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2章 球技大会
※ 臨むところですよ。絶対勝ち残って、貴方に勝って優勝します
しおりを挟む※空side
貴哉から元気をもらって中西達と体育館へ戻るとちょうど桐原さん達の試合が終わって次の試合が始まる所だった。雰囲気からしてやっぱり桐原さん達が勝ったみたいだな。誰もが予想していた結果だ。
汗を拭きながらこちらに向かって来る桐原さんは悔しいけど、背が高く堂々としていて、格好良かった。
俺に気付いて「よお」と声を掛けられた。
「早川達もバスケだったんだな。お前とバスケで勝負したいから絶対勝ち残れよ」
ニヤリと笑ってそう言った。
まさかそう思われていたなんて、桐原さんの事だから貴哉に俺をコテンパンにする姿を見せつけたいんだろ。
俺はそんな桐原さんの挑発に乗ってやる事にした。
「臨むところですよ。絶対勝ち残って、貴方に勝って優勝します。俺達一年は強いですよ。覚悟しておいて下さい」
俺も余裕ぶって笑顔で言うと、桐原さんはそれは楽しそうに笑った。
「そうこなくっちゃな♪そういや貴哉が桃山に勝ったらしいじゃん」
貴哉の名前が出て一瞬ドキッとしたけど、バレないように対応しておいた。
「らしいですね。中西に聞きました」
「あれ?興味ない感じ?」
「何が言いたいんです?喧嘩売ってるんですか?」
この人ワザと言ってんのか?俺から貴哉を奪っておいて何だよそれ。
そろそろイライラしてきたから言い返すと、桐原さんは顔色変えずに続けた。
「別にー?もう貴哉の事吹っ切れたんだって」
「……今はただの友達です」
「ふーん。それなら安心した。じゃあな」
あの人には本当イラつかされるなぁ!
でも、さっきの貴哉と会ったのがバレなくて良かった。なるべく貴哉には負担をかけたくないしな。
俺は普通にしていたら桐原さんには勝てない。だから絶対バスケで勝ってやる!
俺と桐原さんのやりとりを大人しく横で見ていた中西は、ニヤニヤしながら俺を見ていた。
「何だよ?」
「貴哉を取り合って揉めないかな~って♪」
「直登、そんな事言ったらダメだ!」
「だって二人がやり合ってるの面白いんだもん♪空くんが困ってる姿最高♪」
「言ってろ。てか絶対勝ち残って二年B組とやるからな!お前らも死ぬ気で動けよ!」
「うわっ熱血空くんに戻っちゃったよ!早々に負けて残りの時間は数馬くんとダラダラしてようと思ってたのにー」
「負けたら全員坊主な」
「はぁ!?ふざけんな!てかそんなの空くんが一番やりたくねぇ事だろ!」
「やりたくねぇよ。髪伸ばすつもりだし。そんぐらいの覚悟でやるんだよ!」
「直登が空を挑発するからぁ!」
「だって、空くんには個人的な恨みがあるから!」
「よーし!準備運動すっぞ!外出て体動かすぞー!」
二人は嫌々俺に付いて来た。
もちろん負けたら坊主ってのは冗談だ。でも、それぐらい何かを賭けないと桐原さんには勝てないと思うんだ。二年B組には桐原さんだけじゃなくて香山さんもいるしな。
それから試合はどんどん進み、俺達は順調に勝ち進んで行った。実際俺も驚いていた。バスケ経験者はいるにはいるけど、たった二人だけだし、俺も中西も数馬も初心者だけど、体育での練習もあってか、自然と上手くパスを回せてるし、そのお陰で経験者の二人も綺麗に点を入れて行った。
「はぁ、ハード過ぎて死ぬ……」
「直登さっきのスリーポイントかっこよかった♪」
「そ、そお?数馬くんに褒められたら頑張るしかないじゃん」
二人がイチャついてる横で俺は次の対戦相手を見ていた。
そう、球技大会も終盤に差し掛かった決勝戦。俺達一年A組は見事に勝ち進んで、二年B組との勝負になった。
これには経験者二人も諦めている様子だけど、俺は諦めてなかった。ここで絶対に桐原さんを倒す!
貴哉にはメッセージで教えたけど、来てくれるよな。桐原さんも連絡したと思うし。
きっと付き合ってるって事で、貴哉は桐原さんの応援をするだろう。それでもいい。貴哉は俺の事も応援したいって言ってたんだ。貴哉は心の中できっと応援してくれる。
そう思い聞かせて俺は試合に出る為、コートに入った。
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