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1章 写真ばら撒き事件
慰めたりなんかしねぇよ
しおりを挟む俺は紘夢んちの二階の掃除をしたばかりの部屋で直登が来るのを待っていた。
桃山に気が行ってる直登をまた数馬に振り向かせるべく俺が一肌脱ごうって訳。
作戦は、まず伊織が上手い事言って直登だけをこの部屋へ連れて来る。
そんで待ってた俺が直登を襲う。
そんな直登の危機を数馬がカッコ良く現れて助け出す!
そして誰もいない二人切りになった所で数馬が直登に告白をする。
完璧だな!
あ、ほら、前に演劇部のバーベキューん時にキモい三人に俺が襲われた時みたいな感じ?あん時は伊織が助けに来てくれたんだけど、自分がヤベー時にそんな事されたら絶対嬉しいから!
と、ここで空から無事に伊織が直登をパーティー会場から連れ出したと連絡が入った。
俺は部屋にあったデカいベッドに座って待ち受ける。
問題はどうやって襲うかだよなー。
別に襲うフリでいいんだけど、あいつ馬鹿力だから上手くやらねぇと返り討ちにあっちまうよな。
「貴哉ー?話って何?」
「あ、直登!」
襲い方に悩んでたら直登が来ちまった。
まぁいい。なるようになれだ。
「いや、ちょっと二人で話したくってよ」
「どうしたの急に?」
「まぁお前もここ座れよ」
「うん」
俺がベッドをポンポンと手で叩くと、直登は何も疑う事なく隣に座って来た。
「なぁ桃山の事本気なのか?」
「えー、いいなぁとは思うけど、彼氏いるしさすがにねー?」
「じゃあ数馬の事は?」
「数馬くんか~。実はさ、ちょっと落ち込んでるんだよね」
「どうしたんだよ?らしくねぇじゃん」
こりゃチャンスだな。
話を聞くフリして襲っちゃえばいいや。
そんな事考えてると、直登はジーッと俺を見てから、グイッと顔を近付けて強く言った。
「数馬くんが貴哉の事好きだから落ち込んでるの!」
「お、俺?でもそんなの今に始まった事じゃねぇだろ」
「……この話はいいよ。で、貴哉の話って何?」
ため息を吐いてからもう一度俺を見て直登が聞いて来た。その顔はいつもの余裕のある顔じゃなくてどこか悲しそうに見えた。
「直登、お前……」
「貴哉……」
悲しそうな直登に、俺は何も言えなくて言葉に詰まっていると、直登は俺の名前を呼んで更に近付けて来た。
そしてキスしちゃうんじゃないかってぐらいの距離でニコッと笑った。
「もしかして貴哉が慰めてくれるのー?」
「は?」
「でもさ、そんな事したら空くんが黙ってないんじゃない?桐原さんも。さっき二人で凄い言い合ってたし。俺もうそういうの面倒だから手引いたんだよね」
「慰めたりなんかしねぇよ。お前は数馬の事、どう思ってんだよ?」
「また数馬くん?好きだよ。でも前にも言ったと思うけど、俺追うの嫌いなんだよ」
「数馬の事、本気なんだな?」
「……なに?貴哉なんか変だよ」
話を聞いていて、直登は数馬の事は好きだけど、諦めようとしているように感じた。
俺の時みてぇに。
それじゃせっかく数馬が勇気出すって決めたのに無駄になっちまうじゃねぇか。
俺は腹を括って直登をベッドに押し倒して上から覆い被さり、直登の両手首を強く押さえた。
「貴哉?ちょっとどうしたの?」
「今からお前を襲う。これは慰めるとかじゃねぇ。嫌なら叫ぶなり何なりしろ」
「は?貴哉が俺を?ってうわっ!」
俺は直登の着てたシャツの中に手を入れて乳首を探す。
正直襲い方なんて分からねぇから、いつも空とか伊織が俺にするみたいにやればいいと思ったんだ。
「待って!貴哉!」
「待たねぇ」
「ちょ、くすぐったいって!」
乳首を見付けて触ると、直登は身をよじって笑った。何か想像してたのとちげぇな?
「はぁ、もー訳分かんなすぎ!でも貴哉にこんな事されたら俺も我慢出来なくなっちゃうよ♡」
「あ?何言っ……いってぇ!!」
笑っていたと思ったらいきなり空いてる方の腕で乳首を触る俺の手首を掴んだ。そしてそのまま頭の上まで引っ張った。
相変わらずの馬鹿力に俺は引っ張られた事によって体勢を崩して直登の上に倒れてしまった。
そのまま直登にぎゅっと抱かれてゴロンとベッドで寝返りを打ち、今度は俺が下。直登が上になってしまった。正に形勢逆転だ。
「貴哉から誘って来たんだからねぇ♡」
「待て待て待て!これには訳がっあ!やめろ!」
すっかり直登のペースになっちまった!
弱っているものだとばかり思ってたから油断したぜ!力では直登に勝てる訳もなく、直登は俺の首元に顔を埋めてキスをして来た。
そして右手で俺の下半身をまさぐる……
あーもう!数馬早くこーい!
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