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2章 球技大会
やった事ねぇのに嘘つきやがったらぶん殴るぞー!!
しおりを挟む玉ちゃんが出てった後、俺はテニスに手を挙げた他の奴らを蹴落とす為にクラス中に言ってやった。
「おいお前ら!俺がテニスに出るんだ!辞退しろ!」
「数馬が出ねーなら俺もテニスにするからな!」
すかさず空も出て来た。
これにクラスの奴はザワザワし始めて、一人が立ち上がり、喋り始めた。
「俺もテニスに出たい!あ、秋山がテニスにするなら!」
「は?」
「俺もだ!秋山とテニスがしたい!」
「はい?」
「秋山!俺とテニスに出てくれ!」
おいおい!みんな頭おかしくなっちまったのか!?揃いも揃って呪文のように秋山と秋山とって!こえーわ!
ん?みんな俺とテニスがしたいだと?
訳が分からねぇが、それなら俺はテニスに出られるって事か?
「どうやらみんな貴哉の事を好きになっちゃったみたいだね~」
このやり取りを後ろで見ていた直登がクスクス笑いながら言った。
「何ふざけた事言ってんだ」
「ねぇみんなー?貴哉の事が好きなんでしょー?だからテニスに手を挙げたんだよねー?」
直登が呼びかけると、手を挙げた奴らが照れたようにモジモジし始めた。
ま、まじかよ!でも何でいきなりそんな事になったんだ?
「多分さ、ばら撒かれた写真じゃない?」
「写真?」
「アレに写ってる貴哉ってちょーセクシーだったからみんな貴哉の事好きになっちゃったんだよ♡ほら、グラビアアイドル的な?」
「あー!瑛二がばら撒いた写真かー!!」
咄嗟に瑛二を見ると、スッと俺から顔を逸らした。
そうか、みんなもあの写真を見たのか……
別に今となっちゃどうって事ねぇけど、それで俺の事なんか好きになるもんか?
「普段の貴哉って生意気な口の悪いヤンキーじゃん?それがあんな可愛い顔するんだもん、正にギャップ萌えってやつー?」
「た、確かに写真の貴哉は可愛いかったよ……ちょっとエッチだったし……」
「…………」
数馬までそんな事言いやがるのか。
それならそれでいい。こんなけ俺と組みたがってる奴がいるんなら利用させてもらうか。
とりあえず俺はテニスに出れりゃいい。更に経験者と組めりゃ茜にも勝てるかもしれねぇしな。
俺は自分なりに考えてると、空が近くまで来て笑顔でこう言った。
「貴哉!俺とやろう!な?」
俺は答える事なく、空を上から下まで見た。
そして質問する。
「……空、お前テニスやった事は?」
「無いけど?」
「却下!お前はバスケに出ろ!」
「何で!?一緒のやつやろうって!」
「俺はテニスで茜に勝ちてぇんだ!おいテニスに手を挙げた奴で経験者いるかー!?やった事ねぇのに嘘つきやがったらぶん殴るぞー!!」
脅すようにクラス全体に声を掛けると、みんな黙って周りの様子を伺っているだけだった。
チッ。そりゃそうか。うちのクラスにスポーツやってそうな奴なんかいなそうだもんな!
そこへ、一人スッと手を挙げた男がいた。
前の方に座る男で、一見普通そうだけど、髪を茶色に染めていて、ピアスを付けてるのがチラッと見えた。名前は分からねぇ。
男は立ち上がり、俺に近付いて来た。
「俺、一応元テニス部だったけど、それと、初めにバレーに手を挙げたんだけど……変更きくならやるけどどうする?」
俺の横まで来てそう聞かれた。
近くで見たらタレ目で、少しボーッとしてる感じの奴。決して顔は悪く無い。むしろ良い方じゃないか?雰囲気は空みたいな感じ。A組にこんな奴いたのかって思った。
とにかく経験者なら誰でも良い。
俺は笑顔でそいつに言ってやった。
「経験者なら問題ねぇ!一緒にやろうぜ!」
「うん。じゃあよろしく~」
男はその後すぐに自分の席へ戻って行った。
そしてテニスに手を挙げた他の野郎どもは渋々他の球技を選んで、空も元々やろうと思っていたバスケに決まった。
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