【完結】どいつもこいつもかかって来やがれ6th season

pino

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8章

それはお前がおかしな奴だからだろ!

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 類を連れて家に帰ると、母ちゃんは飲み始めていて、つまみを用意する父ちゃんがキッチンにいた。いつもの光景だ。


「ただいま」

「お邪魔しまーす♪」


 俺達がリビングに入ると、母ちゃんが類を見て驚いていた。あ、デカくなってから初めて見たんだな。俺もファミレスで会った時類だってわからなかったもんな。


「お前るいたんか!?デカくなったな~!そんでかなり色男に育ったな~」

「やだな凛子さんこそ変わらずお綺麗で♪あ、あけましておめでとうございます♪」

「ご丁寧にどうも。母ちゃん元気?」

「ええ、お陰様で。凛子さんに会いたがってましたよ」


 なんかすげぇ普通に話してるけど、二人ってそこまで仲良かったっけ?確かにガキの頃に類が家に泊まりに来た時に世話してやってたけど、そこまでか?


「そうそう、凛子さんこの間は写メありがとうございました♪貴哉もかなり大きく育っていて、思わず会いたくなって来ちゃいました♪」

「ん?」

「貴哉も男前に育っただろ?身長は類に負けたみたいだけど」

「おい!なんだよ写メって?俺がどうとかって?」

「あれ、貴哉に話さなかったか?類から貴哉の写メが欲しいってメッセージ来たから送ってやったんだよ」

「はぁ!?何勝手に人の写メ送ってんだよ!しかもメッセージのやり取りしてんのかよ!?」

「お母さんに連絡先聞いて、凛子さんとメル友になっちゃった♪」


 そう言って俺の母ちゃんとのメッセージのやり取りの画面を開いて見せる類。
 チラッと見えたけど、本当に俺の写メが送られていた。しかも浴衣姿の、これって空と並んで撮ったやつじゃねぇか!類に空の事がバレちまうだろうが!
 このまま二人を一緒にいさせたらまずいと判断して、俺は類を自分の部屋へ連れて行く事にした。

 なんとしても空の事だけは知られないようにしなきゃ!

 バタバタと階段を駆け上がり、無理矢理類を部屋に押し込んでバタンっとドアを閉める。
 ふぅ、部屋に空の写真とか飾ってなくて良かったぜ~。


「ちょっと~、こんな強引に部屋に連れ込むとか貴哉って大胆なんだな」


 類にニヤリと笑われて俺の我慢は限界に達した。
 俺を茶化す類の肩をドンッと押して睨み付けると、デカい目を丸くして見下ろして来た。あー!身長負けてるの腹立つ!!


「お前何なんだよ!俺の写メとか何に使ったんだよ!」

「あー、あれ?双葉に見せる為に欲しかったんだよ」

「双葉に?」

「てかお前ら仲良しなんだろ?まさか貴哉に俺のもの盗られるとは思わなかったぜ!あはは!」

「何笑ってんだよっ双葉を盗るとか訳わかんねぇ事言ってんじゃねぇよ!」

「なぁ貴哉、双葉って学校じゃ俺としか喋らないんだぜ?周りと交流を持とうとしないんだ」

「だから何だよっ」

「俺は双葉を初めて見た時から欲しいと思ってたんだ。だってあの見た目だぜ?自分の他にもあんなすげぇのいるなんて欲しくもなるだろ」

「…………」


 ゲラゲラ笑って双葉との出会いを話す類の事を、心底頭のおかしい奴だと思った。
 そうだ、類はこうやって何でも欲しがっては俺からもいろんな物を奪ってったんだ。


「双葉はさ~、俺だけだったんだよ。貴哉に会うまでは。文化祭で会ったんだって?そんで俺との約束ドタキャンして二人で遊んだって~?まさかあの双葉に隠し事されるなんてな~」

「それはお前が頭おかしい奴だからだろ!双葉も愛想尽かしたんじゃねぇの!」

「別にいいけどなそれは」


 ここでスッと無表情になって、どこ見てんだか分からないような顔をし出す類。マジこいつ何なの?やべー奴じゃん。


「は?何、双葉を盗られたから文句言いたいんじゃねぇのかよ?」

「まぁ双葉とはまた仲良くなれたからね~。貴哉の事も恨んだりしてないよ♪」

「じゃあお前の話って?」

「その前にさ~、伊織さんとは年越ししてねぇの?てっきり一緒かと思ってたのに」

「だから伊織はいないってば」

「もしかして別れちゃった?」

「……まぁそんな感じ」


 空と付き合ってる事は言わないようにしよう。そう気を付けながら伊織との事を話そうとした。
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