【完結】どいつもこいつもかかって来やがれ4th season

１章 写真ばら撒き事件

※ナポリタンだ！

　※紘夢side

　午前中はずっと三人で家の掃除をしていた。
　桃は早々に飽きて同じ場所ばかりしてたけど、俺も茜ちゃんも何も言わずに自分のやる事に集中していた。

　家の掃除をしたのなんて初めてだけど、結構大変なものなんだな。
　体力は使うし、考えてやらないとせっかく綺麗にした所を汚す事になっちゃったり。
　
　お金を払ってやって貰えば良いなんて考えは間違えていたな。感謝もしなきゃいけないなこれは。


「茜ちゃん、そろそろ休憩にしようか？」

「ん、そうだな」

「待ってましたー♡」


　飲み物でも出そうとキッチンに向かうと、ずっと姿を消していた的羽がキッチンで何かをやっていた。


「あれ、的羽いたの？」

「あー、坊ちゃんご苦労様です。もうすぐ出来ますんで」

「え？なに、お前料理してんの？」


　どうやらフライパンで何かを炒めているようだった。
　初めて見る光景に驚いて近付くと、フライパンの中には玉ねぎとピーマンとベーコンが細く刻まれて入っていた。
　それをツンツンしながら炒める的羽。

　となりのコンロには大きな鍋に何かが入っていて沸騰していた。


「何を作ってるの？」

「コレ入れたら分かると思いますよ」


　そう言ってケチャップを取り出す的羽。
　そのまま炒めていた具材にかけて混ぜ始めた。

　この匂いは……


「ナポリタンだ！」

「正解♪俺もネット見ながらなんで味の保証は出来ませんがね～。みんなの分もあるんで一旦作業辞めて食べる準備しといてもらえます？」

「的羽お前凄いじゃん！見直した！」

「……一応坊ちゃんのお世話係なんで」


　何だっていいよもう。

　俺は嬉しくなって二人に報告しに行くと、掃除したばかりの床に茜ちゃんが桃に押し倒されていた。

　
「一条！助けてくれ！」

「何この状況！？まだ昼間だけど！？」

「せっかく綺麗になったから楽しもうと思ってな♪休憩だから文句ねぇだろ？」

「大有りだ！ここ人んちだぞ！」

「あのさ、今的羽がお昼ご飯作ってくれてるから、食べる準備したいんだけど」

「そ、そうか！ならそうしよう！だから早くこの馬鹿力をどけてくれ！」


　必死で抵抗する茜ちゃんだけど、桃はピクリとも動かない。
　仕方ないから助けようと近付いて桃の腕を掴むけど、触った瞬間分かった。

　この筋肉、ヤバい人の筋肉だ！
　普通の高校生とは思えない筋肉の付き方してる。
　俺は一通りのスポーツは習って来たから分かるんだ。

　桃ってひょろっとしてるのにこんなに素敵な筋肉を持ってるなんて……


「桃って一体何者？」

「ん？この通り茜の物だけど」

「じゃなくて、この筋肉普通じゃないよ。ちゃんと計算して鍛えないとこんなに綺麗には付かないよ」

「計算なんかしてねぇけど、趣味で筋トレする事ならある。あとバンドで結構鍛えられたかな」


　俺が感動してると、桃の力が緩んだのかその隙に茜ちゃんが逃げ出して、乱れた衣服を整えていた。

　桃って知れば知る程面白い！


「良かったな湊。認めてくれる人がいて」

「紘夢ってば俺の事好きなの？悪ぃけど、俺には茜いっから……」

「凄く好き！そうだなぁ、貴ちゃんの次ぐらいに好きかも。ここまで興味深い出会いは無いよ。あ、茜ちゃんの事も好きだよ♪」

「……なぁ茜、紘夢って変人だよな」

「お前が言うなら間違いないだろうな」


　俺が勝手に盛り上がってると、二人はキョトンとした顔してた。

　もっと二人の事を知りたい！
　俺は今とてもワクワクしていた。