【完結】ギフテッドボーイに照らされる

４章 神居琴葉

３０．欲しい物

　俺は家に帰ってから紘夢に電話をした。
　するとすぐに出て、紘夢の周りは何やら騒がしかった。


「もしもーし？紘夢ー？」

『……だからこれじゃないって！何度言えば分かるんだ！デクの棒め！』

「ん！？」


　電話の向こうから紘夢の怒ってるような声が聞こえて来た。
　俺にじゃないよな？


『あ！ごめんごめん！城之内が肉まんじゃなくてピザまん買って来ちゃってさ～！これで２回目なんだよ！先週も何故かピザまんを買って来ちゃって……何だと！？お前の好みなんて聞いてないんだよ！！俺は肉まんが食べたいんだ！！』

「あはは、相変わらず仲良くやってんのね」


　城之内ってのはこの前足にしてた光陽のヤンキーの事か。
　てか紘夢も怒鳴ったりするんだな。


『で、琴葉は俺に何の用～？』

「実はさ、欲しい物があるんだけど～」

『何が欲しいの？』

「ゴムとローション♡」

『あはは！ちょっと面白いんだけど！今どこにいるの？』

「いや、結構真面目に欲しいんだよね。紘夢持ってたりしない？今週末までに用意したいんだ」

『千景と進展があったんだね？それなら城之内に買って届けさせるよ。琴葉は家にいるー？』


　紘夢の言う事に、城之内の『ふざけんじゃねぇ！』って声が聞こえて来たけど、紘夢は気にせず話を続けていた。


「まじ？助かるわー♪今駅出て歩いてるとこ♪」

『ところで、自分の事は話したのー？』

「あー、実力を隠してたってのは話したよ。驚いてたね」

『話したんだぁ。まぁ琴葉がいいならいいけど～』

「千景と同じ大学行きたいからさ、中間で本気出してみたんだ。そしたら満点取っちゃって、千景の順位も抜いちゃった」

『え、それ大丈夫なの？』

「みんなかなり驚いてたよ。たまたまだって言っておいたけど」

『たまたまで満点は取れないでしょ。まぁ困った事あったら言ってよ。琴葉には世話になったし協力するから』

「サンキュー♪あ、例のものよろしくな♪」


　紘夢との電話を切って家へ向かう。
　紘夢が心配してるのは、俺がギフテッドだってのを周りに隠しているからだろう。
　今回テストで一位を取った事で、みんなから注目を浴びる事になって、怪しまれるんじゃないかと思っているのかも。

　確かにその可能性はある。
　でもだからと言って友達関係が崩れる訳でもないし、少しバレても平気かと思っていたんだ。

　それよりも今は千景との関係が上手く行き過ぎてて幸せなんだ♪
　今なら周りからどう思われても平気だとさえ思えてしまう。
　もっと千景といろんな事をしたい。
　いろんな話をして、いろんな場所に行って、いろんな千景を見たいんだ。

　あー、今頃千景は何をしてるかな？
　塾を休んじゃったから家で勉強でもしてそうだな。
　ふふ、俺の為に休んでくれたの嬉しかったなぁ♪