌だからこのまま友達として側にいようと思うんだ。
貴ちゃんも俺の告白忘れてるみたいだしね。
「あー、もうこんな時間じゃねぇか。なぁお前帰らなくていいのかよ」
時計を見ると17時を回っていた。
別に帰っても怒る人なんていないから気にしてなかったけど、貴ちゃんは俺を帰したいのかな?
「貴ちゃんのお母さんに会いたいなって」
「母ちゃんに?もうすぐ帰って来ると思うけど、何で母ちゃんに会いたいんだ?」
「俺、貴ちゃんのお母さん大好きなんだもん♪」
「お前それ父ちゃんの前で言うなよ?ネチネチ嫌味言われるぞ」
「お父さんには会った事がないな~。だからお父さんにも会いたいな♪」
「父ちゃんに会うのは難しいかもな。帰ってくるの夜遅えから俺でもあんま会えてねぇし。お前俺の母ちゃんに会った事あったっけ?」
「あるよ!若くて綺麗で優しいお母さん!」
「おー、それ言ったら母ちゃんの息子になれんぞお前」
ケラケラ笑ってそう言う貴ちゃん。
貴ちゃんのお母さんには昔お世話になったからね。俺に母の愛情を教えてくれた人だ。
でも俺の事は覚えてないかな?
貴ちゃんが忘れてるぐらいだもん、仕方ないよね。
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