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4章
今日は柳瀬と二人で食いたいから遠慮してくれ
しおりを挟む戸塚の席から自分の席に戻ろうとしてると、教室の真ん中辺にいた柳瀬と目が合った。
柳瀬は心と揉めてる奴だけど、俺は知らない事になってるからな。あまり刺激しないように関わらないようにした方がいいか。
何事も無かったように素通りしようとしたら、柳瀬が立ち上がった。
「秋山、話がある」
「へっ!?」
まさか声を掛けられると思わなかったから変な声が出ちまった!柳瀬は真っ直ぐに俺を見ていた。
話って何だ!?まさか心との事か!?
俺は内心心臓をバクバクさせながら普通に振る舞った。
「話って何だ?」
「二人で話したい。出来るか?」
「いいけど」
「貴哉!」
二人で話すとか絶対心の事じゃん!
だって、俺と柳瀬が話すのってこれが初めてだし!
別に話すぐらいならいいけどよ。
柳瀬とそんなやり取りをしてると、昼飯のパンを持った空が入って来た。あ、戸塚が言ってたけどずっと睨んでたんだっけ?
「もー!ずっと戸塚と真剣に勉強してたから声掛けるの我慢してたんだからなぁ!早くランチ行こ!」
「悪い。今日柳瀬と食うわ」
「俺も行く!」
やっぱり言うと思った。
空も心と柳瀬の事知ってるから余計に心配なんだろうな。
柳瀬は俺と空を交互に見ていた。
「いや、今日は柳瀬と二人で食いたいから遠慮してくれ。大事な話があるんだろ?」
空に言った後、柳瀬に確認すると頷いた。
「分かったよ。行ってらっしゃい」
「おう。行って来るわ~」
空は渋々と言った感じで俺達を見送ってくれた。
俺はコンビニで買ったおにぎりを、柳瀬は家から持って来たであろう弁当を持って教室を出た。
多分心の話だと思うからなるべる人がいない場所を選びたい。でも伊織と良く過ごす図書室の横の部屋は使いたくねぇな。
「秋山、こっち」
「ん?」
柳瀬が途中で廊下を曲がって渡り廊下を通って裏校舎の方へ進んで行った。段々と人が少なくなる中、柳瀬は一つの教室へ入って行く。
何の教室なのかは書いて無かった。中は文化祭とかで使ったようないろいろな物が置いてあって、机や椅子は無かった。物置か?
「ここなら誰も来ないと思うから。俺文化祭の時にやる事なかったからここの整理整頓やったんだ。そん時に鍵が壊れてるの知った」
「なるほどな~」
柳瀬はここで初めて笑った。
短い黒髪をしてて、笑うと幼い少年のように見えて俺の気も緩んだ。心から話を聞いてから意識するようになったけど、俺から見た感じだと、悪い事をするような奴には見えなかった。空が言うように柳瀬は誰とでも明るく元気に接していて、誰からも好かれてる感じだった。
「椅子ねぇから地面に座って食うか」
「いいのあるよ。確かこの辺に」
俺が地面に胡座をかいて座るのを見て、奥の段ボール箱から座布団を取り出して渡して来た。
おおー!良いのあんじゃん!俺は柳瀬から受け取って座布団の上に座り直した。
「この部屋便利だな♪」
「だろ?ここ普段は使われてないから穴場なんだ」
「いいとこ知ったわ♪いただきまーす♪」
俺は今度学年主任に追われたりしたらここに逃げようと考えていた。そして持って来たおにぎりを食いながら、自分の弁当を広げてる柳瀬に聞いてみる。ここへ来た目的は柳瀬の話を聞く事だからな。
「で?話って何だ?俺と柳瀬って初めて話すから何か怖いんだけど」
「俺が怖い?どうしてそう思うんだ?」
「ほら、お前ってクラスの人気者じゃん?そんな人から二人きりで~なんてさ、何か勘に障る事でもしちまったかなって」
「…………」
なるべく心の事に触れないように。でも出来たら聞き出したい。俺は誤魔化しながら話す事にした。上手く出来れば心の事も解決出来るかも知らねぇからな。
俺が適当に思ってもない事をでっち上げて話すと、柳瀬は急に真剣な顔をして黙り込んだ。
待て。何だその反応は?適当に言ったけど、俺マジで勘に障る事したとか?
「柳瀬?怖ぇから何か言って?」
「うん。率直に言うよ。俺は秋山の事がウザいと思ってる」
「……あ?」
率直過ぎる柳瀬の言葉を聞いて俺は一瞬何を言われたのか分からなかった。
俺の事がウザいだと?
今日初めて話したのに?
ろくに話してもいないのにウザいだと?
食いかけのおにぎりを握りしめて、俺は込み上げてくる怒りをどうしたらいいか迷っていた。
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