【完結】どいつもこいつもかかって来やがれ6th season

pino

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9章

手出すんなら最後まで出せ!

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 桃山の体は他の誰よりも細かった。あの空よりも。それでいて背が伊織と同じぐらい高いとか病的じゃん。でも肩の方には空には無い筋肉がしっかり付いていて、さすが喧嘩好きなだけはあるなと思った。
 俺が黙って抱き締め返すと、桃山は部屋の電気を消して俺をベッドに運んだ。優しく倒されてキスをされた。桃山と二度目のキスだ。一度目は学校で、それも空の前だった。だからちゃんと怒れたんだ。

 だけど今は受け入れてしまっている。桃山の部屋で二人きりだから。いや、それだけじゃない。桃山は弱っていて、俺も今は弱っていたからだ。
 伊織と別れて弱っている。そう思いたい。だから誰かと騒いで忘れたくて桃山に電話したんだし、伊織と繋がる奴だと意味が無いと思ったから桃山を選んだんだ。

 本当にそうなのか?
 そう思いたいんじゃないのか。
 俺は何か理由を探して桃山に触れたいと思っていた。


「桃山」

「ん?」

「お前は俺とこういうのして、またいつものように出来るのか?」

「出来るっしょ。貴哉は貴哉だもん」


 俺の上着を脱がせながらいつもの口調で言う桃山。そして俺の首元に吸い付いて来た。
 くすぐったくてピクってすると、服の中に腕を入れられた。

 あの桃山とこんな事してるなんて、改めて思うと変な感じだ。
 そんな事を思ってると、首元にいた桃山の動きがピタリと止まった。


「どうした?」

「なぁ伊織は?」

「え?」


 ここでまさかの名前が出て来てドキッとした。何で今伊織なんだ?今日会った時一言も出て来なかったのに……
 桃山は俺の首元の襟を捲って言った。


「いつもここにいるじゃん。キラキラしてていつも貴哉を守ってんじゃん。何でいねぇの?」

「あ……指輪か……」


 首から下げてた指輪が無くなってるのに気付いて聞いて来たらしい。
 そっか、桃山は本当に俺と伊織が会った事知らないんだな。


「今日伊織に会ったんだ。そん時に外してもらった」

「嘘っ!別れたのか!?」

「そうだよ」

「いーくん帰ってたんだ。よく別れられたな」

 
 そっと俺から離れて俺の服を直してくれる桃山。
 あ、あれ?続きやらないのか?


「あいつはいつも通りだったよ」

「ふーん。だから貴哉が俺に電話して来たのか~」

「な、なぁ桃山?」

「ん?何ー?」

「どうして辞めたんだ?」

「辞めたって何を?」


 こいつっ!本気で言ってるのか!?それとも茶化してんのか!?
 人の事を襲おうとしといて何なんだよそのケロッとした顔はぁ!!


「イチャイチャするのをだよ!良い感じだったじゃん!」

「あ♡貴哉したかった?なーんかする気なくなっちゃった~」

「はぁ!?何だそれ!!」

「だってさ、俺としたら貴哉は……」

「なんだよっ!」

「俺に惚れちゃうよ?」


 部屋は暗かったけど、至近距離だし窓の外からの光で桃山の顔が照らされて良く見えた。
 好みの顔の余裕のある大人っぽい笑みにドキドキした。
 
 その気にさせてギリギリで手出さないで、相手に誘わせるってか?
 こいつなかなかやるじゃん。


「惚れねぇよ!手出すんなら最後まで出せ!」

「もーやだよ。俺ね、貴哉とは良い関係でいたいと思うんだ。口説いたり付き合いたいとは思うけど、貴哉って浮気するじゃん」

「はっ!!」

「浮気だけは許せないんだ。もし貴哉と付き合って浮気なんかされたらマジでお前殺しちゃうかも」

「怖っ!やっぱり桃山は桃山だ!」

「キャハハ♪当たり前の事言ってんじゃねぇよ。だからさ、本当に俺の事しか見れなくなるまで手出すのは辞めとくわ。いーくんがリタイアしたなら余裕っしょ♪」

「ふん、言ってろよ」

「でもちゅーはしちゃう♡貴哉好きー♡」

「ヤメロ!絶対空の前でするんじゃねぇぞ!」

「空いないとこならいいんだー?あはは~」


 そうじゃねぇけど……でも、桃山とまたこうして普通になれてホッとしてる自分もいた。
 また空を裏切る事になってたらセックスした後にすげぇ後悔してたもんな。

 雰囲気や心境に流されそうになったけど、今回は桃山の気まぐれに助けられたな。

 その後時間も遅くなってしまったので俺は、桃山に飯を作ってもらうのはまた今度にして、駅まで送ってもらい帰る事にした。明日から学校だからな。
 帰りの電車でスマホを開いて「あ」と思い出す。
 空に返事するの忘れてた。


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