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8章
今のままでも十分見れるわ!
しおりを挟む花火打ち上げまで後数分。と言う事は今年もあと数分って事になる。
みんなで話しながら待っていたけど、そろそろ俺は寒さの限界が来ていた。もー早くさっさと花火上がらねぇかな。そんでさっさと紘夢んち行ってあったかい部屋で飲んで何か食いたいわ。
みんなは楽しそうに話してる中、俺が一人ボーっとしてると、桃山がニコニコ笑いながら覗き込んで来た。こいつは本当喋らなければかっこいいのにな。
「貴哉~?何飽きてんだよ~♪お前らしくてウケるわ~」
「だって何時間もこのクソ寒い中突っ立ってるだけなんだぜ?それに人も多いし。早く帰りたい」
「まぁまぁ、こんな機会ないんだから楽しもうぜ~」
「そうだけどよ」
楽しそうにしてる茜や紘夢や双葉を見て、来て良かったなとは思うよ。三人共好きだしさ。
でもぶっちゃけ空と見に来れなかったのが残念に思ってるんだ。あいつは今病み上がりの母ちゃんに付いてるから無理言えねぇし。
明日とか顔見に行けたらいいなとか思ってるけど、今隣にいて欲しいのは空なんだ。
「ほら笑って笑って♪なんなら肩車してやろうか?その方が良く見えるだろ」
「今のままでも十分見れるわ!」
ニヤニヤと茶化すように言われていつものように返す。桃山もなんだかんだ気使ってくれてるよな。周りからは危険人物として見られがちだけど、俺からしたら桃山は結構助けてくれるし、すげぇ良い奴なんだ。キレて暴走する所がなければな。
そうだ、ちょうど茜もいるし二人の事聞いてみるか。
「桃山さ~、今日本当は茜に会いに来たんじゃねぇの?」
「んあ?普通にお前に会いに来たんだけど?」
「いや、もうそう言うのいいって。正直に言ってみ?協力してやるから」
「逆にそっちがそう言うのいいって。あんましつこいと暴れちゃうぞ~♡」
「怖!目がガチだ!!」
笑顔だったけど、目は笑ってなかった。えー、本当に茜に会いに来たんじゃねぇのかよ。茜もずっと紘夢と双葉と話してて、桃山とは目も合わせようとしねぇし、こいつらまだ想い合ってると思ったんだけどなぁ。
「俺は一度裏切った奴は許さないって決めてんだよ。本当なら二人共外歩けない顔面にしてる所を大目に見てやってんだぞ。これ以上何か言われたら思い出して茜をぶん殴りたくなるから辞めろや」
「ああ、悪かったよ」
「分かればよろしい♪てか茜と犬飼って付き合ってねぇの?何か前田と仲良いの見るけど、あいつ何股かけてんの?」
「えー、お前知らねぇのか?茜の奴、犬飼の事フッたんだよ。それと侑士とはただの友達だ」
「ギャハハ!あの馬鹿犬ってば人の男に手ぇ出しといてフラれてるとかアホ過ぎるだろ!茜に遊ばれてんじゃん」
「茜は遊んでなんかねぇよ。茜なりにちゃんと考えて出した答えなんだよ。お前もそれぐらい分かってんだろ?」
「あーまぁね。真面目だからねあの子」
そう言って紘夢と笑い合ってる茜を見る桃山は薄く微笑んでいた。
俺から桃山に言っていいのか分からないけど、茜の事を少し教えてやる事にした。
「茜はもう誰とも付き合わないって言ってたぞ。気にする事ねぇのに、自分のした事を深く反省してるんだ」
「ふーん」
「でも茜ってモテるから周りがほっとかねぇよな~」
「あのさ、貴哉」
「ん?」
桃山が俺を見て何かを言いかけた時、会場のざわ付きが大きくなって、とうとうカウントダウンが始まった。
やっと始まったか、と俺も三人の側に行こうとして、一度桃山を見る。
「何言いたかったんだ?」
「うん、実はさ……」
「……え?」
桃山は三人には見えないように俺の手をギュッと握って、顔を近付けて耳元で何かを言った。
次の瞬間、カウントダウンはゼロになり、冬の夜空に綺麗な花火が上がった。
三人は花火を見上げていて、俺と桃山には気付いていないみたいだけど、俺は花火何か忘れて桃山の顔を見て固まっていた。
今、こいつ何つった?
「なっなんっ」
「もう一度言おうか?」
「あ、辞めろっ!」
ギュッと握った手を引いて桃山はもう一度顔を俺の耳元に寄せて言った。俺は咄嗟に体を引くけど、遅かった。
「俺とマジで付き合って欲しい♡」
「っ!!」
今度はほっぺにキスまでして来やがった!
はぁぁぁ!?こいつ何で今このタイミングでんな事言うんだぁ!?
話の流れ的におかしいだろ!そして茜がこんな近くにいるだろうが!花火に夢中で気付いてないから良かったけど!バレてたら気まず過ぎんだろ!
俺は桃山の手を振り払って、桃山と距離を置き双葉の横に並ぶ。
突然隣に来た俺に双葉は不思議そうな顔をしていた。
「貴哉、花火綺麗ですね♪」
「ああ……」
正直花火なんて見れなかった。
桃山がふざけやがるから……
でも、あの顔であんな風に言うのはズルいだろ!あー、クソイケメンが!無駄にドキドキさせやがって!今度から俺の前ではマスク付けさせるか。
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