【完結】どいつもこいつもかかって来やがれ4th season

１章 写真ばら撒き事件

※ 桃の主人は茜ちゃんかな？

　※紘夢side

　桃が作ってくれた美味しい朝食を食べた後、片付けは的羽に任せて俺達三人は家の掃除を始めた。
　俺は勿論、掃除に関しては興味が無いのか桃も不慣れだったみたいで、ほとんど茜ちゃんの指示に従って動いていた。

　まずは良く使う部屋。昨日茜ちゃん達と飲んで騒いだ部屋だ。
　部屋と言っても普通の一般家庭とは比じゃ無いぐらい広い筈だ。茜ちゃん達も驚いてたからね。三人で一部屋を終わらせるのに二時間は掛かった。


「ふぅ、こんなとこか……それにしても広いな」

「なぁ今日はもう辞めようぜ～。疲れたー」

「まだ一部屋しかやってないじゃないか！次行くぞ！」

「茜ちゃんって行動力あるよね～」


　次はダイニングルーム。
　俺達が朝食を取った場所だけど、ここは他の部屋と違って一際広い。
　お昼までかかっちゃうかなぁ？


「ここは特に綺麗にしなくちゃだな！ここ終わったらキッチン行くぞ」

「えー！そんなにやるのかよ！？日が暮れちまうよ」

「嫌なら帰れよ。俺と一条の二人でやるし」

「いやー、さすがに二人じゃキツいんじゃない？三人でも大変なのに」

「てか的羽どうした？あいつ逃げやがったな」

「的羽はいつもこうだよ。ただの同居人って感じでいつもお互い好きにしてる」


　俺がここに暮らし始めた頃から的羽はいたけど、ご飯の用意と洗濯だけはしてくれてた。後は本当にここに一緒に住んでるだけって感じ。
　お互い必要以上に干渉し合ったりしないし、常に俺に張り付いてるなんて事もない。

　ただ的羽は毎日ここにいた。
　呼べば必ず来てくれるし、本当に大学生かってぐらい毎日ここにいる。
　まぁ給料が良いみたいだし、タダで住めるからかもだけどね。


「あいつ自分の主人の事舐めてやがるな？次会ったら俺が分からせてやる」

「桃の主人は茜ちゃんかな？凄く尽くしてるもんね」

「もちろーん♡茜の事ちょー愛してるもん♡」


　俺がそう言うと、桃は茜ちゃんに抱き付いてはしゃぎ、茜ちゃんはやれやれと言った感じで俺を見て言った。


「ふっ一条はどっちが主人か勘違いしてるみたいだな」

「見たところ茜ちゃんじゃないの？」

「湊はこの通り懐いてくれてるけど、実際言う事聞くのなんか無いぞ。むしろ俺の方が尽くしてるしな」

「それは意外だね～。茜ちゃんてそう言うのは淡白そうなのにね」

「湊の破天荒さは知ってるだろ？俺も何度も食らってるけど、この通り一緒にいるのは何でだと思う？……ふふふ♪それは湊の事を誰よりも愛してるからさ！」


　ハハハと豪快に笑い始めた茜ちゃん。
　その横で一緒に笑う桃。
　やっぱこの二人ヤバい人達だ。
　
　でもとても羨ましく感じるのは何でだろう。
　一見危なそうな誰も近寄らなそうな二人だけど、とても仲が良くて、俺も貴ちゃんとこうなれたらいいのになって思う。

　湧いて来たそんな感情に自分でも笑えた。
　嫉妬か。
　今まで俺が周りに抱いていた感情だ。
　それに気付かなかった俺は逆に周りに嫉妬されているものだと思っていたけど、まるで違った。

　周りを羨み嫉妬していたのは俺の方だったんだ。

　それを素直に理解出来ると、とても人間らしい気持ちになれた。

　羨ましい。
　俺はこの気持ちを大切に思う。


「俺も二人みたいにバカになれたらいいな」

「あ？今バカつった？」

「いや、この場合の馬鹿は褒め言葉だろ。なれるさ一条。桃や秋山といれば自然とな」

「貴哉はやべーよな！俺の相手出来るのなんて茜か貴哉ぐれーだもん！ギャハハ」

「お前には負けるだろうよ。さて続き始めるぞ！」


　掃除を再開する茜ちゃん。
　どこまでも真面目で可愛い人。
　それに嫌々ながらも付き合うイケメン変人の桃。

　今日は俺の憧れの人達が増えた日だった。